7月のワイヤレスジャパンにて大々的に展示されていた韓国Samsungのタッチパネル端末「OMNIA」。お隣韓国では一足先に今年3月から「Haptic」という類似モデルが発売されており、半年で50万台を売り上げるヒット商品となっている。先週には「Haptic 2」が発売されており、韓国ではHapticブームが続いている。

Hpaticって何? OMNIAとの違いは?

OMNIAの名前は日本のメディアでも取り上げられることが増えているが、Hapticの名前はまだ日本ではあまり聞かれないだろう。しかし韓国では今や誰もが知っている商品名であり、"タッチパネル端末=Haptic"とすぐに連想されるくらいになっている。筆者が先週韓国を訪れた際も、海外版のOMNIAを韓国人に見せると必ず「それはどこの国のHpaticなのか? 」「新しいHapticが発売されたのか? 」とどこへ行っても質問されてしまうくらいであった。ここまでHapticの認知度が高い理由は、これまでの携帯電話には無いスタイルと高機能でありながらも使いやすさをきちんと実現した製品だからだろう。

ソウル市内ではあちこちにHapticの広告を見かける

ソウルのショールーム「Anycall Studio」ではHaptic 2の大々的な発表会も行われた

タッチパネルを搭載した端末としてはAppleのiPhoneが有名だ。しかしiPhoneはインターネット上のWebサービスを利用したり、PCのiTunesと連携するなど携帯電話というよりはスマートフォンに近い製品だ。従来の携帯電話に慣れている人が初めて操作すると、利用スタイルそのものが全く違うことに驚かされるだろう。特にそれまで普通に利用できていた携帯事業者の専用サービスは一切利用できない。それもそのはずで、iPhoneとは携帯端末からPC向けのインターネットを直接利用することを目的とした端末である。iPhoneは各国の通信事業者から販売されているものの、ほとんどの国では事業者の提供する携帯コンテンツサービスを利用することができない。

一方韓国のHapticの見た目はiPhoneライクだが、中身は携帯電話そのものだ。韓国も日本同様に携帯コンテンツサービスが充実しているが、Hapticもそれらのサービスをフルに利用できる。Hapticの通信方式はHSDPA/W-CDMAであり、同方式を採用しているSK TelecomとKTFの2つの通信事業者向けにそれぞれ専用端末が発売されている。

ではOMNIAはというと、こちらはWindows MobileをOSに採用するスマートフォンである。高機能なカメラやOMNIAに最適化したフルブラウザが搭載されるなど、端末単体としても高い機能を誇っている。HapticもOMNIAも指先で操作可能なユーザーインタフェース"TouchWiz UI"を採用しているため、一見すると両者は同じ製品に見えるものの、中身は"ハイエンド携帯電話"と"スマートフォン"であり、大きく異なっているのだ。

Haptic 2から日本版OMNIAを推測する

今回発売されたHaptic 2の外観はOMNIAにかなり類似している。初代Hapticは若干カジュアルなイメージであり、横幅が若干細い。Haptic 2はより高級感を増したことでターゲットユーザーを広げた製品になっているように感じられる。

Haptic 2の主な機能は3.2インチワイドQVGAディスプレイ、手ぶれ防止付き500万画素カメラ、モバイルTV(T-DMB)、4GBまたは16GBの内蔵メモリなど。音楽や動画再生のほか、事業者が提供するコンテンツサービスにもフル対応する。またディスプレイ上に配置できるアイコン=ウィジェットは地下鉄路線図、誕生日のお知らせ、生活タイマーなど50個までに拡大されている。自分の好みのウィジェットをディスプレイ上に自由に配置できることで、自分だけの待ち受け画面を作ることもできるわけだ。

左からOMNIA、Haptic 2、Haptic

操作が便利な待ち受け画面のウィジェット。好きな位置に配置すれば端末のカスタマイズ化もできる

さて日本でもOMNIAの発売が予定されているようだが詳細な製品スペックなどはまだ一切発表になっていない。しかしこのHaptic 2を見ると、日本向けOMNIAの姉妹機とも呼べる製品に思えてならない。モバイルTVはワンセグチューナーに交換すればよいだろうし、そのほかの機能は日本でも十分通用するだけのレベルを備えている。16GBの内蔵メモリもiPhoneに匹敵する大容量だ。あとはディスプレイの解像度をワイドQVGAからVGA、もしくはワイドVGAに引き上げれば、ハードウェアはこのままの状態でそのまま日本に投入できるようにも思える。

すなわちHaptic 2に日本向けのハードウェア実装と日本語対応させたモデルが日本版OMNIAとして発売されるようにも思えるのだ。スマートフォンとしての発売も期待したいところだが、Haptic/Haptic 2の韓国内での人気の高さや製品としての完成度の高さから、日本向けのOMNIAは「超ハイエンド携帯電話」として発売される可能性もあるのではないだろうか。