日本では6月2日にファーウェイとシャオミが新型スマホの発表を行いました。その中でもファーウェイが発表した「P40 lite 5G」は3万9,800円という低価格ながらも最新の通信技術である5Gに対応。各社の5Gスマートフォンが10万円台という中で、注目を集める製品になりそうです。
P40 lite 5Gは6,400万画素カメラを含むクアッドカメラを搭載しておりカメラ利用にも十分な性能を誇ります。また、200万画素のマクロカメラも搭載しており、食事や小物などを近距離で撮影してインスタ映えする写真をシェアすることもできます。また40Wの急速充電は30分で70%の充電が可能。寝起きにP40 lite 5Gの電池が切れてしまっていても、出勤前の短い時間である程度充電させることもできるのです。
このようにスマートフォンとしての性能は必要十分、税込みでも4万円台ながら5Gに対応し、ギガビットの超高速通信を利用できるのです。新しいテクノロジーに対応したスマートフォンは高価格になるのがこれまでは常識でした。しかし5Gのスマートフォンはサービス開始に合わせるように低価格な製品が次々と出てきているのです。
「5Gってなんだろう」と思う人は、まだまだ4Gのスマートフォンを選んで買うかもしれません。しかしYouTubeの動画を5Gで視聴してみると、画質がいいうえにまるでスマートフォンに動画が保存されているように、先送りしたり次の動画を見るのもスムース。ストリーミング動画の視聴は一度5Gを体験すると4Gには戻れなくなります。
ファーウェイがこんなに安い5Gスマートフォンを出せるのには理由があります。すでに本国の中国では多数の格安5Gモデルを出しているからです。中国は2019年11月に5Gサービスがはじまり、2020年末には5G利用者は2億人に達すると推測されています。つまり今年の年末までに5Gユーザーは日本の人口を超えてしまうのです。
これだけ多く5Gユーザーが増えるからと言って、全ユーザーが高価なスマートフォンを買うのは難しいでしょう。2020年秋にはiPhoneにも5Gモデルが登場予定ですが、価格は今のiPhoneより高くなることは目に見えています。そこで中国メーカー各社は低価格な5Gスマートフォンを次々と出し、市場で販売される製品をすべて5Gモデルに置き換えようとしているのです。
ファーウェイは今年に入ってから日本円で3万円台の5Gスマートフォンを次々と出しています。5月にはついに2万円台の5Gスマートフォン「Huawei Enjoy Z」を発売しました。カメラは4,800万画素を含むトリプルカメラ、ディスプレイも6.5インチと大型です。最低価格は1,699元、約2万5,000円でここまで安ければ誰もが気軽に買うことができるでしょう。
中国では他にもZTE、シャオミ、OPPO、Vivoなど国内メジャーメーカーすべてが低価格5Gスマートフォンを出しています。消費者が安さを感じる「1,999元」(約3万1,000円)以下の5G製品も10機種を超えています。中国ではほぼ毎週のようにスマートフォン新製品発表会が開催されていますが、そこで出てくる製品のほとんどが5Gモデルになっているほどです。
中国の価格をそのまま海外展開することは難しいにしても、シャオミの低価格5Gスマートフォン「Mi 10 Lite 5G」はヨーロッパで379.9ユーロ、約4万6,000円で販売されています。日本のP40 lite 5Gの税込み価格とそう変わらない値段です。Mi 10 Lite 5Gは日本でもKDDIから発売される予定で、3月のKDDIの5G発表会ではかなり安くなるということがアナウンスされました。おそらくP40 lite 5Gと変わらないか、それよりも安く出てくるのでしょう。
このように低価格な5Gスマートフォンは中国メーカーが次々と新製品を投入していますが、サムスンもこの市場に参戦しています。サムスンのスマートフォン「Galaxy」は日本でも価格を抑えた「Galaxy Aシリーズ」が発売されています。海外ではこのAシリーズの5Gモデルも登場しているのです。
韓国では「Galaxy A51 5G」が57万2,000ウォン、約5万1,000円で販売されています。クワッドカメラは4,800万画素(広角)、1200万画素(超広角)、500万画素(マクロ)、500万画素(深度測定)とそれぞれ画素数が高く、フロントカメラも3,200万画素。中国メーカーの格安5Gスマートフォンより若干割高ではあるものの、カメラ性能は大幅に高く2年間使い切ることも十分できる製品と言えます。
日本の5Gは新型コロナウィルスの影響により店舗の営業縮小や外出自制などがありまだ盛り上がりに欠ける状況です。しかし今後低価格な5Gスマートフォンが出てくれば、5Gへの乗り換える障壁も少なくなるでしょう。5Gはまだまだ先のこと、と思っている人も多いでしょうが、海外ではもはや身近なサービスになり始めているのです。