普段の生活の中で手のひらや衣服に消毒液を噴霧したり、あるいは普段使っているスマートフォンをアルコールの布でふいて殺菌する、といったことが当たり前になりました。スマートフォンだけではなく眼鏡や化粧品など、外出時に使った身の回りのアイテムもウイルスや雑菌が付着している可能性は高く、とはいえそれらを一つ一つふき取るのも大変です。そこで生まれたのが中身をワンタッチで殺菌してくれるバッグです。

  • ニューノーマル時代ならではのバッグが登場

筆者の居住する香港で4月に行われたスマートライフ系の展示会で見つけたのがOMYLIVING社の販売する紫外線(UV)ライト内蔵バッグ。「紫外線殺菌バックパック」と小型の「紫外線殺菌ボディバッグ」の2種類があり、その内部に工夫がされています。

  • バックパックの外観はごく普通のデザイン。色は3色

バックパックは高38.6x幅27.5x奥8.0cm、重さ680gのスリムなバックパック。外部にはファスナー付きのポケットがあります。バックパックの肩紐は背面にしまうことができ、側面の取っ手を持てばビジネスバックのようにも使えます。

外見は普通ですが、内部は一般的なバッグと大きく異なります。ファスナーを開いてみると一面が銀色のシートに覆われているのです。内部には透明なパーツが見えますが、これが紫外線のライト。全部で6個備え付けられています。バッグの中を銀色のシートで覆うことで光を反射させ、バッグの内部全体にまんべんなく紫外線ライトの光が照射できるようになっているのです。

  • バッグ内部は一面銀色。紫外線ライトが6個装着されている

バッグには800mAhのバッテリーが内蔵されています。使用前には付属のUSBケーブルを使ってバッテリーを充電します。満充電には2時間かかるので、数日おきに帰宅後に充電するといいでしょう。1度の充電で約80回の紫外線ライト点灯による殺菌が行えます。

紫外線ライトを使った殺菌を行うには、バッグに殺菌したいものを入れ、ファスナーを閉めます。ファスナーを完全に閉じると、ファスナーの引手部分がバッグにあたる位置にマグネットが内蔵されており、引手が固定されます。続いてすぐ横の電源ボタンを2秒押すと緑のランプが点滅開始し紫外線ライト照射による殺菌がはじまります。殺菌時間は1分間。なお紫外線ライトは目を痛めてしまうので、バッグが開いているときには紫外線ライトは自動的に消えます。バッグが開いているかどうかは、ファスナーの引手がバッグにマグネットで留まっているかどうかで自動判断されます

  • (上)ファスナーの引手をバッグのマグネットに止め、電源ボタンを押す。(下)引手がバッグから離れるとバッグ内部の紫外線照射は自動的に止まる

電源ボタンの色が緑は紫外線ライトが照射中。赤になれば照射終了です。内部に入れているものが多いときは位置を変えたりして再度殺菌するといいでしょう。

  • 赤いランプ点灯は充電中。緑になると満充電。殺菌中は緑ランプが点灯。終了後は消灯

実際にバッグの中で紫外線ライトはどのように光っているのでしょうか? スマートフォンのカメラをONにしたままバッグの中にいれ、ファスナーを閉じてボタンを押してみました。銀色素材のシートが張られているため、内部全体にライトの光が照射されていることがわかります。

  • カメラを入れてファスナーを占めて紫外線ライトを照射。内部全体に光がいきわたっている

このバッグパックを使いながら移動中に内部を殺菌するのもいいですし、外出先で休憩中にハンカチやタオルなどを入れて「紫外線殺菌機」のように使うのもありでしょう。1日に80回も紫外線をONにすることはないでしょうから、バッテリーも十分持ちます。

  • 外出先や旅先で身の回りの物を殺菌するのにも使えそう

もう1つのボディーバッグはポーチとして身の回りの物、財布や化粧品、スマートフォンなどを入れておくのに便利な大きさです。サイズは高20.0x幅13.0x奥5.0cm、重さは200g。カフェに入ったらマスクをこの中に入れて紫外線ライトをつけて殺菌する、なんてこともできます。バッテリーは500mAhで満充電時間は1.5時間。紫外線ライトを2つ備え、1度の充電で300回のライト点灯が可能です。

  • 小物を入れるのにちょうどいいボディーバッグは4色

このボディーバッグも蓋とファスナーを閉めなければ紫外線ライトをONにできません。安全対策がしっかりとられているので日常的に使えるでしょう。筆者はこのバッグを大きいバッグの中に常に入れておき、小物入れとして使ったり、外出先でマスクを入れて殺菌する用途に使ったりしています。

どちらのバッグも紫外線ライト1分の照射で99%のウイルスを除去できるとのこと。価格はバックパックが499香港ドル(約7,000円)、ボディーバッグが439香港ドル(約6,200円)。香港ではほかのメーカーも類似の製品を販売し始めており、バッグメーカーもこの機能に注目しています。ニューノーマル時代は「バッグを開くと中は銀色」「数日おきにバッグを充電」なんて光景が当たり前になるかもしれませんね。

  • 日常的に使うバッグが紫外線殺菌機能を備えるのが当たり前になるかもしれない