こんにちは、阿久津です。筆者は仕事やプライベートに使用する電子メールのやり取りに、Gmailを用いています。同サービスのプライバシーポリシーを見ますと、「Gmailサービスでは、IPアドレス、メールのコンテンツおよびGmailの利用状況に関連するその他の情報に基づいて、関連する広告およびリンクを提供します」や、「ユーザーのGmailアカウントまたはGoogleの他のサービスに関連する情報をGoogleがユーザーに送信することがあります」といった気になる一文もありますが、どうしても他者に知られたくない情報は、そもそも電子メールでやり取りしなければ良いだけの話。どうしても漏洩させたくない情報を電子メールで送信する場合は、GnuPGといった暗号化ソフトを併用すべきでしょう。

さて、そんなGmail活用中にふっと思い立ったのが、Gmailの素早いアクセス方法。Firefox使いであれば、アドオンであるGmail Notifierを用いることで、新着メールの確認やWebページへのアクセスもワンクリックで可能です。Internet Explorerの場合は、Gmail Notifierを使うのが、もっともポピュラーな方法でしょう。しかし、同ツールは通知領域に常駐するタイプのため、限られたリソースでWindows Vistaを使っている方は、二の足を踏んでしまうのでは。

そこで思い出したのがスタートメニューのピン機能。Windows Vistaのスタートメニューには、使用頻度の高いWebブラウザと電子メールクライアントを固定表示する機能が備わっています。各項目にはドロップダウンリストが用意され、リストからはWindows Vistaに導入済みのアプリケーションが並びます(図01)。

図01: コントロールパネルの「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」ダイアログにある<[スタート]メニュー>タブを開き、「[スタート]メニュー」セクションの<カスタマイズ>ボタンをクリックしますと、固定表示を行なうWebブラウザ/電子メールクライアントを選択できます

当たり前ですが、GmailはWebアプリケーションであるため、Gmailをサポートするアプリケーションを導入しませんと、リストに並ぶことはありません。そこで、スタートメニューからGmailにアクセスする項目をレジストリから作成するチューニングを行ないましょう。

まずはクイック検索やファイル名を指定して実行などから「regedit」を実行してレジストリエディタを起動し、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Clients \ Mailまでキーをたどって開きます。同キー下に「Gmail」キーを作成し、「既定」のデータ値を「Google Mail」に変更したら<OK>ボタンをクリックします。次にGmailキーのサブキーとして<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択し、「Protocols」→「mailto」を作成します。「mailto」キーの「既定」のデータ値を「URL:MailTo Protocol」に変更したら<OK>ボタンをクリックしてください(図02~06)。

図02: 「ファイル名を指定して実行」や「クイック検索」のテキストボックスに「regedit」と入力して[Enter]キーを押します

図03: HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Clients \ Mailまでキーをたどって開き、<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択。名前を「Gmail」に変更します

図04: Gmailキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「Google Mail」に変更したら<OK>ボタンをクリックします

図05: 先ほど作成したGmailキーを開いた状態で、<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択。名前を「Protocols」に変更します

図06: 次にProtocolsキーを開いた状態で、<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択。名前を「mailto」に変更します

図07: mailtoキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「URL:MailTo Protocol」に変更したら<OK>ボタンをクリックします

同様の手順でサブキーを「shell」→「open」→「command」とキーを順番に作成します。「command」キーを開き、「既定」のデータ値を「iexplore.exe -nohome」に変更したら<OK>ボタンをクリックしてください。今度は最初に作成したGmailキーまで戻り、同様の手順で「shell」→「open」→「command」とサブキーを順番に作成します。続いて「command」キーを開き、「既定」のデータ値を「iexplore.exe -nohome」に変更したら<OK>ボタンをクリックしてください。最後にMailキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「Gmail」に変更したら<OK>ボタンをクリックします。レジストリエディタを終了し、Windows Vistaへ再ログオンしましょう(図08~12)。

