こんにちは、阿久津です。Microsoftは今から約20年前にリリースしたWindows 95以降、ファイルを削除する前の一時退避領域として、デスクトップに「ごみ箱」を用意してきました(図01)。

図01 デスクトップに鎮座する「ごみ箱」。格納できる容量など細かく設定できますが、基本的な機能はWindows 95の時代と変わりありません

ドラッグ&ドロップや[Delete]キーを押すなどして「ごみ箱」に放り込まれたファイルやフォルダーは「$Recycle.Bin」フォルダーへ移動されます。その後、<ごみ箱を空にする>を選択することで、それらが削除されるという仕組みです。

このとき[Shift]キーを押しながら、ファイルやフォルダーを「ごみ箱」にドラッグ&ドロップしたり、[Delete]キーを押すと、即座に削除できます。このアクションはなかなか便利なので、愛用しているユーザーも多いことでしょう(図02~03)。そこで、今回は<完全に削除>をコンテキストメニューに追加するチューニングを紹介します。

図02 通常は、「ごみ箱」へファイルやフォルダーをドラッグ&ドロップしても、いきなり削除はされず、移動しただけの扱いとなります

図03 [Shift]キーを押しながらドラッグ&ドロップすると、アクションは「削除」に変化します

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CLASSES_ROOT\AllFilesystemObjects\shell\Windows.PermanentDeleteキーを開きます(ない場合は作成します)。
3. 文字列値「CommandStateSync」を作成します。
4. 文字列値「ExplorerCommandHandler」を作成し、データを「{E9571AB2-AD92-4ec6-8924-4E5AD33790F5}」に変更します。
5. 文字列値「Icon」を作成し、データを「shell32.dll,-240」に変更します。
6. 文字列値「Position」を作成し、データを「Bottom」に変更します。
7. レジストリエディターを終了します。

これで操作が完了しました(図04~19)。

図04 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図05 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CLASSES_ROOT\AllFilesystemObjects\shellキーを開きます

図06 shellキーを右クリックし、<新規>→<キー>と順にクリックします

図07 キー名を「新しいキー #1」から「Windows.PermanentDelete」に変更します

図08 Windows.PermanentDeleteキーを開いて、右ペインの何もないところを右クリック。<新規>→<文字列値>と順にクリックします

図09 値名を「新しい値 #1」から「CommandStateSync」に変更します

図10 右ペインの何もないところを右クリックし、<新規>→<文字列値>と順にクリックします

図11 値名を「新しい値 #1」から「ExplorerCommandHandler」に変更します

図12 文字列値「ExplorerCommandHandler」をダブルクリックし、データを「{E9571AB2-AD92-4ec6-8924-4E5AD33790F5}」に変更します

図13 右ペインの何もないところを右クリックし、<新規>→<文字列値>と順にクリックします

図14 値名を「新しい値 #1」から「Icon」に変更します

図15 文字列値「Icon」をダブルクリックし、データを「shell32.dll,-240」に変更します

図16 右ペインの何もないところを右クリックし、<新規>→<文字列値>と順にクリックします

図17 値名を「新しい値 #1」から「Position」に変更します

図18 文字列値「Position」をダブルクリックし、データを「Bottom」に変更します

図19 レジストリエディターを終了します

それでは結果を確認しましょう。任意のファイルやフォルダーを右クリックしてください。するとコンテキストメニューに、<完全に削除>が加わったことを確認できます。同項目をクリックしますと、完全削除時に確認をうながすダイアログが現れました。<はい>ボタンをクリックすれば、「ごみ箱」を経由せずに対象を削除できます(図20~21)。

図20 ファイルやフォルダーのコンテキストメニューに<完全に削除>が加わります

図21 <完全に削除>を選択しますと、ファイルやフォルダーを削除する確認ダイアログが現れます

さて、今回のチューニングはエクスプローラーのリボンに並ぶ<ホーム>タブ→<削除>→<完全に削除>を利用しました。「Permanent delete command」はGUID「{E9571AB2-AD92-4ec6-8924-4E5AD33790F5}」で定義されているため、文字列値「ExplorerCommandHandler」で呼び出しています。

もし、本チューニングによってファイル操作時に誤ってファイルを削除してしまう問題が発生する場合は、Windows.Permanentキー内に文字列値「Extended」キーを追加すれば、[Shift]キーを押した時のみ<完全に削除>が現れます。また、本チューニングを破棄する場合は、Windows.Permanentキーを削除してください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)