ソニーの「Xperia 1 II」がようやく発売になり、2020年のスマートフォン新製品も一通り出そろってきました。日本ではまだこれから5Gスマートフォンの新製品の登場がいくつか控えていますが、その中でも大手キャリアからついに発売になるOPPOやシャオミなど、中国メーカーのスマートフォンにも期待がかかります。

たとえばOPPOの「Find X2 Pro」は最大60倍ズームに対応するカメラを搭載しますし、シャオミの「Mi 10 Lite 5G」は5Gスマートフォンとしては破格の安さで登場すると言われています。これから本格的な普及が始まる5G時代に向け、これらの製品はソニーやシャープなど日本勢のスマートフォンの大きなライバルになるでしょう。

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さて、そのシャオミはMi 10 Liteのバリエーションモデルとして中国で「Mi 10 青春版 5G」というモデルを発売しました。海外では「Mi 10 Zoom」という名前で発売予定と噂されており、その名の通りカメラのズーム機能に大きな特徴を持っています。Mi 10 青春版 5GはFind X2 Pro同様に最大50倍のズームカメラを搭載しているのです。

  • 50倍ズームと5G対応のシャオミ「Mi 10 青春版 5G」

すこし脱線しますが、中国のシャオミのオンラインストアを見ると、付属のクリアケースが抗菌処理されていることも大きくアピールされています。今の時期を意識しているのでしょうが、これからはケースの素材に気を配るメーカーが増えるかもしれません。

  • 付属のケースは抗菌処理だ

さてMi 10 青春版 5Gは6.57インチディスプレイを搭載、SoCにSnapdragon 765Gを搭載しています。このスペックは日本で登場予定のMi 10 Lite 5Gと同じです。ちなみに青春版やLiteというモデルがあるのであれば、それの付かない上位モデルも存在します。現在シャオミはSoCにハイエンドスマートフォン向けのSnapdragon 865を採用し、1億800万画素の高画質カメラを搭載した「Mi 10」「Mi 10 Pro」も海外で販売中です。

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また脱線したので、話をMi 10 青春版 5Gに戻すと、製品の外観はMi 10 Lite 5Gと同等で、カメラ部分が若干デザインが異なっているように見えます。これはMi 10 青春版 5Gが光学5倍のペリスコープ型カメラを搭載しているためで、このカメラは普通のカメラレンズのような円形ではなく長方形のレンズの形をしているのです。またカメラ部分には最大倍率の「50X」の文字も見えます。

  • Mi 10 青春版 5Gのカメラ部分

ペリスコープは潜望鏡の意味で、レンズを複数配置しそれを前後に動かすことで望遠倍率を変えることができます。スマートフォンの背面に潜望鏡を埋め込むことは難しく見えますが、本体の厚み方向ではなく横向きに配置することで内蔵できるのです。これにより光学で5倍以上、デジタルなら50倍以上という高倍率ズームを可能にしています。

OPPOのFind X2 Proも同様のペリスコープカメラを搭載しています。2019年モデルならばファーウェイの「P30 Pro」や、同じOPPOの「Reno 10x Zoom」がペリスコープカメラを搭載しました。ちょっと前のコンデジでも何十倍もの高倍率ズームレンズの搭載がセールスポイントになっていましたが、スマートフォンの世界でも今後同じことがおきそうです。サムスンが海外で販売している「Galaxy S20 Ultra」は10倍のペリスコープカメラを搭載することで、デジタルで100倍ズームを可能にしています。

  • Galaxy S20 Ultraは100倍ズームに対応する

このように高倍率ズームが魅力のMi 10 青春版 5Gですが、中国での販売価格は2,099元、約3万2,000円と格安です。なおシャオミのスマートフォンがグローバル市場で販売される際は、中国価格の1.5倍程度の値付けがされます。それでもMi 10 青春版 5GがMi 10 Zoomとして海外で売られるときは、5万円を切る価格になりそうです。

Mi 10 青春版 5Gの兄弟モデルともいえるMi 10 Lite 5Gはヨーロッパで349ユーロ、約4万1,000円です。おそらく日本では4万円台前半になるでしょう。Mi 10 青春版とのカメラ性能の差を考えるとこの価格差も納得できます。なお両者のカメラは以下のような差があります

・Mi 10 Lite 5G
4,800万 広角+800万 超広角+500万 マクロ+200万 深度測定

・Mi 10 青春版 5G
4,800万 広角 +800万 超広角+800万 5倍望遠+200万画素 マクロ

  • Mi 10 Lite 5Gはまだカメラ以外のスペックは発表されていない

では超望遠ズームカメラの威力はどれほどなのでしょうか?OPPO Find X2 Proで「超広角」と「60倍デジタルズーム」で撮影してみました。こちらが超広角での撮影。筆者の住む香港の景色です。

  • Find X2 Proの超広角撮影

海の向こうに多数の建物が見えますね。では一気に60倍ズームで撮影してみます。デジタルズームなので画質は荒いものの、被写体として見ることは十分できます。果たしてどこの部分を拡大したのか、気になる人は探してみてください。

  • Find X2 Proの60倍ズーム

ペリスコープカメラ搭載スマートフォンの価格はこれまで比較的高価でしたが、中国メーカーが本腰を入れることで価格が引き下がりそうです。2020年はこれからも高倍率ズームカメラを搭載したスマートフォンが増えてくるかもしれません。しかも価格が手ごろになれば、野鳥の写真や子供の運動会などもスマートフォンで撮影する時代がやってきそうです。