収束がなかなか見えない新型コロナウィルスは人々の生活様式を大きく変えました。外出先から帰宅したときに手を洗ったりうがいをすることはもはや日常的なものになっているでしょう。コートや上着など着ていたものに殺菌効果のあるスプレーをかけてからクローゼットにしまう人も増えていると思います。
サムスンとLGが販売しているスマートクローゼットは、衣類をかけるだけで埃を落としたりにおいを取ったり、さらに除菌もしてくれる優れた製品です。中のハンガーにかけた衣類にスチームも当ててくれるので、アイロンいらずでしわも取ってくれます。サムスンの製品名は「AirDresser」、LGは「Styler」。LGの製品は数年前から日本でも販売されています。価格は10万円以上とかなり高価ですが、衣類ケアをしっかり行いたいと考えている人には気になる存在でしょう。
どちらの製品もクローゼットとしてはスリムな大きさ。自宅に家具があっても後からどこかしらのスペースに入れられそうです。洗面台エリアの洗濯機のそばにスペースがあればそちらに設置するのもいいかもしれません。
内部にはハンガーがあり衣類をかけることができるのは普通のクローゼットと同じですが、以下のような機能を持っています。
- ハンガー部分が細かく振動し、衣類の埃類を落とせる
- 内部に水タンクがありスチームを発生させ、衣類の匂いやしわをとる。除菌効果もある
- ドライヤー機能により熱風をかけ衣類を乾燥させた状態にできる。洗濯後の衣類の乾燥にも使えそう
- スマホアプリと連携できる
しわのついてしまったスーツやコートにアイロンをかけるのは面倒なものです。また洗濯後のシャツは乾燥機にかければソフトに乾燥しますが、取り出すのを忘れるとしわがよってしまうこともあります。デリケートな衣類だと乾燥機にかけないほうがいいものもあるでしょう。しかしスマートクローゼットならかけておくだけでスチームによるしわ取りや乾燥をしてくれるのです。
となれば独り暮らしの人にも最適、と言いたいところですが、冒頭に書いたように価格はちょっと高めです。とはいえクリーニングのランニングコストなどを考えればそれほど高いものではないかもしれません。
サムスンの製品はUVライトを内蔵し、紫外線で殺菌を行います。LGの製品は除菌コースを選べばスチームによる高温で殺菌効果があるとのこと。衣類にアルコールスプレーなどをかけると繊維が傷んだり色落ちしてしまうことありますが、UVやスチーム殺菌ならばその心配も少なくなります。
また衣類のクリーニング状況はスマートフォンアプリで確認できます。寝坊してしまった朝に急いでスーツをリフレッシュしたいとき、LG Stylerならお急ぎコースで20分かかりますが、その時間をスマートフォンのアプリで確認できるわけです。他にも衣類の種類ごとにクリーニングのコースをアプリから設定できるなど、設定項目の多い家電はスマートフォンと連携できると何かと便利です。
もちろんクローゼットの扉にあるタッチパネルから操作も可能ですが、スマートフォンアプリが使えれば遠隔地から操作することもできます。寒い冬の夜に帰宅と共にパジャマをドライヤーで温かくしておきたい、なんてときも家に帰る前にスマートフォンから仕上がり時間を設定しておくことができるわけです。
このスマートなクローゼットはまだ参入メーカーが少なく、サムスンとLG以外では中国メーカーがいくつか製品を出している程度。スマートフォン連携の製品は中国からは出てきていません。しかし「衣類も常に除菌」が当たり前となるニューノーマルな時代には、生活必需品として需要が高まり他の家電メーカーも参入を始めるかもしれません。
たとえばスマートフォンメーカーながらもスマート家電を多く出しているシャオミがこのスマートクローゼットを販売する可能性もあるかもしれません。シャオミの家電のほとんどはスマートフォンと連携することができます。逆に言えばスマートフォンからコントロールできる家電をシャオミは好んで出しています。シャオミなら5万円程度と現在より半額以下の価格でスマートクローゼットを出してくれるかもという期待が持てます
筆者の住む香港では殺菌効果のある繊維を使った衣類カバーにUVライトを組み合わせ、ハンガーにかけておくだけで殺菌できる「InnoSpace」という製品をInnoTierが発売しました。衣類も常に清潔かつ除菌する時代が確実にこれからやってくるのかもしれません。