子供たちのスマートフォンの使いすぎを防いだり、学習機能を搭載するなどした「キッズスマートフォン」が各国で販売されています。日本ではソフトバンクの「ジュニアスマホ」のように、iPhoneなど一般的なスマートフォンに設定を加えることで、特定サイトへのアクセスや課金制限を行うなどして子供でも安心してスマートフォンが使えるサービスも展開されています。一方韓国では子供に人気のキャラクターをあしらったスマートフォンに専用メニューを搭載した子供向けスマートフォンを各キャリアが販売しています。
韓国キャリアのLG U+が新たに発売した「U+キッズフォン with リトルカカオレンズ」は、韓国版LINEと言えるカカオトークのキャラクター、カカオフレンズのデザインをあしらった子供向けのスマートフォンです。子供に人気のキャラクターを採用することで子供たちが毎日使いたくなるデザインに仕上げたのです。しかし見た目をかわいらしくしただけでは目新しさはありません。U+キッズフォン with リトルカカオレンズは今までの子供向けスマートフォンにはなかった特徴を持っているのです。
U+キッズフォン with リトルカカオレンズは専用に開発されたスマートフォンではなく、市販のスマートフォンがベースになっています。そのベースモデルはサムスンの「Galaxy XCover 5」。サムスンのスマートフォンと言えば折り畳み型の「Galaxy Z」シリーズなどが有名ですが、Galaxy XCoverシリーズはタフなボディーが特徴のアウトドア利用も意識した製品です。ディスプレイは5.3インチ1,480x720ピクセル、チップセットはサムスン製Exynos 850で4Gに対応、カメラは1,600万画素シングル、フロントカメラは500万画素というベーシックな機能のスマートフォンですが、海外での価格は2−3万円程度と安く、手軽に使えるタフネススマートフォンという印象です。
スペックだけを見るとエントリーモデルのXCover 5ですが、手袋をしていても操作できるディスプレイや、本体左にはカスタマイズ可能な「XCover」ボタンを配置、赤く目立つ大きなボタンに好きなアプリを割り当てれば一発で起動できます。他にもサムスン独自のセキュリティシステム「KNOX」を搭載するなど、企業や現場の最前線で使うための機能が搭載されています。
このタフ&プロフェッショナルツールとして販売されているXCover 5が子供向けのかわいらしいスマートフォンに化けるというのは驚きですが、子供たちのスマートフォンの使い方を考えると理にかなったことと言えるでしょう。子供たちはスマートフォンを丁寧に扱うわけではなく、時には公園で走ったり木に登ったりと激しく動きます。ポケットに入れておいたスマートフォンを落としてしまうことも1日に何度もあるはずです。タフボディーのスマートフォンなら、子供たちが多少乱暴に扱っても破損する恐れはありません。さらにXCover 5の5.3インチという画面サイズも子供の手でちょうど使いやすい大きさなのです。
とはいえGalaxy XCover 5のダークなボディーカラーは子供にとって親しみを感じさせられませんから、U+キッズフォン with リトルカカオレンズは本体カラーをホワイトにし、さらに専用ケースを付属、そして壁紙やメニューをカスタマイズしてキッズフォンに仕上げられています。ネックストラップも付属するなど、U+キッズフォン with リトルカカオレンズにはXCover 5の面影は全く残っていません。
さてU+キッズフォン with リトルカカオレンズのもう1つの特徴が付属するスマートタグです。Appleが「AirTag」を発売してから、かばんやキーホルダーなど身の回りに取り付ける忘れ物防止用の位置追跡タグを使う人が増えています。今まで販売されてきた子供向けスマートフォンは、スマートフォン内蔵のGPSを使い、親のスマートフォンから子供の居場所を追跡することが簡単にできました。
しかしスマートフォンの電源が切れてしまったり、紛失してしまうと子供の居場所を追跡することが難しくなります。U+キッズフォン with リトルカカオレンズはクリップタイプの位置追跡タグを付属させ、子供はリュックサックや自分の洋服のポケットなどに取り付けられるようになっています。これにより子供のスマートフォンがなくとも、子供がどこにいるかを追跡できるのです。
タフなボディーで壊れにくく、スマートタグ付属で常に子供の位置が確認できるU+キッズフォン with リトルカカオレンズ。タフネススマートフォンを作っているメーカーにとって新しいビジネスチャンスにも見えるでしょうし、位置情報タグを展開している企業も、スマートフォンメーカーと組み両者をセットにして子供向けに販売するという新たな展開もできるでしょう。子供の安全を守るためのキッズスマートフォンはまだまだ進化していくのです。