LGからあっと驚くようなデザインのスマートフォンが登場しました。「LG WING」は6.8インチのメインディスプレイが90度横に回転し、さらにサブディスプレイまで現れるという新しい機構を採用したデュアルディスプレイスマートフォンです。

  • LGから登場したWING

LGはディスプレイメーカーとしても有名です。8K TVや巻き取り式ディスプレイなど様々なTVも開発しています。しかしスマートフォン向けのディスプレイの商用化では、サムスンなどが畳める「フォルダブルディスプレイ」を開発しスマートフォンに搭載していますが、LGはまだ製品化していません。最新のスマートフォンディスプレイ技術の面では、サムスンがLGを一歩リードしているという印象を受けます。

とはいえフォルダブルディスプレイは曲げるために表面を硬い構造にできないため、傷つきやすいという欠点もあります。技術面では最新のフォルダブルディスプレイも、実用面ではまだ誰もが安心して使えるものではありません。

  • 折り畳みスマホは技術面では優れているものの、実用性はまだ完ぺきとは言えない

LGは2019年にスマートフォンにもう1枚のディスプレイを追加できる「デュアルスクリーンケース」を開発し、「V50 ThinQ」を発売しました。現在は後継モデルも登場しており、日本などでは「V60 ThinQ」が販売されています。

折り畳み式ディスプレイを採用したサムスンの「Galaxy Z Fold2」は開いたときに大きいタブレット画面として使うだけではなく、2つ、3つのように複数のアプリを同時に利用する使い方も提案しています。またLGのデュアルスクリーン化したスマートフォンも左右のディスプレイで別々のアプリを使うことができます。

  • デュアルスクリーンは2つのアプリを別々に起動可能

もはやスマートフォンも常に2つのアプリを同時に使うことが当たり前になりつつあります。そのような時代に折り畳み型スマートフォンや2画面スマートフォンは便利な存在です。1枚のディスプレイを畳むか、2枚を張り合わせるかの違いはあれど、「折りたたむ」形状のスマートフォンは今の使い方に非常に適しているわけです。

ところがLGは新たな手法でスマートフォンの2画面化を実現しました。それがLG WINGの回転式ディスプレイなのです。

LG WINGは一見すると普通のスマートフォンですが、ディスプレイを回転させることで横向きでアプリが使えるようになります。そして本体側からはサブディスプレイが現れ、2つのディスプレイを同時に使うことができるのです。サブディスプレイはメインのディスプレイで使うアプリのコントロール画面を表示することもできますし、サブディスプレイ側には別のアプリを呼び出して使うこともできます。本体を上下ひっくり返し、上側にゲームの全体図を表示する、なんて使い方もできるのです。

  • 2つのディスプレイを同時に利用できる

LG WINGならではの機能がカメラの「ジンバルモード」。メインディスプレイにカメラのプレビュー画面、サブディスプレイには本物のジンバルのようなカメラのコントロールボタンが並びます。LG WINGの光学手振れ補正は一軸なので実際のビデオ撮影時の手振れ補正は実際のジンバルほどではないものの、動画を撮るときに使いやすいスタイルで利用できます。

  • ジンバルモードでなら本格的なビデオ撮影もできそう

もちろんメイン側で動画を見ながらサブディスプレイにSNSを表示して感想を書き込む、なんて使い方もできます。サブディスプレイのサイズは3.9インチと小さいのですが、メッセージのやり取りや電話アプリの表示、ナビゲーションの全体図を表示するといった用途なら十分使えるでしょう。

  • 動画を見ながらメッセージも簡単にできる

さていいことづくめに思えるLG WINGですが、本体を回転させるヒンジの耐久性が気になります。LGによると回転テストは20万回以上をパス。またタフ仕様の製品の指標と言えるMILスペックも9つのテストをクリア。1.2メートルからの落下テストや20種類の環境テストもクリアしているとのこと。ディスプレイが回転する機構を採用しながら、本体の厚みは一般的なスマートフォンと変わらないことから、思ったよりも破損には強いのかもしれません。

  • 様々な耐久テストをパスしているという

カメラは6,400万画素+1,300万画素+1,200万画素、フロントカメラはポップアップ式で3,200万画素を搭載。チップセットはハイエンド向けのSnapdragon 865ではなく、ミッド杯レンジ向けのSnapdragon 765を採用しています。スマートフォンとして世界初の機構を採用しながらハイスペックモデルに仕上げてしまうと本体価格が高くなってしまいます。LG WINGはミッドハイレンジモデルとして誰もが買える価格で提供することで、LGはこの新しいデュアルディスプレイを多くの人に使ってもらおうと考えているのでしょう。

  • 新しいディスプレイの使い方をユーザーが考える楽しみもある

LG WINGは韓国・アメリカ・ヨーロッパなどで10月から発売される予定です。価格は未定ですがミドルハイレンジモデルということで

日本での発売は未定です。しかし最新の方式の5Gに対応していること、ミドルハイレンジもでるのため極端に高くならないであろうことから日本市場に投入される可能性は十分ありうるでしょう。5Gの高速回線と回転式のディスプレイを使った新しいサービスやアプリが出てきたらぜひ使ってみたいものです。