スマートフォンでSNSや動画配信サービスを使わない人はいないでしょう。最近では特定のサービスならデータ通信量がかからず利用できる「カウントフリー」などと呼ばれる料金オプションが増えています。当初はTwitterやFacebookなどSNSサービスがカウントフリーで利用できましたが、今ではYouTubeやSpotifyといった、動画や音楽のストリーミングサービスもカウントフリーで利用できるキャリアが増えています。
ストリーミングの動画がカウントフリーで見ることができれば、もうスマートフォンの中に動画をダウンロードしておく必要もありません。つまりメモリの容量が少ないスマートフォンを使っていても動画を延々と見ることができるわけです。音楽も以前は大量の音楽を保存しプレイリストを作って再生することが一般的でしたが、今では音楽を聴きたくなったらスマートフォンからネットにつなぐ、という人が増えています。このようにカウントフリーオプションの登場は、スマートフォンの使い方を大きく変えました。
さてカウントフリーでデータ料金を気にせず使えるサービスは時代と共に変わっていきます。香港の通信キャリアは5G時代、そして新型コロナウィルス時代に合わせるように、新しいサービスのカウントフリーを始めました。それは「あつ森(あつまれどうぶつの森)」とビデオ会議サービスの「Zoom」です。
あつ森もZoomも新型コロナウィルスの影響で自宅にいる時間が長くなったことからユーザー層を増やしているサービスです。あつ森は任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」用のゲームですが、スマートフォンとの連携もできます。香港のキャリアCSLはあつ森を使ったスマートフォンのデータ通信を毎月10GBまで無料提供。完全無料ではないものの、10GBもあれば出先でのあつ森の通信はほぼカバーできるでしょう。あつ森10GBカウントフリーオプションは5Gプランの加入者に限定しています。
なおCSLはこのオプションの提供と共に学生向けの5G料金プランを新設しました。学生向けプランは248香港ドル(約3,400円)/月で80GBの無料データが利用可能。しかも先着500名は30GBが増量され110GBが使えます。一般人向けプランは398香港ドル(約5,500円)/月なので、約40%オフという太っ腹な料金。若いゲームユーザーを惹きつけることで5Gユーザーを増やそうと考えているわけです。
一方、別のキャリアであるスマートーンはZoomとマイクロソフトTeamというオンライン会議サービスを完全カウントフリーで提供しています。こちらも5G加入者だけが利用できるオプション契約です。
オンライン会議サービスは新型コロナウィルスによりテレワークが急増したことで日常的に利用されるようになりました。当初はビジネス向けの利用者が大多数でしたが、今では一般人の間でも広く使われています。オンライン飲み会やライブ配信など、エンタメ用途に利用したことがある人もいるのではないでしょうか。
そしてオンライン会議サービスがカウントフリーで提供されれば、人と人とのコミュニケーションもビデオを使うことが当たり前になります。テキストチャットやスタンプを送るよりも、ビデオで相手と通話するほうが手軽でいい、なんて時代になるかもしれないのです。「ビデオは顔を出すのがいやだ」という人もいるでしょうが、今や自分の顔にエフェクトをかけるサービスも生まれています。
日本もこれから5Gの時代が本格的に到来すれば、今までには無かった新しいサービスも出てくるはずです。それらがカウントフリーで利用できるようになればスマートフォンの使い方もさらに変わっていくでしょう。数年後のスマートフォンの利用スタイルは今とは大きく違うものになっているかもしれないのです。