華やかなスマートフォンの新製品が次々と登場する中で、2016年に発売された「iPhone SE」の復活を望む声が多く聞かれます。iPhone SEは4インチディスプレイ搭載の小型端末で、女性の手のひらにもすっぽりと収まるサイズが魅力でした。しかしiPhoneもいまや6.5インチの「iPhone XS Max」が出るなど、画面と本体サイズは年々大型化しています。
2018年はスマートフォンの画面サイズが急激に大型化した年でした。2011年に5.3インチの初代「Galaxy Note」が登場したときの反応は「大きすぎて使う人が思い浮かばない」でしたし、2013年登場の「Xperia Z Ultra」に人々は驚いたものです。ところがいまや6インチを超えるディスプレイを採用したスマートフォンが当たり前になりました。
大画面スマートフォンの代表といえばサムスンで、Galaxy Noteシリーズだけではなく春のフラッグシップモデル、Galaxy Sシリーズも年々画面サイズを大きくしていきました。2018年のラインナップは「Galaxy S9」が5.8インチ、「Galaxy S9+」が6.2インチ、「Galaxy Note9」が6.4インチ。Galaxy S9を手に持ってみると、小さいな、と感じてしまうほどです。
画面と本体サイズの大型化は、ディスプレイの縦横比が従来16:9であったものが、18:9や19:9、さらには19.5:9と縦方向に延びた結果がもたらしました。Xperia Z Ultraは6.4インチで本体の横幅は92.2ミリでしたが、同じ6.4インチのGalaxy Note9は76.4ミリと約2割も細くなっています。
サムスンの2018年の新製品を見ると、低価格ラインの「Galaxy J4+」ですら6インチ、12月発表の「Galaxy A8s」は6.4インチと、上位モデルと変わらぬ画面サイズになっています(どちらも日本未発売)。もはや画面が大きいから上位モデル、という図式は成り立たなくなっているのです。
2018年に日本に参入したOPPOも、日本に投入した7機種はすべて6インチ以上の画面サイズ。6.4インチモデルだけでも「Find X」「R17 Pro」「R17 Neo」と3機種も揃えています。OPPOはカメラ、特にフロントカメラを使ったセルフィーを武器に海外で急成長しただけあって、自分の顔を見ながら写真を撮るユーザーのため積極的に大画面モデルを展開しているのです。
もはや6インチ台は当たり前になったスマートフォンの画面サイズ。ところが、さらにそれの上を行く端末を送り出しているメーカーがあります。Appleを抜き世界シェア2位に躍り出たファーウェイです。ファーウェイといえばライカカメラ搭載のカメラフォンとしても人気が出てきましたが、画面サイズの大型化でも他社を一歩リードしようとしています。
2018年10月に発表された大画面モデルのMate 20シリーズのうち、事前のリーク情報もなく突如登場したのが7.2インチサイズの「Mate 20 X」です。片手で持つにはギリギリの横幅85.2ミリですが、この大きさがあるとゲームや映画もより迫力ある臨場感あふれる体験ができます。またBluetoothキーボードをつないで簡易的なノートPCとして使えないこともありません。
ファーウェイは他にも7.12インチの「Enjoy Max」や、傘下ブランドの「Honor」でも7インチの「Honor Note 10」、7.12インチの「Honor 8X Max」を投入。スマートフォンメーカーとして唯一の7インチ超え端末を4機種もそろえているわけです。
さて2019年はスマートフォンの画面サイズはさらに大型化していくのでしょうか? おそらくすべてのモデルが大型化するのではなく、上位モデルやゲーム対応機など特定のモデルは6インチ台後半から7インチへと大型化していくでしょう。また画面の縦横比を20:9とさらに縦長にする動きも出てくるかもしれません。とはいえあまりに長すぎる端末は持ちにくくなってしまいます。
そこで登場が期待されるのがフォルダブルディスプレイ、折り曲げ可能な画面を搭載したスマートフォンです。普段はコンパクトサイズ、開けば大型ディスプレイとなるフォルダブルディスプレイを搭載した製品が2019年は各社から登場するでしょう。ただしディスプレイの価格が高いためにスマートフォン本体も20万円弱など、かなり高価になってしまいます。そのため2019年に登場するフォルダブルスマートフォンは一部の高級機だけとなってしまいそうです。
しかしディスプレイメーカーも新技術の開発で差別化を図ってくるでしょうから、より価格の安い折り曲げ可能なディスプレイの登場も近いでしょう。2020年にはフォルダブルディスプレイのiPhoneが登場するのではないでしょうか?