海外のクラウドファンディングに登場した「Alice Camera」は、スマートフォンをデジタルカメラの一部にしてしまうカメラモジュールです。調達目標に対して7倍以上の資金を集め、早ければ2021年第4四半期(9月ー12月)に製品が登場します。

  • スマートフォンがデジタルカメラの一部になるAlice Camera

スマートフォンのカメラ性能はもはやデジタルカメラに追いついているといっても過言ではありません。しかしながら、デジタルカメラは大口径や超望遠といった様々なレンズを利用できます。スマートフォンではどうしても歪んでしまう超広角撮影や、バードウォッチング時の鳥の撮影といった数百倍の望遠撮影はデジタルカメラには敵いません。

ですが、デジタルカメラでどんなにいい写真を撮影できようとも、撮影後にすぐにSNSにシェアできるスマートフォンの手軽さにはデジタルカメラは及ばないのです。このようにスマートフォンとデジタルカメラには一長一短がありますが、Alice Cameraはその両者を融合させる製品なのです。

  • 見た目はデジタルカメラ。レンズは交換できる

Alice Cameraは背面にモニターのないレンズ交換式のデジタルカメラ。iPhoneやAndroidスマートフォンを背面に装着できます。カメラの性能をチェックすると画素数は1,070万画素で、これだけを見るとスマートフォンのほうが高性能に思えます。例えばiPhone 12 Pro Maxは1,200万画素カメラを搭載しますし、サムスンやシャオミは1億800万画素カメラ搭載モデルも販売しています。対してAlice Cameraはマイクロフォーサーズ規格準拠のレンズ交換式カメラで、市販されている様々なレンズを利用できるというわけです。

  • 背面にスマートフォンを挟み込んで装着する

デジタルカメラのレンズとスマートフォンのカメラのレンズを比べれば、その大きさが違うのは一目瞭然です。明るさやゆがみ、色表現などスマートフォンはデジタル処理で補正を行いますが、デジタルカメラの性能のいいレンズなら、撮影するだけでゆがみのない明るい綺麗な写真を撮れるのです。

Alice CameraはWi-Fiを搭載しており、スマートフォンと無線接続してシームレスな利用が可能です。Alice Cameraは本体は撮影に徹し、プレビューやカメラ操作は背面に装着したスマートフォンのアプリを使います。撮影後の写真の加工やシェアもスマートフォンを使えば簡単に行えます。

Alice Cameraは32GBのメモリを内蔵しマイクロSDカードも利用できるため、保存した写真を常にスマートフォンに転送する必要はありません。撮影後、気に入った写真をすぐにスマートフォンに転送、SNSへシェアできるという格好になっています。

  • スマートフォンアプリで多彩な撮影やSNSシェアが可能

最近はリモート会議などの広がりを受け、IPカメラとして使えるデジタルカメラが増えています。PCにデジタルカメラをつなぎ、自分を写してストリーミングで映像を流せるという機能です。スマートフォンよりも明るい動画を流せるため、ライブ配信ユーザーが利用する例も増えています。Alice Cameraもライブストリーミングに対応しており、YouTubeやFacebook、インスタグラム、Tiktok、Twitchに直接映像を送れます。明るいレンズを使えば室内でも美しい映像でライブ配信が可能になります。

  • メジャーなライブ配信アプリにそのままストリーミングできる

スマートフォンのカメラの進化はこれからもまだまだ止まらないでしょう。しかし本体サイズの制約から、デジタルカメラのような大きいレンズを搭載することはできません。50倍や100倍望遠撮影が可能なスマートフォンがあるものの、画質は綺麗ではありません。実はデジタルカメラのレンズは中古品ならかなり安いものも多く、数千円程度で買えるものもあります。そのようなレンズはF値が高く暗い場所は苦手とするものの、明るいシーンなら十分実用的です。Alice Cameraに安価な望遠レンズをつければ、スマートフォンではむずかしい遠距離撮影も可能になるのです。

  • 市販のマイクロフォーサーズ規格のレンズを装着できる

Alice Cameraはスマートフォンに装着できる大きさなので、カバンの中に入れても場所を取りません。装着したままでもある程度スマートフォンの操作ができるので、撮影中に急なメッセージが来てもすぐに返事を書くこともできます。スマートフォンの機敏性を失うことなく高画質な写真が撮れる、これがAlice Cameraの魅力なのです。

気になる価格は定価が750ポンド、約11万4,000円です。クラウドファンディングでは550ポンド、約8万4,000円で早期販売が行われました。10万円出せばソニーの人気VLOG向けカメラ「ZV-1」が買えるものの、Alice Cameraならスマートフォンとの連携も容易です。デジタルカメラ市場は年々縮小していますが、将来はAlice Cameraのようにスマートフォンとの連携を重視した製品だけが生き残れるかもしれません。Alice Cameraが実際に市場に登場し、どのような評価を受けるか気になるところです。