最近のスマートフォンのカメラは数年前の高性能なコンパクトデジタルカメラをはるかに超える性能を持っています。各メーカーの新製品も「暗所撮影の強さ」「手振れ補正」そして「動画撮影性能」を強化しており、ハイエンドモデルを買えばどの製品も手軽に美しい写真が撮影できるようになっています。
このように各メーカーがカメラ性能を高めていく中で、Nubiaが発売した「nubia Z40Pro」のカメラに注目が集まっています。Z40ProはチップセットにSnapdragon 8 Gen 1を搭載したハイスペックなスマートフォンで、6.67インチのディスプレイは144Hzという高速駆動で画面表示もスムーズ。5,000mAhのバッテリーは80Wの急速充電に対応し、十分魅力的なハイエンドスマートフォンと言えるでしょう。
nubia Z40Proは3つのカメラを搭載します。一般的なスマートフォンのカメラは、標準が広角(26mm前後)で、ウルトラワイド撮影を可能にする超広角(16mm前後)、さらには2倍から3倍の望遠を搭載し、幅広い焦点距離に対応しています。ミドルレンジモデルなどではコストを抑えるためにメインの撮影カメラを2つとし、3個目のカメラはマクロや深度測定用を搭載する、という構成になっています。
ところがnubia Z40Proのカメラは標準が35mmと、一般的なスマートフォンよりも焦点距離が長くなっています。35mmは広角よりもゆがみが少なく人物撮影に適しているのです。そしてセンサーには6,400万画素のソニー最新モデル「IMX787」を世界で初めて搭載しました。
それでは35mmではどのような人物写真が撮影できるのでしょうか。Nubiaの作例を見ると、椅子に座っている人の前でスマートフォンを構えて撮影すると、35mmならちょうどいい具合に人物が中央に写ります。一方26mmではやや引き気味になるため、室内の写り込みが多くなります。場合によっては窓などから外の光が入るため逆行気味にもなってしまうことも。それを防ぐために人物に近寄ると、26mmでは周囲が若干ゆがんでしまい、美しいポートレート撮影ができません。
Nubiaによるとこの35mmのカメラは従来の26mmよりゆがみを35%抑えているそうです。各社のスマートフォンカメラが「なんでも綺麗に撮影できる」ことを売りにしているのに対し、nubia Z40Proは「被写体の表情の内面までもを表現するカメラ」の搭載を目指しているようです。実際にカメラには「Human Street Shooting」という機能が搭載され、様々なフィルターで美しいポートレート撮影を可能にしてくれます。他にも街中の空気をそのまま表現できるような「street photography」機能も搭載しているとのこと。
nubia Z40Proは他にも2つ、合計3つのカメラを搭載します。5,000万画素の高画質な超広角カメラ(16mm)は風景写真や集合写真も楽に撮影できます。また800万画素の望遠カメラは光学5倍の焦点距離を実現、デジタルでは30倍までに対応します。なおこれら3つのカメラのうち、標準と望遠には光学手ブレ補正もあるので三脚不要でブレの無い写真も撮影できます。
nubia Z40Proを使った写真撮影は、一眼タイプのカメラに50mmや35mmの単焦点レンズをつけ、人物や街の写真を撮影するスタイルに共通するものがあるかもしれません。nubia Z40Proは他社のどの高性能カメラを搭載したスマートフォンよりも「カメラ」に近い製品と言えそうです。
カメラの性能を単に高めるのではなく、人物やストリートにより特化したカメラの搭載は、スマートフォンの差別化という点で正しい進化と言えるかもしれません。デジタルカメラの代わりとして使えるスマートフォンのカメラですから、撮影そのものを楽しみたい人には特化したカメラの搭載が製品の大きな差別化要素にもなるでしょう。
ところでnubia Z40Proにはスペシャルモデルも用意されています。バッテリー容量を4,500mAhに減らした「nubia Z40Pro Gravity Edition」です。このモデルは背面にマグネットを内蔵しており、磁力で装着できるワイヤレス充電器が別売されます。これはAppleのMagSafeと類似の機能で、Apple以外ではまだ本格的な採用は始まっていません。おそらくマグネットを埋め込むことでバッテリー容量を減らさなくてはならないため、この技術の商用化に二の足を踏むメーカーが多いのでしょう。
ところでNubiaの名前は日本ではあまり知られていませんが、ゲーミングスマートフォン「RedMagic」を日本でオンライン販売しています。またNubiaはZTEの関連会社であり、ZTEは日本でもいくつかのスマートフォンを出しています。nubia Z40Proの日本発売は今のところ予定されていませんが、ぜひこのカメラは使ってみたいものです。