「親知らず」と聞くけれど、実際はよくわからない人も少なくないはず。本連載では、親知らずの基礎知識から、気になるギモンを歯科医師の福田尚美先生に答えてもらいました。
今回は、親知らずを抜く時期について紹介。抜歯の適齢期に加え、抜かない方がよい時期を福田先生が解説。ぜひ、抜くかどうか悩んでいる人は本記事を参考にしてみてください。
■親知らずを抜く適齢期
――親知らずを抜くのに適齢期はあるのでしょうか?
親知らずを抜く適齢期は「20代前半」だと言われています。この時期は親知らずが生え始めてから根っこが成長しきるまでの間で、骨もやわらかいため、比較的抜きやすいと言えるでしょう。健康な場合は麻酔も効きやすく、治癒も早いので体への影響も少ないです。
一方で、高齢になると、親知らずの根っこもしっかりあるのに加え、周りの骨も硬くなり、抜歯が困難になる場合があります。また、それまで抜くべき親知らずを放置していると、虫歯や歯周病になって痛みが出てからの治療となることが少なくありません。
さらに抜歯後の傷の治りが遅くなったり、感染症や出血のリスクが高くなったりする可能性も。そのほか、全身疾患を持ったり、体調コントロールが若い時よりも難しくなったりします。ですので、抜いた方がよい親知らずがある場合は早めに抜歯を検討しましょう。
■親知らずを抜かない方がいい時期
――親知らずを”抜かない方がいい時期”はいつですか?
親知らずは、「妊娠出産に関わる時期」「免疫力が低下している時期」には抜かない方がよいでしょう。
親知らずの痛みなど炎症が強い場合は麻酔が効きにくくなるため、一度薬で落ち着かせてから抜歯を行います。ですが、女性の場合は妊娠出産に関わる時期に親知らずに痛みが出ると、麻酔薬や薬など治療に制限が出ます。そのため、親知らずの治療や抜歯が難しくなります。
またホルモンバランスが崩れ、腫れやすくなったり、口腔内環境が悪くなったりするので、抜くべき親知らずがある場合は、早めの抜歯をおすすめします。加えて、授乳中も同じく抜かない方がよいでしょう。
ほかにも病気や手術で免疫力が低下している場合や、全身疾患とのコントロールがうまくいかない場合も抜歯後の感染症や出血のリスクが高まりますので抜くのを避けます。このような場合は主治医とも相談して抜歯を検討するため、大学病院で親知らずの抜歯を行う場合があるでしょう。
いかがでしたでしょうか。ぜひ、抜くかどうか悩んでいる人は、本記事を参考にしつつ医師に相談をしてみてください。それでは次回をお楽しみに!
監修者 : 福田 尚美 先生
【経歴】歯科医師臨床研修終了後、審美歯科・ホワイトニング専門医院勤務 / 一般歯科・小児歯科非常勤勤務。美容健康記事年間500記事作成したライター経験を生かして、歯科コンテンツ作成や歯科企業サポートやセミナーサポート等も行っている。
【資格】マウスピース矯正 -Invisalign -Asoaligner -Smiletru, ホワイトニング -ポリリンホワイトニング, その他 -日本離乳食・小児食育学会ベーシックセミナー
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