こんにちは、阿久津です。今回のトラブルは筆者固有かも知れませんが、Windows 10のUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションである「メール」でOffice 365のメールアドレスが追加できません。

まず、筆者はcactus.ne.jpドメインを所有しており、こちらのメールアドレスでMicrosoftアカウントを以前から使用しています。そして2017年前半から、cactus.ne.jpドメインをOffice 365 Business Premiumで利用するようになりました。つまり、同じメールアドレスを用いたMicrosoftアカウントと、職場または学校アカウントがあります。ちなみに、パスワードは両者別々のものを設定しました。

通常であれば、Microsoft Outlook 2016(以下、Outlook 2016)やUWP版メールもそのまま使えるはずですが、どうにもうまく行かないのです。もちろん日本マイクロソフトのサポートセンターに問い合わせてみましたが、丁寧な対応ながらも解決には至りません。

Microsoft Outlook 2016で職場または学校アカウントの登録を試みますが、何度やってもWindowsセキュリティダイアログで止まります

UWP版メールでアカウントの追加を試みますと、「アカウントが既に存在します」というメッセージが表示され、追加できません

しばらくWebブラウザー経由でメールを送受信しながら、UWP版メールの動作を調査したところ、とあることが理由でエラーになっていることを発見しました。今回は、職場または学校アカウントでUWP版メールを利用可能にるチューニングをご紹介します。

1. UWP版Peopleでエラーになるメールアドレスを確認します。
2. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
3. レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\ActiveSync\Partnersキー下でエラーになるメールアドレスを検索します。
4. 検索にヒットした値を保持し、GUIDを名前に持つキーを削除します。
5. <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了します。

これで操作が完了しました。

「People」を起動し、<設定>ボタンをクリック。エラーを示したアカウント名(メールアドレス)を確認します

[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して、<OK>ボタンをクリックします

レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\ActiveSync\Partnersキーを開きます。[Ctrl]+[F]キーを押して検索ボックスを起動し、先の手順で確認したメールアドレスで検索を実行します。検索対象は<データ>のみで構いません

検索にヒットしたGUIDを名前に持つキーを右クリックし、<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが現れたら<はい>ボタンをクリックしてください。最後に<×>ボタンをクリックしてレジストリエディターを終了させます

それでは結果を確認しましょう。UWP版メールを起動してOffice 365(Exchange)のメールアドレスを登録してください。今度はパスワードの入力をうながされ、多認証要素を有効にしている場合は操作を行った上で、メールアドレスの登録が完了します。

UWP版メールを起動し、<設定>→<アカウントの管理>→<アカウントの追加>→<Exchange>と順にボタンをクリックしてください。これでOffice 365のメールアドレスが登録可能になります

今回はOSセットアップ時に入力するMicrosoftアカウント情報をUWP版Peopleから1度削除することで、同じMicrosoftアカウントを連携利用するUWP版メール/カレンダー/Peopleで発生するトラブルを回避しています。

本トラブルはWindows 10 バージョン1608の頃から筆者の環境で発生し、その後Windows 10 Insider Previewでも同様の状態でした。今回再検証をしたところ、別のMicrosoftアカウントでセットアップしたWindows 10 バージョン1703では、UWP版メールで追加する場合、新たに対象となるMicrosoftアカウントで別のサインイン情報を作成して追加する場合は問題ありません。

Outlook 2016でも同様のトラブルが発生していることから、Exchange Serverと、Microsoft/職場または学校アカウントの連携ミスと思われます。ただし、Microsoftは同名アカウントの利用を推奨していません。だからといって、何十年も使ってきたメールアドレスを、システム側の理由で変更しろというのも釈然としません。筆者と同じように各アカウントで同じメールアドレスをお使いの方はお試しください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)