外出するときにAirPodsを忘れてしまい、電車の中で音楽を聴こうと思ったのにできなかった、なんて経験はユーザーなら誰にもあるでしょう。また音楽を聴きながら帰宅して、自宅に戻ってAirPodsを外したもののそのままテーブルの上に置いてしまい、片方をなくしてしまったなんてこともよくあることです。小型のワイヤレスイヤホン(TWS)は手軽に使える反面、サイズが小さいため持ち出すのを忘れてしまったり、紛失してしまいがちです。
ならばスマートフォンと常にイヤホンを持ち歩けるようにすればいいのではないか? そんなアイディア製品が中堅メーカーのUlefoneから登場します。「Armor 15」は一見するとタフネス仕上げの強固なスマートフォン。ところが本体の上部を見ると蓋のようなものが見えます。そう、この蓋を開けるとイヤホン本体を収納できてしまうのです。
タフネススマートフォンは複数の中堅メーカーから様々な製品が出ていますが、防水防塵に加え落下にも耐えうる構造であることから本体サイズは一般的なスマートフォンより大型になります。特に厚みは倍くらいになります。Armon 15はその厚みの部分を生かしてイヤホンを収納してしまうという逆転の発想的な機能を搭載したわけです。
イヤホンを本体内に収納するメリットは他にもあります。イヤホン本体の充電はスマートフォンの内蔵バッテリーから行われるので、収納しておけば自動的に充電されるわけです。しかもタフネススマートフォンのArmor 15は6,600mAhの大容量バッテリーを搭載していますから、イヤホンを充電したくらいでは本体の動作時間に大きな影響を与えることもありません。ちなみにイヤホン「uBuds」は一度の充電で5時間の音楽再生が可能。本体に収納して充電を繰り返せば延々と音楽を聴くこともできそう。なお本体のバッテリーをすべてイヤホンの充電に使うとすると、約100回の充電が可能で、音楽再生時間は505時間。つまり計算上は約21日、3週間も音楽を聞き続けることができるのです。
Armor 15の主なスペックは4G対応のHelio G35チップセット、メモリ構成は6GB+128GB、5.45インチ1,440x720ピクセルディスプレイ、カメラは広角1,200万画素+超広角1,300万画素、フロント1,600万画素など。タフネス仕様はIP68防水防塵、IPX69K、MIL-STD-810Gに加え、15メートルからの耐落下性、1.5メートルの水中で30分使用可能、そしてちょっと珍しいのが耐酸性で、Ph(ペーハー)4.17の弱酸にも耐えるとのこと。サイズは170.2x79.6x18.2mm、346gです。
Armor 15はニッチなタフネス市場向けの製品ながら、イヤホンの収納は一般的なスマートフォンでは無理ですから、意外と需要はあるかもしれません。価格は259.99ドル(約3万5,000円)ですがクラウドファンディングでは169.99ドル(約2万3,000円)で予約を受け付け中。音楽スマートフォンとして面白い存在なので日本でもそのまま販売してほしいものです。
さて実はiPhoneもAirPodを収納することができないことはありません。AiPodsを背面に収納することができるケースがいくつか販売されています。ただし充電はできないようなので収納専用。電池切れの時はケースに入れて充電が必要になるため、ケースも持ち歩かなくてはなりません。とはいえiPhone単体を常にしながら音楽を聴きたい人には便利な存在でしょう。なおAppleはAirPods収納ケースの特許を出しているので、いずれ純正ケースとしてでてくるかもしれません。
さてイヤホン収納端末はスマートフォンだけに留まりません。HDM Globalが展開するノキアブランドのフィーチャーフォンの新製品も、イヤホンが収納できます。「Nokia 5710 XpressAudio」は本体がスライド式で、後ろ半分を下にスライドさせると収納されたイヤホンを取り出すことができます。
フィーチャーフォンはスマートフォンよりも本体サイズには厚みがあるためイヤホンの収納は難しくありません。とはいえイヤホン収納型のフィーチャーフォンは中国の小規模メーカーが過去にいくつか製品を出したくらいでした。そもそもフィーチャーフォンにそこまで機能を求める人はいなかったのでしょう。しかしフィーチャーフォンも今や通信方式は4G対応が当たり前となり、内蔵メモリもより低コストで大きい容量を搭載できるようになりました。このNokia 5710 XpressAudioもフィーチャーフォンとしては大容量の128GBのストレージを内蔵しています。
中国ではスマートウォッチにイヤホンを収納できる製品も出ています。音楽を聞くだけではなく動画の視聴やビデオ会議など、日常的に「音」を聞く機会が増えたことで、ワイヤレスイヤホンの利用者はこれからさらに増えていくでしょう。イヤホンも音質だけではなく、本体の形状やケースサイズなどもこれからさらに進化していくことでしょう。