最近のスマートフォンはディスプレイの大型化が進んだことにより、本体サイズもどんどん大きくなっています。それに伴い本体重量も年々増しているのが実情です。2018年に登場したスマートフォンの上位モデルは6インチ以上のディスプレイサイズが標準となり、よりワイドで見やすくなったものの、片手で持つにはちょっと辛い製品も出てきています。
たとえばソニーの「Xperia XZ2 Premium」は4K表示が可能な美しいディスプレイを採用しましたが本体重量は236gとなり、これは「iPhone SE」の113gの倍以上の重さとなっています。最新モデルのiPhoneも「iPhone XS Max」が208g。6.5インチという大型画面搭載なので仕方ないところでしょうが、できればもっと軽くなってほしいというのが多くの消費者の望むところでしょう。
ちなみに2018年に発売・発表されたスマートフォンのうち、200gを超えるモデルは10機種以上あります。ディスプレイサイズを見ると6.9インチのシャオミ「Mi Max 3」、6.95インチのファーウェイ「Honor Note 10」、7.12インチ「Honor 8X Max」などスマートフォンの領域を超えた大画面モデルがそれなりの重量になっています。またゲーミングスマートフォンとして発売が待たれるASUSの「ROG Phone」もジャスト200g。アタッチメントを取り付けるとさらに重くなるでしょう。
そもそもスマートフォンのディスプレイは長らく縦横比が16:9でしたが、2017年にはいると18:9といったワイドサイズのものを搭載するモデルが増えていきました。この流れは一気に進み、2018年にはいると16:9のモデルは数えるほどしか出てきていません。ディスプレイの縦横比も18.5:9、19:9、19.5:9とさらにワイドになっています。ディスプレイのサイズは対角線の長さで表しますから、ワイドディスプレイならより大きいサイズにしても横幅は増えません。すなわちスマートフォンの横幅を抑えたまま大きい画面のモデルを製品化できるわけです。
とはいえ200gでは重いと感じる消費者が多いのは事実でしょう。腕時計の世界でも200gとなるとかなりの重量級のモデルとなります。そこでシャープはスマートフォン本体の重量に目を付け、6.2インチながらも146gと軽量な「Aquos Zero」を発表しました。Snapdragon 845を搭載するハイスペック機であり、片手でも楽に持てる大きさながらもハイパフォーマンスを実現しています。シャープによると6インチ以上のモデルで世界最軽量とのことですが、技術力をアピールするモデルとしてグローバル市場にもそのまま出して十分戦える製品と言えそうです。
LGが2018年の秋冬モデルとして投入した「V40 ThinQ」もやはり軽さをアピールしています。こちらは169gとAquos Zeroよりやや重いものの、ディスプレイは6.4インチ19.5:9とより大きいものを搭載しています。Aquos Zeroは文庫本より軽いことをアピールしていますが、V40 ThinQはタオルよりも軽いと、こちらも負けてはいません。実際にどちらのモデルも手に持ってみると、あまりの軽さに驚く人もいるかもしれません。
ファーウェイが10月3日に日本で発表した「Nova 3」も実は軽さを誇る製品です。ファーウェイ傘下のハイシリコン製のKirin 970をチップセットに搭載したハイエンド製品で、フロントカメラ画質が2,400万画素というセルフィー機能を強化したモデルです。ディスプレイは6.3インチと大型ですが、本体重量は166gに抑えられています。同じチップセットを採用する「Mate 10 Pro」が6インチ、178gですからファーウェイのモデルの中でも軽量さが目立ちます。
世界各国で2018年に登場したスマートフォンで、6インチ以上の大画面モデルは100機種以上もあります。このうち軽量モデルとしてLG V40 ThinQに敬意を示し、169gでラインを引くと、それでも50モデル以上が存在します。実は画面サイズが大きいからと言って本体重量も重くなる、とは一概には言えないのです。ただしこの50以上のモデルの中にはミッドレンジクラスの製品が多く含まれます。
最速のハイエンドCPUを搭載したモデルに絞ると、モトローラの「Z3」「Z3 Play」やASUSの「ZenFone 5z」、LGの春モデル「G7 ThinQ」などわずかな数しかありません。ハイスペック+大画面+軽量モデルはやはり設計が難しいのです。シャープの新製品は、さすがシャープらしく目の付けどころが優れているのです。スマートフォン選びもこれからは重量を気にする、そんな時代になるかもしれません。