最近のスマートフォンはケースやカバーをつけるのが勿体ないと思えるような、美しい外観のモデルも増えています。2023年4月に海外で発売になった2つの新製品もそんなモデルで、そのデザインはまるで高級ブランド品のようなテイスト。スマートフォンの上位モデルは性能がいいのは当たり前で、各メーカーは製品デザインで差別化を図っています。
vivoが4月20日に発表した「vivo X Flip」は同社初となる縦折り式のスマートフォンです。縦折り式のスマートフォンはサムスン、ファーウェイ、モトローラに続き、2022年12月にOPPOが発売。OPPOの「Find N2 Flip」は中国で今最も人気の縦折り式スマートフォンと言われています。vivoもそれに続けとばかり縦折りモデルを出すことで若い世代へアピールしようとしています。
vivo X Flipは外側に3インチの横型ディスプレイを搭載しています。本体を閉じたままでもSNSアプリを表示したり、カメラを起動して自撮りができるなど、今までとは異なるスマートフォンの使い方もできます。手のひらに納まるコンパクトなボディーサイズから女性をターゲットにした紫色のボディーも用意されています。そのボディーの表面をよく見るとビーガンレザーを使った本革風の風合いに仕上げているだけではなく、クロス状のモールド処理などにより、どことなく高級ブランド品のバッグのような見た目になっています。
一方、ファーウェイが4月17日に発表した「nova 11」もvivo同様に本体仕上げに特徴のあるスマートフォンです。ファーウェイのスマートフォンはカメラ強化の「P」シリーズ、パフォーマンスの「Mate」シリーズ、そしてセルフィー特化の「nova」シリーズと3つの柱を掲げていますが、nova 11もフロントに6,000万画素カメラを搭載する強力なセルフィーモデルです(nova 11 Proとnova 11 Ultra)。
nova 11の本体背面もよく見ると「nova」の文字を配したデザインが刻印されており、きれいに並んでいます。こちらもやはりブランド品の革製品の表面のようなデザインです。パッと見てこれが「nova」と表記されていることがわからなくても、端末のさりげないアクセントになっています。
nova 11 Pro、nova 11 Ultraのメインカメラは5,000万画素なので、フロントカメラのほうが高画質。普段からフロントカメラしか使わない、そんなユーザーをターゲットにしている製品というわけです。おそらく、こちらもメインユーザーは女性を意識しているのでしょう。とはいえ代表モデルとなるグリーンに加え、万人向けにブラックのモデルも販売されています。
スマートフォンの仕上げを高級に見せる取り組みは、2019年9月にファーウェイが発表した「Mate 30」あたりから始まったように思います。ビーガンレザーを使うことで本革のような風合いを実現し、それまでガラス仕上げが一般的だったハイエンドモデルの外観を大きく変えました。ビーガンレザーはそれまでのいわゆる「合皮」よりも高級感があり、本革には質感では劣るもののスマートフォンのような小さな製品ならばその差は気になるものでもありません。当初は革のイメージを強く出すためオレンジのビーガンレザーを採用した製品ばかりでしたが、最近では他の色のモデルも増えています。
Tecnoの「Phantom V Fold」のように革の風合いを変えた仕上げも出てくるなど、ビーガンレザーはスマートフォンの外観デザインのバリエーションを大きく広げるものになっています。しかしこれまではどちらかというと重厚感のある仕上げになっており、クラシカルなイメージに近いように感じられます。カメラ強化スマートフォンがこぞってこの素材を採用しているのも、製品イメージに合致するからでしょう。
これらのモデルに対してvivo X Flip、nova 11はビーガンレザーの新しいデザインの方向性を見せています。本革を使った様々な製品があるなかで、それらのデザインが今後はスマートフォンにもどんどん取り入れられていくのではないでしょうか。スマートフォンは「色」ではなく「表面仕上げ」で選ぶ、そんな時代がこれからやってきそうです。