こんにちは、阿久津です。レジストリ編集に精通されている本連載の読者諸氏であれば、OSインストール前にレジストリエントリーを変更したいと考える方もおられるでしょう。実のところWindowsイメージの展開や管理を行う「Dism.exe」を使えば簡単に実行可能です。そこで今回はDism.exeを使ってWindows 10セットアップファイルのレジストリ編集を行うチューニングをご紹介しましょう。

1. Windows 10のISOイメージファイルを用意し、任意のフォルダーにコピーします。
2. Dism.exeで「Install.win」の内容を確認し、マウントします。
3. Reg.exeでレジストリを読み込みます。
4. 編集後はアンマウントとコミットを実行します。

あらかじめ用意したWindows 10 ISOイメージファイルをエクスプローラーでマウントし、任意のフォルダー(画面の例ではF:\ISO)にコピーします

管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「Dism /Get-WimInfo /WimFile:F:\ISO\Sources\install.wim」と入力して［Enter］キーを押します(パスはご自身の環境に合わせて変更してください)。ここで対象となるエディションを確認してください。Windows 10 Proの場合、インデックス番号は「4」です

「mkdir C:\Mount」と入力して［Enter］キーを押し、マウント先フォルダーを作成します。続いて「Dism /Mount-Wim /WimFile:F:\ISO\Sources\install.wim /index:4 /MountDir:C:\Mount」と入力して［Enter］キーを押してください(パスはご自身の環境に合わせて変更してください)

今回はステップごとに手順を解説しましょう。上記の囲み、ステップ1～2の注意点は、ISOイメージファイルに含まれている複数のエディションです。今回はWindows 10 Insider PreviewのISOイメージファイルを使いましたが、4つのエディションが確認できます。例えばWindows 10 Homeが対象であればインデックス番号は「2」、Windows 10 Proが対象であればインデックス番号は「4」。この数値をもとにマウントを実行します。今度はレジストリの内容を編集しましょう。

管理権限を持つコマンドプロンプト上で「reg load HKLM\MOUNT C:\Mount\Windows\System32\Config\SOFTWARE」と入力し、［Enter］キーを押します

レジストリエディター(regedit.exe)を起動しますと、HKEY_LOCAL_MACHINE\MOUNTキー下にレジストリの内容が現れました。後は自由に編集してください

ステップ3は上図で示したように、Reg.exeで「C:{マウントフォルダー}\Windows\System32\Config」フォルダーに並ぶレジストリハイブです。これらのファイルはレジストリ情報の実体となり、「reg load HKLM\MOUNT C:\Mount\Windows\System32\Config\SOFTWARE」の操作は「HKEY_LOCAL_MACHINE\MOUNTに、インストール前のHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWAREの内容をマウント」したことになります。例えばHKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEMのレジストリエントリーを編集する場合は「SYSTEM」、HKEY_LOCAL_MACHINE\SECURITYキーが対象なら「SECURITY」と変更してください。

「C:\Mount\Windows\System32\config」フォルダーの内容

最後のステップ4は、アンマウントおよび編集結果を確定させます。マウント時と同じく、Reg.exeを使ってレジストリハイブをアンロードしますが、その際レジストリエディターが起動しているとエラーになるので注意してください。

レジストリエディターを終了させてから、管理者権限を持つコマンドプロンプト上で「reg unload HKLM\MOUNT」と入力し、［Enter］キーを押します

続いて「Dism /Unmount-Image /MountDir:C:\Mount /Commit」と入力し、［Enter］キーを押します

これで、ストレージにコピーしたWindows 10のインストールファイルは変更されました。後は「Rufus」など起動可能なUSBメモリーを作成できるツールを使えば、チューニング済みWindows 10を容易にインストール・展開できます。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)