在宅勤務が当たり前になると、自宅からオンライン会議やオンラインイベントに参加する機会が増加します。また個人によるライブ配信も手軽にできるようになりました。PCが無くてもスマートフォンさえあれば参加できるものの、カメラを使ったビデオ通信をする場合はスタンドなどをつかってカメラの向きを調整する必要があります。最近流行りの日中利用が可能なホテルの短期滞在中など、自宅以外の場所にいるときにスタンド代わりとなるものが見当たらないこともありますよね。
PCで作業中にオンラインイベントを視聴する場合なども、ストリーミング配信をスマートフォンで見ればPCの作業も中断されませんが、そんなときもスマートフォンをちょうどいい角度に傾けて机の上に置きたいものです。
ちなみに筆者はスタンドタイプの充電台を机の上に置いています。充電しながらスマートフォンのディスプレイを見るのに適しており、特にワイヤレス充電タイプはケーブル接続も不要なのでお勧めです。
スマートフォンのディスプレイサイズは年々大きくなっていますし、自分の顔をビデオで流すためのフロントカメラの画質もいまや十分高画質です。しかしスマートフォンは片手で持って使うことを考えて設計されているため、両手がふさがっている時や机の上に置いたときはやや使いにくくなってしまいます。ビデオチャットで画面を見ながら自分の顔を写すとなると、角度をつけるためのスタンドが必要になるわけです。
さまざまな状況で、スタンドの必要性を感じた筆者ですが、意外なスマートフォンがテレワークに適していることに気が付きました。それは、開くとキーボードが現れるクラムシェル型のスマートフォンです。これなら、スタンド不要でオンライン会議などにも参加しやすいのです。日本で現在販売されている製品はPlanet Computersの「Gemnini PDA」「Cosmo Communicator」などがあります。
これらのキーボード付きスマートフォンは開くとノートPCのようなスタイルで使えます。つまり開いた状態で机の上に置けばディスプレイはちょうどいい角度となり、しかもフロントカメラは自分の顔を正面から写してくれるのです。
試しにYouTubeを見てみましたが、スタンドが無くともディスプレイを見ることができるので視聴も楽々。またZoomやSkypeなどを使ったオンライン会議に出るときも、両手がフリーになるのでサンプルなどを見せながら相手にイメージを伝えることもできそうです。1対1の打合せは相手の顔も大きく映るので距離を感じさせません。スマートフォンを手で保持しなくていいので長時間でも大丈夫です。
またライブ配信なら動画を見ながらコメントを書き込めますが、今回使ったGemini PDAならディスプレイの表示を見ながらキーボードから文字も打てます。フリック入力のほうが早くて楽という人もいるでしょうからキーボード入力に優位性があるとは言い切れませんが、ノートPCを使ってライブ配信を見ているときと同じような使い方ができるわけです。
筆者は朝一番のオンライン打ち合わせに寝坊しそうになってしまい、開始時刻の5分前に目覚めましたがスマートフォンなら電源ボタンを押せばすぐにアプリが起動できます。寝室でも即座に対応できるのです。これがPCでやろうとするとデスクに移動しなくてはなりませんし、電源を入れてから起ち上がるまでの時間が昔より短くなったとはいえ時間がかかります。PCスリープさせておいても解除した後にヘッドセットやUSBカメラが接続されておらず、慌ててつないだもののうまく動かない、なんてこともあるのではないでしょうか。
オンライン会議やライブ配信のためだけにこのキーボード付きスマートフォンを買うのはちょっともったいないかもしれません。しかし2つの作業を同時にするときなど、スマートフォンを複数使い分けるのも意外と便利なもの。ビデオ配信中はSNSのチェックもしにくいものです。実は筆者は、Gemini PDAを買ってはいたものの、その後はあまり使っていませんでした。しかし自宅からの打ち合わせや、カフェでヘッドフォンをつなぎながらライブ発表会を見る機会が増えたことで、今やこのキーボードスマートフォンはメインで使うスマートフォンの相棒となる「ビデオストリーミング用スマホ」として手放せないものになっています。
ちなみにGemini PDAは日本では中古で4万円程度で買えるようです(2020年6月時点)。ディスプレイサイズは6インチなので、閉じたときは片手でも持ち運べます。しかしこの状態で通知などを見れないのがやや不便。後継モデルのCosmo Communicatorは天板部分に通知ディスプレイが内蔵され使いやすくなったものの、新品では10万円強と手が出しにくくなってしまいました。
Planet Computersはこの3月にクラウドファンディングで新型スマートフォン「Astro Slide」の資金調達を行っています。ディスプレイを閉じると普通のスマートフォン、スライドさせて持ち上げるとキーボード付きスマートフォンになる1台2役の端末です。おそらく日本でも発売されるでしょう。テレワークが一般的な時代がくると、キーボード付きスマートフォンの需要が今まで以上に高まるかもしれませんね。