海外市場で急激に販売数を伸ばしているrealmeから持ち歩くことが楽しくなるスマートフォンが海外で登場しました。その外観はまるでスーツケース。このスマートフォンのデザインをしたのは無印良品やKDDIの「INFOBAR」を手掛けた日本のデザイナー、深澤直人氏です。
このスーツケースデザインのスマートフォンは2種類が発売になります。上位モデルの「Realme GT Explorer Master Edition」はSnapdragon 870に6.55インチディスプレイ、5,000万画素+1,600万画素・超広角+200万画素・マクロカメラを搭載、バッテリーは4,500mAh。上位モデルだけあって、5,000万画素カメラはソニーの1/1.56"型センサー、IMX766を搭載します。このセンサーは各メーカーのハイエンドモデルで採用されているものです。カラバリは4色ありますが、深澤氏によるスーツケースデザインは「グレイ」と「アプリコット」の2色となります。予定価格は499ユーロ(約6万4,000円)。
一方、普及モデルの「Realme GT Master Edition」はSnapdragon 778Gに6.43インチディスプレイ、6,400万画素+800万画素・超広角+200万画素・マクロカメラを搭載。バッテリーは4,300mAhになります。こちらのカラバリは3色あり、スーツケースデザインは「グレイ」の1モデルのみ。なおどちらのモデルもスーツケース状の背面には深澤氏のサインも入っています。価格は399ユーロ(約5万1,000円)の予定です。
スーツケースのデザインをスマートフォンに取り入れるアイデアは斬新ですが、このデザインをの採用には大きな意味があります。製品開発コンセプトについて深澤氏は動画で説明しているので、興味ある方はぜひrealmeインドのYouTube動画をご覧ください。
深澤氏は、スーツケースデザインのスマートフォンを生み出したのは、新型コロナウィルスの影響により移動する自由が制限されている今だからこそ求められているといいます。このスマートフォンを手にすればスーツケースが掌の中にあるという気持ちになり、日常生活の中に「旅」を思い浮かべることが可能になるのです。遠い場所に移動することだけではなく、日々の生活に探求心を持つことも旅なのです。
realmeはコストパフォーマンスの高い製品だけではなく、デザインにこだわったりライフスタイルを提唱する製品を多数展開しています。スマートフォンはもはやある程度の性能があれば、日常的な利用に不満が出ることもないほど製品全体のスペックが上がっています。各メーカーの競争が激しくなる中、価格だけで差別化を図ることも難しくなっています。realmeは「realmeの製品だから欲しい」と思わせる製品を出すことで急成長を遂げているのです。
Strategy Analyticsの調査によると、2021年第2四半期、ヨーロッパのスマートフォン出荷量でシャオミがサムスンを抜いて初の1位となりました。シャオミは前年同期比67.1%という大幅な伸びを示し、サムスンを一気に抜いたのです。しかし注目すべきはシャオミの動きだけではありません。realmeのパフォーマンスを見ると、なんと前年同期比で1,800%という驚異的な増加により、シェア5位に入りました。realmeのシェアはわずか3.8%と低いものの、ヨーロッパ市場での存在感をじわじわと高めているのです。これは他社と十分差別化された製品を展開していった結果がもたらしたものでしょう。
Realme GT Explorer Master Edition / Realme GT Master Editionはスーツケースデザイン以外のカラバリモデルも上品な仕上げになっており、スマートフォンをスペックや価格ではなくデザインで選ぶ製品にしています。家電量販店ではなくインテリアショップなどで展示してもおかしくないのではないでしょうか。
深澤氏とrealmeのコラボレーションは今回が初めてではなく、過去には玉ねぎとガーリックデザインを施した「realme X」を発売したことがあります。この2つのデザインも当時としては斬新でした。
日本ではヘッドホンやモバイルバッテリーなどIoT製品のみを展開しているrealme。スマートフォンはまだrealmeのブランドが知られていないことから日本での展開はすぐとはいかないようです。しかし日本人デザイナーのモデルを海外だけで販売するというのももったいない話です。ぜひスーツケースデザインのスマートフォンを日本市場でも販売してほしいと思います。