AppleのAirPodsを筆頭に多数のメーカーから様々な製品が販売されている左右分離型の小型ワイヤレスヘッドホン、いわゆる「TWS」(True Wireless Stereo)はスマートフォンで音楽を聞くだけではなく動画を見ることが当たり前になった今、日々の必需品になったと言えるでしょう。音質にこだわった製品からデザイン性を追求した製品、そして価格勝負の激安モデルも登場しています。さすがに100円では売られていませんが、100円ショップでも1,000円程度のTWSが販売されています。市販されているTWSの種類はおそらく100どころではないでしょう。そんなTWSに新しいタイプの製品が登場しています。
TWS市場はもはやレッドオーシャン、激戦市場となっています。中小メーカーが価格で勝負しようにも、たとえば日本に参入した大手スマートフォンメーカーのrealmeが販売しているTWS「Buds Q」は3,480円。メジャーメーカーのTWSですらここまで安いとなると、価格だけで勝つことは無理でしょう。
そこで中小のメーカーは価格以外で勝負をかけています。最近よく見かける製品が、スマートウォッチ・リストバンド型デバイスにTWSを内蔵したもの。中華系の通販サイトなどで売られています。しかし日々の運動データはGoogle Fitなどに保存して、他のアプリやサービスと連携したいもの。ノンブランドのスマートウォッチを買っても、歩数や消費カロリー、睡眠状態データがクローズドな環境では使いにくく、売れ行きは今一つというのが正直なところでしょう。
TWSはケースを含めて小さいため、急いで外出したとき家に置き忘れてしまったという人も多いでしょう。一方、スマートフォンを日々使うために必須な製品がモバイルバッテリーです。モバイルバッテリーはスマートフォンと必ずセットで持ち運ぶはずです。ならばモバイルバッテリーにTWSを内蔵してしまえ、というアイディア製品がこの夏あたりから急増しているのです。
スマートウォッチにTWSを内蔵するとどうしても本体サイズが大きくなってしまいます。モバイルバッテリーならもともとスマートフォン程度の大きさなので、TWSを内蔵するスペースを余裕で作ることができます。TWSをモバイルバッテリーの側面からはめ込んだり、表面をスライドさせて内部に収納したり、上部を開いてはめこむなど収納方法は各メーカーが工夫を凝らしています。AirPodsの収納ケースなどは小さいのでケースごと紛失してしまうかもしれませんが、モバイルバッテリーなら失くすことはまずないと思われます。
そして最大の利点はモバイルバッテリーにTWSを収納しているとき、常に充電される点です。近頃は大型のモバイルバッテリーが多く、スマートフォンを2回くらい充電できるだけの大容量のものもあります。TWSを充電したくらいでバッテリー残量が急激に減ってしまうということもないはずです。某メーカーの製品は内蔵バッテリーの容量は10,000mAh。仮にTWSだけを使うとすると、充電は115回、音楽再生は460時間、約19日も使えます。帰宅後はモバイルバッテリーだけを充電すればTWSも同時に充電されるので充電の手間も省けるのもメリットです。
また、最近はモバイルバッテリーにワイヤレス充電機能を搭載している製品が多いので、USBケーブルを持ち運ばなくとも外出中にスマートフォンを置くだけで充電できます。TWSの充電ももちろんケーブル不要、本体に収納するだけですから、持ち物を減らすこともできますね。
スマートフォンの充電が可能で音楽も聞けるヘッドホンも使えるTWS内蔵モバイルバッテリー、難点があるとすれば知名度の低いメーカーの製品ばかりなのでヘッドホンの性能とバッテリー部分の安全性でしょうか。大手メーカーからしっかりした品質の製品が出てくれば革命的なモバイルバッテリーになるかもしれませんね。