旅行や出張で中国へ行く機会がある人も多いかと思います。中国ではネット規制、いわゆる「壁」があるため、自分のスマートフォンを持っていき現地で使う場合はSNSが利用できないこともあります。とはいえドコモなど日本のキャリア契約したスマートフォンをそのまま持っていき、国際ローミングで利用する場合はこの壁は関係なく、日本にいるとき同様にそのままSNSを使えます。
しかしながら、ローミング料金もキャンペーン中は安いものの、通常料金だとそう安くはありません。また格安SIM、つまりMVNOのSIMを使っている人はそのままでは海外でスマートフォンを使うことができません。今回は中国・北京の空港で買ったプリペイドSIMがお得な価格かつ使い勝手が悪くなかったのでご紹介しましょう。
北京空港にはターミナルが3つあります。日本からの飛行機はほとんどがターミナル3(T3)に到着します。そのT3の到着フロアには、プリペイドSIMの自販機がいくつか設置されているのです。どこで買ってもいいのですが、ねらい目は出口をでてすぐ横の自販機。昼間はスタッフが常駐しており、自動ならぬ手動アシストでSIMカードを買えます。
なお空港には海外向けのプリペイドSIMもありますが、これは中国向けではないので注意してください。SIMのパッケージがずらりと並んでいるのでどれを買おうかとついつい見比べてしまうでしょうが、こちらのタイプは中国以外の地域向けのものです。
さて中国国内向けのプリペイドSIM自販機で実際にSIMを買ってみましょう。タッチパネルで英文を選ぶと、この場で買うか、予約か、の選択画面が出るので「Onsite Card Purchase」を選びます。
SIMの種類がいくつか出てきます。一番左が通話もできるタイプ、右側にはデータ専用で3GB、5GBと種類は4つありました。
いまや現地で通話をすることもあまりないので3GBで100人民元(約1,700円)あたりのSIMがよさそうに思いましたが、常駐しているスタッフ曰く、通話兼用のものは同じ価格でデータが12GB利用できるとのこと。GB単価は約140円/GBと、やはり現地料金は格安です。実はここまで安いのは、この自販機で売っているSIMがSnail Mobileという中国のMVNOキャリアのものだから。日本同様、中国にも格安SIMキャリアが存在しているのです。
ということでのこのSIMを選択。次に電話番号が表示されるのでタッチすると、本人認証が始まりますが、実にアナログ的なんです。自販機の正面部分が大型モニターになっているのですが、認証操作を行うとカスタマーセンターの人が画面に出てくるのです。こちらはパスポートの自分の写真の部分をもって、それを相手に見せます。自分の姿もディスプレイの下に見えるので相手に見やすいように見せましょう。
パスポートの顔写真と持っている人の顔が同じと判断されれば、先方からOKとなり画面表示が消え、あとはSIMが自販機から出てくるのを待つだけとなります。このあたりの操作は慣れていないと面食らってしまうので、スタッフのいる自販機で買ったほうがよさそうです。
あとはSIMフリーのスマートフォンにSIMを入れれば使えます。日本でMVNOキャリアのSIMを使っている人はほとんどがSIMフリーモデルなので問題なく使えるでしょう。また中国ではTD-LTEという方式も使われているため、あらかじめ中国で利用できるかどうかを自分のスマートフォンのスペックで確認しておく必要があります。iPhoneならばそのあたりは問題なく利用できるでしょう。
さてここまででネットにつながるものの、このままでは壁越えできないという問題が残ります。普段日本で使っているSNSを利用できないのです。そのためVPNアプリを入れる必要があります。この辺りは「中国」「VPN」といったキーワードでネット検索するといくつか情報が出てきますので、参考にしてみてください。VPNアプリはあらかじめ日本で入れておきましょう。
12GBも無料利用分があると、普通にネットアクセスしたりちょっと動画を見たりと、日本にいるときと変わらぬ感覚でスマートフォンを使えます。日本の家族や友人との連絡も問題ありません。但しVPNアプリは万能ではないので、複数を用意しておいたほうがいいかもしれません。また中国国内の人と連絡を取り合う時は、海外のSNSよりもWeChat(微信)など中国のアプリを使ったほうが確実です。万が一VPNが不調でも確実に連絡を取ることができます。
中国でスマートフォンを使う方法は前述した国際ローミングの他、日本の空港で借りられるモバイルWi-Fiルーターなど、様々な方法があります。どれも一長一短ありますが、もしも何も用意せず北京に来たときは、自販機で現地用プリペイドSIMを買ってみるのもいいかもしれませんね。