スマートフォンのカメラの進化は凄まじく、1億画素を超えたカメラを搭載するモデルも出ています。しかしどんなにいいカメラを搭載していても、暗いところで人物を写すのは難しいもの。特にフロントカメラを使ったセルフィーを室内で撮るときは、外付け式のLEDライトを使うなどしないと顔がきれいに写ってくれないこともあります。ファーウェイはそのあたりをわかっているのか、LEDライト付きスマートフォンケースを去年のモデル「Mate 40 Pro」向けに出しましたが、7月29日に発表された最新モデル「P50」にも同様にLEDライトケースが発売される予定です。
セルフィーだけではなく、スマートフォンからビデオ会議に参加するときも、暗い部屋だと自分の顔がはっきり見えなくて迷惑をかけてしまいがちです。実はフロントカメラの横にLEDライトを搭載し、顔を照らしてくれるスマートフォンが過去にいくつか販売されました。日本ではASUSのセルフィーを強化したスマートフォン「ZenFone 4 Selfie Pro」がフロントライトを搭載していました。
しかし大手メーカーの主力モデルがフロントライトを搭載しないことからわかるように、この機能は誰もが求めるものではないのでしょう。とはいえSNSに自分や友人たちとの顔写真をアップするのは昔も今も変わりません。スマートフォンを使ったセルフィーも最近は背景がボケるポートレート写真に人気が高まっています。そんな中、暗い室内でもより美しい顔写真を撮れるようにと、今度は2つのフロントライトを搭載するスマートフォンが出てきました。
実はデュアルフロントライトを搭載したスマートフォンは今から約3年前に登場しています。セルフィーに特化したスマートフォンを出していた中国Meituの「V7」はフロントカメラが3つ、さらにフロントデュアルライトを搭載していました。ここまでセルフィーにこだわったスマートフォンは未だに出てきていません
Meituはその後、同じ中国のシャオミに買収されてしまい、セルフィー強化スマートフォンはしばらく市場には出てきませんでした。ところが2021年に入ると中国のVivoが春に「S9」、夏に「S10」と立て続けにフロントカメラが2つ、ライトも2つあるセルフィースマートフォンを投入。製品型番の「S」はSelfieの略なのでしょうか。フロントカメラは4,400万画素と800万画素の超広角で、室内での集合写真撮影も楽に撮影できます。
Vivoはグローバル向けにもデュアルフロントライトスマートフォンを発売。コストの関係からかフロントカメラは1つしかありませんが、4,400万画素の高画質カメラを引き続き搭載した「V21」はインドや東南アジアで販売されています。
実際にフロントライトの有無でどれくらい顔写真の写り映えは変わるのでしょうか。照明の明るい室内ではその差はあまり感じられませんが、飲食店など若干暗いお店ではその効果は抜群のようです。Vivoの作例を見てみると、ライトを使ったほうが明るいだけではなく自然な色合いで写っています。ライトの効果とVivo得意の美顔効果で、しっかりと映えるセルフィーを撮影できるというわけです。
さてVivo以外にフロントデュアルカメラを搭載しているスマートフォンはあるのでしょうか? 筆者が調べてみたところ、新興国で製品展開しているInfinixの「Infinix Note 10 Pro」が2つのライトを搭載しています。しかし同社のグローバルサイトのスペック表にはフロントライトについての記載が見つかりません。一方同社インドの製品紹介ページにはしっかりと「AI Dual LED Flash」の表記がありました。セルフィー人気のインドでは重要な機能ですが、他の国ではそれほどニーズがないのでしょうか。
スマートフォンのカメラ進化はまだまだ止まらず、シャープの「AQUOS R6」のように1インチの巨大なセンサーを搭載するなど高性能化がさらに進んでいくでしょう。しかし光量が足りないところでも綺麗に人物写真を撮影するためには、フロントカメラ側へのライト搭載もこれから必要とされるかもしれません。スマートフォンのフロントカメラ側の進化もこれから様々な動きが出てくるでしょう。