図08: mailtoキーを選択した状態で、「shell」→「open」→「command」とキーを順番に作成します。単純なスペルですが階層が深いので慎重に進めてください

図09: commandキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「iexplore.exe -nohome」に変更したら<OK>ボタンをクリックします

図10: 今度は最初に作成したGmailキーまで戻り、同様の手順で「shell」→「open」→「command」とキーを順番に作成します

図11: commandキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「iexplore.exe -nohome」に変更したら<OK>ボタンをクリックします

図12: 最後にMailキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「Gmail」に変更したら<OK>ボタンをクリックします

スタートメニューを開くと、スタートメニューの「電子メール」に「Google Mail」が加わり、同項目をクリックしますと、Internet ExplorerによるGmailへのアクセスが可能になります。なお、項目が表示されない場合は図01にある<電子メールリンク>にチェックを入れておきましょう(図13)。

図13: この時点で一度レジストリエディタを終了し、Windows Vistaに再ログオンしますと、スタートメニューの「電子メール」に「Google Mail」が加わります

さて、このままではInternet Exploerアイコンが使われてしまうため、少々見栄えに問題が。そこで、好みのアイコンを用いて、Gmailを呼び出すアイコンを変更してみましょう。アイコンは「gmail icon」などで検索してください。今回はIconExpo.comで配布されていたアイコンを拝借し、ドキュメントフォルダにアイコンファイルを格納した状態でチューニングを行ないます。

先ほどと同じく、レジストリエディタでHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Clients \ Mail \ Gmailまでキーをたどって開きます。<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択し、キー名を「DefaultIcon」に変更したら、同キーの「既定」をダブルクリックで開きます。データ値をアイコンファイルのフルパスに書き換え、<OK>ボタンをクリックしてください。後は同じく、レジストリエディタを終了し、Windows Vistaに再ログオンすればチューニング完了となります(図14~16)。

図14: レジストリエディタを起動し、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Clients \ Mail \ Gmailまでキーをたどって開きます。<編集>メニュー→<新規>→<キー>と選択し、キー名を「DefaultIcon」に変更してください

図15: DefaultIconキーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータをアイコンファイルまでのフルパス名に書き換え、<OK>ボタンをクリックします

図16: レジストリエディタを終了し、Windows Vistaに再ログオンしますと、スタートメニューの「電子メール」アイコンが変更されます

なお、HTMLファイル内のmeiltoタグに関する動作は、HKEY_CLASSES_ROOT \ mailto \ shell \ open \ commandで設定します。同キーの既定のデータ値を先の手順と同じように「iexplore.exe -nohome」に変更し、<OK>ボタンをクリックしてください。後はレジストリエディタを終了して、Windows Vistaに再ログオンすればチューニング完了です。しかし最近では、mailtoタグを用いた電子メールアドレスを公開するケースは少なく、誤ってクリックした時のことを考えますと、逆に同機能を向こうにした方が良いかもしれません。そのため本チューニングは手順を紹介していますが、実際に行なうかは読者の判断にお任せします(図17~18)。

図17: レジストリエディタを起動し、HKEY_CLASSES_ROOT \ mailto \ shell \ open \ commandまでキーをたどって開きます。同キーの「既定」をダブルクリックで開き、値のデータを「iexplore.exe -nohome」に変更したら<OK>ボタンをクリックします。設定を有効にするため、再ログオンしてください

図18: チューニング前はWindowsメールが起動していましたが、チューニング後はGmailのページが開き、ログオン済みの場合はメール作成ページが開きます

また、今回のチューニングはあまりにも手順が煩雑ですので、電子メールクライアントからアイコンを変更するまでのチューニング内容をレジストリファイルとして用意しました(txt形式で保存したファイルはこちら)。是非お役立てください。ただし、アイコン部分は「"C:\Users\kaz\Documents\gmail.ico"」と決め打ちになっていますので、ご自分の環境に合わせて書き換えてから結合しないと問題が発生します。ご了承ください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)