最近のスマートフォンはカメラ性能を強化していることもあり、年々大型化しています。しかもディスプレイをたたむことのできる折りたたみスマートフォンも登場しています。折りたたみスマートフォンは普通のスマートフォンよりも重く、たとえばGoogleの「Pixel Fold」は283gです。小型タブレットを半分に折りたたむ形状であることから、たたんだときの厚みもそれなりにあります。

ところが一般的なスマートフォンとほとんどサイズの変わらない折りたたみスマートフォンが出てきました。HONORの「Magic V2」は、折りたたんだときの厚さが9.9mm、なんと10mmを切るサイズです。しかも開いたときの最薄部の厚みは4.7mm。そして重さも231gです。ここまで薄く軽くなると、もはや一般的なスマートフォンと同じ感覚でこのMagic V2を使えるでしょう。しかもMagic V2は普通のスマートフォンではできない「開けばタブレット」になるのです。

  • 極薄軽量の折りたたみ、HONOR「Magic V2」

    極薄軽量の折りたたみ、HONOR「Magic V2」

薄型軽量の折りたたみスマートフォンはファーウェイが今年3月に「Mate X3」を発表しました。閉じたときの厚さは11.8mm、開いたときの最薄部は5.3mm、そして重さは239gと、今までのスマートフォンには無かったサイズダウンに成功しました。目をつぶってMate X3の閉じた状態でボディーを握ってみると、これが折りたたみスマートフォンと気が付く人はほとんどいないでしょう。それほどまでにMate X3は薄くて軽いのです。

ところがMagic V2はMate X3より閉じたときの厚さはマイナス1.9mm、開いたときの厚さはマイナス0.6mm、重さはマイナス8gと、さらに薄く、軽くなっているのです。

  • 登場時は世界最薄クラスだったファーウェイ「Mate X3」

ファーウェイはアメリカ政府の制裁の影響でスマートフォン事業は苦戦しています。一番のダメージは5Gスマートフォンを販売できないことで、ここ数年の新製品はすべて4G対応です。ファーウェイは生き残りをかけるため、新製品には常に渾身の力をふり絞ったかのように、優れた製品を次々と送り出してきました。Mate X3は折りたたみスマートフォンの概念を180度変えてしまう製品なのです。

  • 折りたたむと普通のスマートフォンかと思う大きさになる

そんなファーウェイの上を行く優れた製品が、まさか他のメーカーから出てくるとは誰も想像していなかったでしょう。中国メーカーで折りたたみスマートフォンを出しているメーカーは、他にシャオミ、OPPO、vivoなどがありますが、どのメーカーも第二世代の折りたたみスマートフォンはサイズをわずかに小型化しています。Magic V2も「V2」の名前からわかるようにHONORの折りたたみスマートフォンの2機種目の製品ですが、世界最薄の折りたたみスマートフォンが出てくるとは予想外でした。

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とはいえHONORも過去をさかのぼればファーウェイから分離・独立したメーカーです。アグレッシブに新製品を開発する精神は両者とも似通ったところがあるのでしょう。HONORは中国国内で今や上位に入る大手メーカーになりましたが、ファーウェイを追い抜く製品を出すことで既存のファーウェイ製品ユーザーさえも奪おうと考えているに違いありません。

HONORは日本で販売展開していないことから、Magic V2が出てきても日本の市場には関係ない、と思うかもしれません。確かにMagic V2が日本で出てくることはないでしょう。しかしファーウェイとHONORから相次いで極薄・軽量の折りたたみスマートフォンが出てくるとなると、他のメーカーもそれに追従せざるを得なくなるでしょう。

  • 他メーカーも薄型化に向かわざるを得なくなった

7月末に折りたたみの新製品を発表予定のサムスンも、その新製品がどこまで薄くなるかが見ものです。そしてサムスンの来年の折りたたみモデルは、さらにサイズを薄くしなくてはいけないでしょう。シャオミも8月に折りたたみ新製品を控えていると噂されていますが、どのような製品が出てくるか楽しみになってきました。

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さて、もはや折りたたみスマートフォンの大きさが一般的なスマートフォンと変わらなくなると、折りたたみスマートフォンというカテゴリも変わっていくでしょう。たとえばサムスンのスマートフォンは「折りたたみ」「ハイエンド&カメラ」「一般向け」の3つのラインナップに分かれています。他社もほぼ似たような感じです。しかしMagic V2のような製品サイズが当たり前になると、折りたたみスマートフォンにも高性能なカメラを搭載し、「ハイエンド&カメラ」製品の最上位モデルとする動きが加速しそうです。

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スマートフォンを購入する側も「折りたたみか、折りたたみ以外か」という選択肢から、「一番いいスマホは折りたたみ」という意識に変わっていく、というわけです。そうなると折りたたみスマートフォンを出さないメーカーは「最上位モデルを持たないメーカー」というイメージになってしまい、他メーカーとの競争に勝てなくなるかもしれません。

なお、折りたたみスマートフォンには「縦折り式」のモデルもありますが、こちらはファッションやスタイル、という方向の製品に進化していくでしょう。

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HONOR Magic V2の登場は、数年もすれば折りたたみスマートフォンは当たり前のものになり、誰もが使う時代が来るということを予感させてくれます。HONORはグローバルでもMagic V2を展開する予定なので、ヨーロッパなどでどれくらい受け入れられるのかが気になるところです。