海外旅行中の悩みと言えば、スリ対策。残念なことに海外の繁華街や観光地でスリ被害にあう人が後を絶ちません。日本の感覚でカバンの中にスマートフォンや財布を入れて出歩いていると、気が付かぬうちにファスナーが開けられ中身が盗まれていた、なんて話もよく聞きます。そこで今回は盗難防止対策がしっかりされたバックパックを実際に買って試してみたのでご紹介します。
オランダのXD DESIGNが開発したスリ防止対策バックパックの「BOBBY」は、キックスターターで資金調達を楽々成功させたほどの人気商品。ヨーロッパの街を歩いてみると、使っている人をよく見かけます。それだけスリ被害が実際に多いのでしょう。筆者はマドリードの空港のカバン店で購入しましたが、店員さんによると飛ぶように売れているとのこと。いまではデザインをそっくりまねた類似品が出回っているほどです。
普通のバックパックは使い勝手を考えて、外側にポケットがあります。しかしこのBOBBYにはポケットは見当たりません。また背面は全周にファスナーがあるのですが、それも隠されて外から開けないようになっています。これならスリもお手上げ。とはいえ普段使いにはこれはやや不便ですよね。お財布など頻繁に使うものは、背中の下の部分にファスナー付きのポケットがあってここに収納できます。この位置はよほどのことが無い限り、スリも手が出せません。肩ひもを短く調整してバッグを身体に密着させればより安全。このポケットだけでもBOBBYを買うメリットがありそうです。
また背中にしょって右側にはUSB端子が1つ出ています。内部にモバイルバッテリーを入れて、そこから外に引き出してスマートフォンなどを充電可能。スリの多い場所でスマートフォンを使いながら歩くのは推奨されませんが、ベンチに座ったりカフェで休むとき、カバンを開けなくてもスマートフォンを充電できるというわけです。
さてバッグを開いてみます。ファスナーで開くとすぐにノートPCが入るポケットが背面側に、小物などが入るポケットが対面側にあります。そとでカバンを開くときは、ファスナーを最小限にあけて中からモノを取り出したほうがいいでしょう。よく使うものは上部ポケットに入れておくと出し入れしやすいです。
そしてホテルに戻ってきた時などは、ファスナーを全開にすることができます。カバンの中にはついつい小物をたくさん入れてしまいがちですが、全開させれば中にいれたものをすべて取り出せます。
さて中をよく見てみると、背中側はノートPCのポケットとタブレットのポケットがあります。ノートPCとiPadを持ち運ぶなんてときも分けて収納できます。最近のPCバッグは同様の仕様のものが多いのですが、やはり2つを同時に持ち運ぶ人は多いのでしょうか。
一方、バッグの外側の内部は厚みのあるポケットが3つあります。1つにはモバイルバッテリーを入れておくといいでしょう。外のUSB端子と接続されたケーブルが中にあるので、それをバッテリーにつなげばバッグを開けなくても外でつないだスマートフォンが充電できます。但し最近のモバイルバッテリーはボタンを押さないと通電されないものが多く、ケーブルをつないだだけでは充電できません。中に入れるバッテリーはボタン無しでも充電できるタイプを選んだほうがよさそう。3つのポケットはスマートフォンを入れるにしても厚みにかなり余裕があるので、他にも小物などをいれておけます。
なおバッグの左側面にも小さな隠しポケットがあるので、ここは小銭や鍵などをいれておくといいかもしれません。BOBBYのコンセプトは中身が盗まれないバッグなので、外から見えるポケットは皆無。洋服のポケットに何かを入れておくとそちらが盗まれてしまうかもしれませんから、持ち運ぶものはすべてBOBBYの中に入れたほうが無難です。
実際にマドリードでBOBBYを使ってみたのですが、電車の中やエスカレーターに乗っているときなど、他のカバンやバッグを使っているときは常に後ろを気にしてしまい、時にはバッグを身体の前に持ってくるなど、細かいところで気を使うのが面倒でした。ところがBOBBYならファスナーを開けられる心配がないために心の余裕をもって移動することができます。もちろん怪しい人間を見かけたら避けるようにしますが、気が付かずスリに近寄られても、よほどのことがないかぎり相手も手が出しにくいでしょう。
ヨーロッパではかなりメジャーな製品になっているので、スリもこのバッグを見かけたら近寄ってこないかもしれませんね。もちろん国内旅行や普段使い用にするのもいいでしょう。スリがいなくなることが一番いいのですが、なかなかそうはいきません。自分を守るためにも、BOBBYのように盗難防止を考えたバッグがこれからも出てきてほしいものです。