iPhone Xの値段が10万円を超えるなど、スマートフォンの価格は年々上がっています。「格安スマホ」とも言われるSIMフリースマートフォンでも、ファーウェイのMate 10 Proが8万9,800円(税抜)など、10万円近い製品が増えています。高画質なカメラや高速CPUに加え、高解像度なディスプレイ、さらには通信速度も爆速なスマートフォンは、今やパソコンよりも高い性能を誇ります。10万円の価格もスペックを考えれば相応と言えるわけです。
しかし世の中にはもっと高価格なスマートフォンが存在します。ブランドとのコラボレーションや、本体の材質や品質を高めた「高級スマートフォン」です。高級ブランド品の値段が高いように、高級スマートフォンもその価格はiPhoneよりもさらに上の値段付けがされているのです。
たとえばファーウェイはアクセサリーブランドの「ポルシェデザイン」とコラボして、同デザインのスマートフォンを販売しています。前述したMate 10 Proにも、ポルシェデザインバージョンとなる「Mate 10 Porsche Design」が存在します。6インチ18:9のディスプレイや2,000万画素+1,600万画素のデュアルカメラなど、両者の性能はほぼ同じ。スマートフォンとして使う場合、両者には差はありません。
しかしポルシェデザイン版は本体背面をスポーツカーのようなデザインとし、全体のイメージをよりスタイリッシュにしています。価格は1199ユーロ、約16万円と高価ですが、同社のカバンやサングラスなどのアクセサリの値段を考えると、これくらいが十分妥当なものに思えます。スマートフォンを性能ではなくルックスで選びたい、そんな人にとってMate 10 Porsche Designは一つの選択肢になるわけです。
ちなみにポルシェデザインのスマートフォンは、以前はブラックベリーからも販売されていました。スポーツカーのポルシェをインスピレーションさせる同社のデザインは、スマートフォンと相性がいいのかもしれません。ブラックベリーからは過去に数モデルのポルシェデザインモデルが販売されましたが、いずれも20万円前後とやはり高価でした。
一方、ドコモから「V30+」(L-01K)を発売予定のLGは、韓国で「V30 Signature Edition」を発表しました。こちらもV30+とCPU、カメラ、ディスプレイサイズなどは同等。メモリがRAM4GB→6GB、ROM128GB→256GBと大幅に強化されています。それに加えて本体背面は強度の高いジルコニアセラミック素材を採用しました。ケースを着けていなくても、ちょっとしたこすれ程度では傷がつかない強固な素材で、ほのかな光沢が高級感を漂わせています。
LGは「洗練された美しさ」に加え「最高のパフォーマンス」を提供する高級家電のブランドとして「LG Signature Edition」を展開しています。価格重視ではなく高性能かつデザインを強化したTV、冷蔵庫、洗濯機などがこれまでラインナップされてきました。V30 Signature Editionは、それらハイセンスな製品のラインナップに加えられる高級スマートフォンで、販売台数は限定300台のみ、価格は200万ウォン(約21万円)とこれまたかなりの値段で販売されます。
さて高級スマートフォンといえば、中国の存在を忘れてはいけないでしょう。大手だけではなく、中小のスマートフォンメーカーが次々に生まれる中国では高級製品のみを販売する企業もあるのです。「8848」ブランドでわずか1年前、2016年に市場に参入したEverest Mobileは10万円を超えるスマートフォンを毎年1モデルずつ販売しています。ちなみに同社のスマートフォンは縦に長い六角形の形をしていますが、これは世界最高のエベレスト山をイメージしたものです。
8848の製品は本体表面の革や宝飾を変えたバリエーションモデルがいくつか存在し、最低価格は9,999元(約17万円)、最上位モデルは1万9,999円(約34万円)と手軽に買える値段ではありません。中国では高級デーパートなどにも店を構えています。
高級スマートフォンや高級携帯電話は、実は今から10年以上も前から専業メーカーが存在しました。イギリスに本社を置くVERTUで、100万円を越える超高級端末を次々と販売していました。日本でも数年間製品を販売し、銀座にもお店を構えていたことがありましたが、2017年7月に経営破城してしまいました。技術革新の速いスマートフォンを、数百万円の超高級品として売るのは難しかったのでしょう。
とはいえそれと前後するように、2017年8月にランボルギーニグループの「トニーノ・ランボルギーニ」が2,450ドル(約28万円)の高級スマートフォン「Alpha-One」をリリースしたように、世界には高級ブランドや高級仕上げのスマートフォンを好む消費者の数が一定数います。いずれは日本発の高級スマートフォンが海外で売られる日が来るかもしれません。