オンキヨーからタフなボディーのスマートフォン「CAT S60」がまもなく発売になる。CATとはパワーシャベルなどの建築車両を手掛けるキャタピラー社のブランド名だ。黄色いボディーの巨大な鉱石運搬ダンプカーなど、キャタピラーの製品はタフどころではない強靭かつパワフルな製品が揃っている。
そのブランドを身にまとったS60は、1.8メートルの高さから床に落としても壊れないほどの強固なボディーを持つ。しかも世界初と言う赤外線サーモカメラを搭載し、熱を可視化することもできるスマートフォンだ。アウトドアやスポーツをする人にとって興味ある製品に違いない。とはいえ特殊カメラを搭載することから価格は9万円台と、かなり高い。また発表は2016年2月と1年半前の製品なので、ディスプレーが4.7インチで解像度はHDと、最近のスマートフォンとしてはやや物足りないスペックだ。
しかしこの9月、ドイツ・ベルリンで開催された展示会「IFA2017」でCATブランドのスマートフォンの新製品が2機種発表された。どちらも前モデルからのバージョンアップ品で、実に2年ぶりのモデルチェンジとなる。最新モデルらしいスペックを搭載しているだけではなく、価格もS60の半額程度。日本でもしも発売されれば5万円前後で買えそうだ。
「CAT S41」は5インチフルHDディスプレイを搭載する上位モデル。S60より大きく高解像度になったディスプレイは大きな魅力だ。CPUまわりはHelio P20オクタコア2.3GHz、RAM3GBにROM32GBと必要十分なパワーを持つ。カメラは1,300万画素をリアに、フロントは800万画素。そして画面を覆うガラスはゴリラガラス5となり、S60のゴリラガラス4より強靭だ。保護フィルムを貼らずとも傷がつく心配がより少なくなっている。
バッテリー容量も5,000mAhと、S60の3,800mAhより大型のものを搭載している。しかもOTGケーブルを使えば他のスマートフォンを充電することも出来るのだ。とはいえこの機能はすでに他社のスマートフォンでも備えているものがある。だが放置しておくと相手のスマートフォンは十分充電できたものの、自分のスマートフォンの電池が空になってしまった、なんてこともよくあるのだ。
S41はバッテリー出力のリミット設定が可能になっている。これはS41のバッテリー容量が指定した残量になると相手のスマートフォンへの給電を停止するものだ。たとえば40%に指定しておくと、S41のバッテリーが40%になった時点で出力機能は停止する。この機能を使えば自分のスマートフォンの電池残量が無くなってしまうことはない。アウトドアの充電環境が悪い場所で、友人たちとスマートフォンの電池容量をシェアするときにはとても便利な機能と言えるだろう。
なお防水防塵はIP68、そして米軍の MIL-STD-810G企画にも対応。これはCATのスマートフォン全モデルに共通する。水深2メートルまでの動作保証はS41だけで、他の製品は1.8メートルまでとなる。価格は449ドル、5万円ちょっとでタフなスマートフォンが入手できるのだ。
また下位モデルの「CAT S31」は、Snapdragon 210をCPUに搭載したエントリークラスの製品。RAM2GB、ROM16GBでライトユースには十分だろう。ディスプレイはS60と同じ4.7インチHD、カメラはリア800万、フロント200万画素。ディスプレイのガラスはゴリラガラス3を搭載している。バッテリー容量は4,000mAhで、これもS60より大型だ。価格は329ドルと安く、3万円台で購入することができる。
どちらの製品もUSB端子やヘッドフォン端子はゴムキャップをはめて防水に対応している。キャップレス防水のほうが使いやすいものの、一般的なスマートフォンよりも防水機能を高めるためには必要な構造なのだろう。できればワイヤレス充電に対応してほしいところで、次期モデルに期待したい。
本体のデザインはどちらもディスプレイの下部に戻る、ホーム、タスクの物理キーを備えており、手袋をはめたままでも操作しやすい。背面のデザインはカメラの位置が異なるほか、表面仕上げもS41が全体を細かい凹凸の入ったマットに、S31はストライプを入れており、印象はかなり異なる。S31のほうがよりカジュアル、S41はよりプロフェッショナル、そんなターゲットユーザーを想定しての仕上げなのだろう。
さてどちらのモデルも発売日は未定だ。CATのスマートフォンはタフなボディーが特徴なだけではなく、デザインもスタイリッシュなので都会で使うのも悪くないかもしれない。ぜひ日本でも発売してほしいものである。