スマートフォンからの通知を受けたり、モバイルペイメントに使えるスマートウォッチ。機能の進化がある程度落ち着いたこともあり、最近はファッション性を高めたデザインモデルも増えています。スマートウォッチは機能ではなくデザインで選べる時代になったのです。
その一方で遊び心を感じさせる、ちょっと面白い機能を搭載した製品はあまり見かけなくなってきました。サムスンの初期のスマートウォッチにはカメラが搭載されていましたが、今やカメラ非搭載の製品ばかり。最近ではこちらの記事で紹介した小型のワイヤレスヘッドフォンを内蔵できるスマートウォッチが出てきたくらいで、他の製品はどれも似たようなデザインのものが増えています。
なにか面白いスマートウォッチがないだろうかと探していたところ、子供用のスマートウォッチに驚く機能を搭載した製品が見つかりました。子供用のスマートウォッチは日本でもいくつかの製品が出ていますが、中国や東南アジアでは子供のセキュリティー対策のため単体で通話でき、カメラを使ってビデオ通話できる高性能な製品が販売されているのです。
中国のImoo(小天才)ブランドが販売しているスマートウォッチの最新モデル「Z6 Ultra」は世界初のSnapdragon Wear 4100プラットフォームを搭載しています。Snapdragon Wearはスマートフォン向けのチップセット最大手、クアルコムがスマートウォッチ向けに開発したプラットフォームです。前モデルのSnapdragon Wear 3100はファーウェイやガーミンなどスマートウォッチ大手も採用しています。その最新版を中国の子供向けスマートウォッチメーカーが採用するとは驚きですが、Z6 Ultaraはそれだけの性能を必要とする機能を搭載しているのです。
Z6 UltraはApple Watchのような四角いフェイスに。丸い穴のようなパーツが取り付いています。実はこれ、カメラなんです。画質は500万画素で自分の顔を撮影するには十分でしょう。このカメラを使ってSF映画のようにビデオ通話も可能ですが、その程度のことならば他社の子供用スマートウォッチでも同等のことができます。
Z6 Ultraがすごいのは時計の本体部分を手前側に持ち上げると、ウォッチフェイス部分が90度立ち上がるのです。すると背面に隠されていた1,300万画素カメラを使うことができます。さらに本体は左右に約360度回るので、その高画質なカメラを自分側に向けて自撮りもできてしまうのです。1,300万画素と500万画素のデュアルカメラを備えたスマートウォッチは地球上にこのZ6 Ultraしか存在しません。
このカメラを通して写した被写体を画像認識する機能もZ6 Ultraは備えています。草木や昆虫などを写して、それをクラウド上のデータベースとマッチさせ名前や特徴などをスマートウォッチのディスプレイに表示してくれるのです。他にも音声AIシステムに対応しており、天気を聞いたりスマートウォッチの音量調節なども可能。大人向けのスマートウォッチに負けない機能も搭載しているのです。
まるでスパイウォッチのような機能満載のZ6 Ultraの価格は1,999元(約3万700円)。LTEも内蔵しており単体通話やデータ通信も可能です。日本でもぜひ販売してほしいですし、大人向けにアレンジした製品も欲しいものです。
さてもう1つ紹介する子供用スマートウォッチは「合体変形」モデル。Abardeenの「NOVUS」は3つのモジュールを取り換えることで、スマートウォッチが他の形に変形します。スマートウォッチの本体部分は「NOVUS Core」と呼ばれ、これにバンドを取り付けるとスマートウォッチとなります。
また縦に長い電話モジュールを取り付けると、発着信ボタンを備えた携帯電話スタイルになるのです。NOVUSもLTEに対応しており単体で通話が可能ですが、長時間通話するときや自宅で腕から外した時は携帯電話スタイルのほうが使いやすいでしょう。
さらに携帯電話になったNOVUSをスピーカーモジュールに装着すると、スピーカーから大音量で音楽を聴いたりハンズフリー通話ができるだけではなく、音声AIアシスタント機能も使いやすくなります。またスピーカーモジュールは4,000mAhのバッテリーを内蔵しており家の中のどこでも使えるほか、NOVUS本体を充電することもできるのです。
NOVUSはクラウドファンディングで資金調達を行い、2019年夏に製品が出荷されるはずでした。しかし1年たった今でも実機の情報がないということから、製品化は行われなかったようです。世界初のモジュラー合体式スマートウォッチの登場はまだ早すぎたということなのでしょう。
子供用のスマートウォッチは遊んでいる最中に水がかかったり落としてしまっても壊れない防水性や耐久性も必要です。これからも大人向けのスマートウォッチにはない機能を搭載していくことで、独自の進化を進めていくでしょう。お子さんだけに使わせるのはもったいない、と思わせるような楽しい機能の搭載も期待できそうです。