スマートウォッチを使う人が増えています。その中でも高いシェアを誇っている製品がApple Watchです。腕時計とは異なるApple Watchの四角いディスプレイは、それがを見た人がスマートウォッチと一目でわかるほどメジャーな存在になっていると言えるでしょう。iPhoneからの通知を受けたり、モバイルペイメントに使えるなどApple Watchは様々な機能を搭載しています。しかし「あったらいいな」と思える機能が搭載されていません。それはカメラです。
そんな中、Apple Watchのベルト部分にカメラを搭載して後からカメラを追加できるリストバンドがまもなく発売される予定です。「Wristcam」は800万画素と200万画素のカメラを搭載しており、Apple Watchのベルトと交換して使います。
Wristcamは最近開発された製品ではなく、実は2016年に「CMRA」という製品名でクラウドファンディングで資金調達が行われました。しかしその後開発に時間がかかり、4年という長い年月を経てようやく市場に登場することになりました。価格は299ドル、約3万円で早ければ2021年3月に発売になるようです。
Wristcamはベルト部分に1日使えるというバッテリーを内蔵、さらに8GBのメモリも搭載しています。そのためかなり膨らんだ形状となっているものの、カラフルな装いで、その大きさを気にせず使えそうです。計7色が用意されますが、基本カラーは4色(黒、白、グレイ、緑)で、追加カラー3色(青、グレープ、オレンジ)は49ドルで別途ベルトを購入する必要があります。
スマートウォッチにカメラはいらないという人もいるでしょう。Wristcamの後付けカメラというソリューションはAppleとしても、カメラ内蔵Apple Watchを開発する必要が無く歓迎できるデバイスと言えるかもしれません。Wristcamは写真撮影中のプレビューをApple Watchで見ることも可能で、Apple Watchを腕に装着するデジカメとして使うだけではなく、ビデオ通話デバイスとしても使えます。
写真を撮るならスマートフォンを使えばより高画質な撮影ができます。しかし一瞬のシャッターチャンスを目の前にして、ポケットからiPhoneを取り出してすぐにカメラを起動して写真を撮る、というのは意外と難しいものです。またビデオ通話するときにはiPhoneを片手で持つかスタンドに立てなくてはなりません。Wristcamなら片手でビデオ通話が簡単にできるのです。なおビデオ通話がFaceTimeなのか、独自アプリなのかはまだ明確な情報がありません。
実はカメラを搭載したスマートウォッチは一部の市場、特定ユーザー向けにすでに多数の製品が販売されています。それは新興国を中心に人気の子供向けスマートウォッチです。子供にスマートウォッチなんて贅沢だと思うかもしれません。しかし事故や誘拐など、子供の安全確認のためスマートウォッチを子供に与える親が増えているのです。子供にApple Watchを与えるのは価格も高く、ペアとなるiPhoneが必要になるので、躊躇われるかもしれませんが、子供用スマートウォッチは数千円から1万円程度で販売されており、SIMカードを入れて単体で使うことができます。
また親子間でビデオ通話をしていつでも連絡を取り合ったり、緊急時にその場の写真を撮影して親のスマートフォンに送る、といった用途にカメラは必須機能となっています。事故にあったときなどは音声通話よりもその場の映像があればより状況を正確に把握できます。
今ではスマートウォッチの代名詞となったApple Watchですが、初代モデルが登場したのは2015年でした。そのApple Watchより2年前にスマートウォッチを出したサムスンは、初代モデル「Galaxy Gear」、次のモデル「Gear 2」には約200万画素のカメラを搭載していたのです。しかし当時の通信回線環境とカメラ画質の低さから、せっかく搭載したカメラもあまり使われなかったようです。Apple Watchの登場後は、サムスンもスマートウォッチへのカメラ搭載をやめてしまいました。
iPhone 12からシリーズ全機種が5G対応となりました。もちろん他のメーカーも主力モデルは5G対応になっています。5Gの高速回線を使えばWristcamで撮影した写真は一瞬でクラウドに保存できるでしょうし、ビデオ通話の映像品質もクリアでしょう。5G時代を迎え、スマートウォッチにカメラを搭載することはようやく実用性のある機能になるのではないでしょうか。2021年はカメラ搭載スマートウォッチが各社から次々に出てくるかもしれません。