折りたたみスマートフォンは画面を開けば小型タブレットとして使える便利な存在ですが、本体は重く、閉じたときも厚みがあるので日常的にはやや使いにくい製品です。それでは今使っているスマートフォンが、そのまま左右に開いて大画面が使える製品だったらどうでしょうか? ファーウェイが3月23日に発表した「Mate X3」は、折りたたみスマートフォンとは思えぬ驚異的な薄さで、しかも「iPhone 14 Pro」より小さく軽いのです。

  • 超薄型の折りたたみスマホ「Mate X3」

Mate X3 Proの閉じたときのサイズは156.9×72.4×11.8mm、質量は239g。iPhone 14 Pro Maxは160.7×77.6×7.9mmで、縦横のサイズは折りたたみスマートフォンであるMate X3のほうが小さいのです。なお画面サイズはMate X3が6.4インチ、iPhone 14 Pro Maxは6.7インチ。「iPhoneのほうが画面が大きいから、本体が大きいのは当然」かもしれませんが、Mate X3はこのサイズから本体を開けばタブレットに変身するのです。

  • 普通のスマホと変わらぬ厚さ

本体を開くと7.85インチの画面が現れます。開いたときのサイズは156.9×141.5×5.3mmと驚異的な薄さになっています。5mm台の薄いスマートフォンというのはなかなか無く、現時点では世界最薄クラスと言えます。ここまで薄いと開いた状態でも持ちやすく、またこのままかばんの中に書類や雑誌にはさんで入れておくこともできてしまいそう。そもそもMate X3が折りたためるスマホであることを忘れてしまいそうです。

  • 5.3mmしか厚さが無い

カメラは5,000万画素に加えて800万画素の光学5倍カメラと1,300万画素の超広角カメラの3つを搭載。さすがにカメラ部分は若干出っ張りがあるものの、気になるほどではありません。またファーウェイは以前ライカとカメラで提携していましたが、現在は独自の技術「XMAGE」を開発しており、AI処理や色づくりも高い性能を誇っています。

  • 薄いボディに5,000万画素カメラを搭載

さてここまで本体サイズが薄くなると、もう折りたたみスマートフォンを選ばない理由が見つからないかもしれません。11.8mmの厚さは他のスマートフォンと比べるとやや厚みがあるものの、角を丸めた処理のため持ちにくいことは無く、実際に製品を手で持ってみるとスペック上の数値よりも薄く感じてしまうほどです。今までの折りたたみスマートフォンはビジネスユーザーをターゲットにした製品が多かったのですが、Mate X3は一般的なユーザー向けのスマートフォンということで、カラバリも紫やゴールドも含めた6色展開となっています。

  • カラバリもカラフルで普通のスマホと変わらない

なお本体は閉じたときに隙間の無い「ゼロギャップ」構造となっており、たたんだときにディスプレイのたわんだ部分がヒンジの内側に収納される水滴型構造になっています。この構造の欠点はディスプレイを「奥に引っ込める」ため、フレームに完全に固定できずに防水機構に出来ないことでした。しかしMate X3はIPX8の防水に対応したので、水回りの環境などでも安心して使うことができます。

  • 防水対応で安心して使える

大きな画面で複数のアプリを同時に開いたり、本体を曲げて机の上に置いてカメラやビデオ会議を使いやすくする「Flex-Stop Mode」など、折りたたみ形状ならではの便利な機能も多数搭載されています。普通のスマートフォンでは面倒なことやできないことが、Mate X3なら自在に実現できるのです。

  • Flex-Stop Modeでビデオ会議も楽にできる

Mate X3はまず中国で発売になり、追ってグローバル市場でもリリースされます。中国での価格は1万2,999元(約24万8,000円)からで、高価ではあるものの他社の折りたたみスマートフォンと比べればそれほどの差はありません。ちなみに折りたたみスマートフォンでグローバル市場をほぼ寡占しているサムスンの「Galaxy Z Flip4」の中国での価格は同じ1万2,999元です。

  • 価格は他社の折りたたみスマホと変わらない

かなり魅力的なMate X3ですが、グローバル市場、特に先進国では大きな弱点があります。それはGoogleサービスに非対応なことと、5Gにも対応していないことです。どちらもアメリカ政府の制裁の影響であり、技術的ではなく政治的な問題でここまで優れたスマートフォンを十分活用できない情況になっています。日本でもファーウェイはスマートフォン新製品を発表しておらず、スマートウォッチやワイヤレスイヤホン、ノートPCなどに注力しているのが現状です。Mate X3のように抜きん出た技術を持った製品を、ぜひとも多くの人が体験できる機会を設けてほしいものです。

  • 日本での発売は期待できないが、日本人にもぜひ体験してほしい