最近では1億画素のカメラを搭載するスマートフォンも珍しくありませんが、アフリカでは2億画素のカメラを搭載するスマートフォンが売られています。Infinixが発売する「Zero Ultra」はAppleやサムスンなどメジャーメーカーにも負けないハイスペックなスマートフォン。充電も超高速です。

  • InfinixのZero Ultra

Zero Ultraは120Hzのリフレッシュレートを誇る6.8インチディスプレイを搭載、チップセットはMediaTek Dimensity 920で十分なスペックを持っています。メモリは8GBでストレージは256GB。そして自慢のカメラは2億画素の広角と1,300万画素の超広角を搭載。アフリカを中心に販売されていますが、価格は6万円前後とのこと。カメラ性能を考えるとリーズナブルに思えるかもしれません。

  • 2億画素カメラは世界で最強スペックだ

Zero Ultraのカメラは2億画素。2億画素となるとどれくらいきれいな画像が撮れるのか想像もつきませんが、たとえば風景を撮影して遠くの木に留まっている鳥を拡大しても、SNSで使う程度なら画質の劣化は認められないでしょう。望遠カメラは搭載していませんが、2億画素の広角で撮影して必要な部分をトリミングして疑似的に拡大すればいいのです。つまり写真撮影のたびにズーム倍率をいじる必要は無く、撮影後に切り取るという今までにはないカメラの使い方が可能になります。

  • ズーム撮影ではなく、撮影後に切り取るという新しい使い方ができる

また夜間撮影も強化されており、スーパーナイトモードで夜景をクリアに撮影できるといいます。主に新興国で販売されることから、夜は明かりが少ない場所も多く、その中で風景や人物を明るく写すことが求められているのでしょう。

  • スーパーナイトモードも搭載。アフリカ向けスマホならではだ

しかし、日本では知られていないInfinixが2億画素カメラを搭載するとは驚くべきことでしょう。2億画素カメラを搭載したモデルはシャオミとモトローラが出している程度で、製品化されたスマートフォンはまだ少数です。Infinixはアフリカや東南アジアで製品を販売していますが、親会社は中国のTranssion。中国メーカーのスマートフォンの技術の高さは日本でも知られていますが、Infinixも着々と技術力を高めているのです。またInfinixはあえて先進国や中国市場を避けて、新興国中心に製品を展開しています。ちなみに色の変わるスマートフォンを出しているTecnoもTranssionの傘下。これからスマートフォンの普及が高まる新興国向けに、Transsionは複数のメーカーをひっさげて市場を取りに行っているのです。

  • 色の変わるスマホ「Camon 19 Pro Mondrian Edition」を出すTecnoもInfinixと同じTranssionグループ

Zero Ultraには他にも大手メーカーに負けない機能を持っています。それが180Wの急速充電です。一般的なスマートフォンの充電容量は25W前後のものが大半ですが、Zero Ultraはそれをはるかに超えます。内蔵バッテリー容量は4,500mAhで、180W充電を利用するとゼロから100%までに必要な充電時間は12分。朝、寝坊してバッテリーが切れていても外出するまでに満充電させることが可能です。ここまで高速な充電速度も他のメーカーを見るとシャオミとvivoが出している程度で、Infinixの技術力の高さには驚かされます。

  • 180Wの急速充電に対応、12分で満充電が可能だ

とはいえ、アフリカ向けのスマートフォンにここまでの急速充電技術は必要なのでしょうか? アフリカと言えば時間がゆっくり動いている、そんなイメージを抱いてる方も少なくないと思います。となれば、ここまで高速でなくとも困らないと考えるのではないでしょうか。ところが事情は異なります。アフリカは電力事情が安定していない都市が多く、急な停電も日常的なものになっています。電力インフラが弱いだけではなく、電力会社の経営や技術が安定していないケースも見られます。つまりスマートフォンを充電する時間が短ければ短いほど停電の影響を受けないのです。という観点からは、アフリカの消費者はもしかすると2億画素カメラよりも180W充電のほうに注目しているかもしれません。

  • 本体のカラバリは2色。シルバーモデルはどことなくシマウマや野生動物をイメージさせる

シャオミ、OPPOなどが日本にも進出し、世界のメジャーメーカーの多くの製品が日本でも買えるようになりました。しかし世界にはまだまだ知られていないスマートフォンメーカーが多数あるのです。IDCの調査によると、2022年第2四半期のアフリカのスマートフォン市場のシェア1位はInfinixを含むTranssionグループで48%、2位サムスンの26%に圧倒的な差をつけています。この数字を見れば2億画素カメラと180W充電という高性能なスマートフォンをInfinixが発売するのも不思議なことではないかもしれません。世界のスマートフォンを語るとき、これからはアフリカで販売されている製品を無視することはできなくなりそうです。

  • アフリカのスマホがこれから注目される時代になる