新型コロナウィルスの影響により、人々の生活スタイルも大きく変わろうとしています。すでに日常的に衛生状況を気を付けるようになった人も多いでしょう。家に帰宅後はスマートフォンを除菌シートで綺麗にするようになった人も増えていると思いますが、すでにスマートフォンメーカーの中には除菌効果のあるケースを付属させているところもあります。抗菌性素材を使ったケースもこれからは増えそうです。

  • シャオミの「小米10 青春版 5G」は抗菌ケースが付属している

スマートフォンを紫外線で殺菌する箱型の装置も様々な製品が販売されています。いずれはカフェのテーブルの上にそのような装置が置かれて、コーヒーを飲んでいる間に殺菌するのも当たり前になるでしょう。写真の殺菌ケース「UV Sanitizer」はスマートフォンアクセサリを展開するCASETiFYのものですが、同社はこのケースの利益を「Coronavirus Relief Fund」へ寄付するとのこと。社会生活に必須となる製品を買うことで医療関係者・機関を支援できるのです。

  • UV Sanitizerは大型スマホも余裕で入る。利益は寄付に回される

スマートフォンは常に殺菌するもの、という思考が当たり前になれば、スマートフォンのケースに対する考え方も大きく変わるでしょう。これまでは色やデザインで選んでいたケースも、これからは抗菌や殺菌効果があるかないかが重要視されるようになります。またスマートフォンの殺菌ケースに入らないような、本体を大型化させるようなケースは減っていくでしょうね。

ガラケー時代はケータイにストラップを付けることが当たり前でした。しかしスマートフォン時代になると、当初はストラップを取り付け可能な製品も日本メーカーを中心に数多く出回りましたが、今ではストラップ装着可能なスマートフォンの数は減り、ストラップを付ける人もいなくなっています。その代わりケースを付けることが当たり前になっているのですが、これからはケースの素材やデザイン、サイズも様変わりしていくことでしょう。

ロンドン芸術大学とファーウェイは、スマートフォンの殺菌に新しいコンセプトを取り入れた「Lumi」を提案しています。Lumiはスマートフォン本体をすっぽりと覆う、収納ケースのような形をしています。素材は布か柔らかい樹脂をイメージしているようで、スマートフォンの充電はNFCを使い非接触で行われます。Francesco Manocchio氏がデザインを手掛けました。

  • 無線充電と紫外線殺菌ができるLumi

スマートフォンは手に持つ回数も多いですし、通話もすれば飛沫も本体に付着します。人々が使う日用品の中でも最も殺菌作業が必要な製品と言えるわけです。ファーウェイがこのようなコンセプトを提案するのも、世界2位のスマートフォンメーカーとしての責務を感じているからではないでしょうか。これから殺菌が日常的なものになれば、より簡単に操作でき、しかも机上に置いたり毎日目にしても気にならないような製品が求められます。テクノロジーを追求するだけではなく、エレガントなデザインを融合させるためにロンドン芸術大学と提携したのでしょう。

Lumiは充電中に素材の内側から紫外線が発光され、スマートフォン本体を殺菌します。実現するためにはこの薄さで紫外線発光できる新しい素材の開発が必要です。現時点ではまだ「紫外線発光布」は開発されていません。しかし通電性の布などはすでに開発されています。コロナウィルス後の新しい世界に向けて、今後は素材メーカーも紫外線発光の研究を進めていくでしょう。数年もすればLumiの製品化は夢ではないはずです。

  • 素材の内側から紫外線が発光される。収納時に自動的に殺菌される

Lumiはケーブルを外せばそのままスマートフォンのケースとしても使えそうです。そうなるとスマートフォンに直接ケースを取り付けている場合、毎回それを外さなくてはならず面倒です。ならば本体にはケースを付けず、スマートフォンを使うときだけLumiから取り出し、使い終わったらLumiに収納してポケットに入れておく、なんて使い方になっていくかもしれません。そうなるとスマートフォン本体にケースを付けなくなるかもしれません。

  • Lumiがスマートフォンケースを不要にしてしまうかもしれない

スマートフォンをポケットに入れて置いても、いまはスマートウォッチがありますから通知を受けることもできます。スマートウォッチの価格も年々低価格化が進んでいますし、リストバンド型のものなら数千円で購入でき、それで通知やモバイルペイメントに対応するものもあります。「スマートフォンを取り出さない」ことでスマートウォッチなどウェアラブル製品の需要も高まるかもしれません。

  • スマートフォンはケースをつけるのではなく、ケースに「入れる」時代になるかも

IDCの調査によると、2020年第1四半期のウェアラブルデバイスの出荷数は7,260万台で、前年同期の5,600万台より約3割も増加しました。新型コロナウィルスの影響があったものの、AppleのAirPodsなど「ヒアラブル」デバイスが全体的に好調でした。一方スマートウォッチは影響を受けて前年比ダウン。しかしシャオミは5,000円以下で販売するリストバンド型デバイス「Mi Band」シリーズが好調でした。スマートウォッチやリストバンド型端末は今後日用品化が進むと共に、低価格な製品が好まれるようになりそうです。

  • 2020年第1四半期のウェアラブルデバイス。ヒアラブル端末が市場をけん引

数年後、スマートフォンのケースは袋状の形となり、ケーブルを接続すると殺菌できる、そんな製品が当たり前になっているかもしれません。新型コロナウィルスはスマートフォンを取り巻く環境も大きく変えようとしているのです。

  • 数年後のスマートフォンケースはこんなデザインが当たり前になりそうだ