こんにちは、阿久津です。最新のWindows 10 Insider Previewでは、コンテキストメニューから<コマンドウィンドウをここで開く>が取り除かれました。Microsoftは、Windows 10でコマンドプロンプトの強化を打ち出していましたが、エクスプローラーから起動するのもPowerShellのみとなり、方針転換をしたのかも知れません。

筆者もその一人ですが、長年愛用してきたコマンドプロンプトの方が使い慣れているという読者諸氏も多いはず。そこで今回はWindows 10 Insider Preview ビルド14986を対象に、<コマンドウィンドウをここで開く>を復活させるチューニングを紹介しましょう。

1. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
2. HKEY_CLASSES_ROOT\Directory\Background\shell\cmdキーを開きます。
3. cmdキーの所有者を自身のユーザーアカウントに変更します。
4. DWORD値「HideBasedOnVelocityId」を削除します。
5. レジストリエディターを終了します。

これで操作が完了しました(図01~11)。

図01 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図02 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CLASSES_ROOT\Directory\Background\shell\cmdキーを開きます

図03 cmdキーを右クリックし、<アクセス許可>をクリックします

図04 アクセス許可ダイアログが起動したら、<詳細設定>ボタンをクリックします

図05 「所有者」セクションの<変更>をクリックします

図06 「選択するオブジェクト名~」に「{コンピューター名}\ユーザー名」と入力し、<名前の確認>ボタンから再確認したうえで、<OK>ボタンをクリックします

図07 <サブコンテナーとオブジェクトの所有者を置き換える>をクリックしてチェックを入れてから、<OK>ボタンをクリックします

図08 「グループ名またはユーザー名」で自身のユーザーアカウントや所属グループを選択し、「フルコントロール」の「許可」にチェックを入れ、<OK>ボタンをクリックします

図09 DWORD値「HideBasedOnVelocityId」を右クリックし、<削除>をクリックします

図10 確認をうながすメッセージが現れたら、<はい>ボタンをクリックします

図11 レジストリエディターを終了します

それでは結果を確認しましょう。デスクトップの何もないところを[Shift]キーを押しながら右クリックしてください。するとコンテキストメニューには、<PowerShellウィンドウをここに開く>に加えて、<コマンドウィンドウをここで開く>が表示されています。(図12~13)。

図12 こちらはチューニング前の状態。[Shift]キーを押しながらデスクトップの何もないところを右クリックしたところです

図13 チューニング後に同じ操作を行うと、<コマンドウィンドウをここで開く>が加わっています

興味深いのは、DWORD値「HideBasedOnVelocityId」の存在でしょう。これは、"ベロシティーIDに基づいて非表示にする"という意味になりますが、Velocityを"速さ"や"速度"と訳しても、コンテキストメニューの項目と連動しません。

他方でHKEY_CLASSES_ROOT\Directory\Background\shell\Powershellキーには、DWORD値「ShowBasedOnVelocityId」が新たに加わったことが確認できます。試しに同値名を「HideBasedOnVelocityId」に変更したところ、<Powershellウィンドウをここに開く>を削除できました(図14)。

図14 PowerShellキーのDWORD値「ShowBasedOnVelocityId」を「HideBasedOnVelocityId」に変更すると、<PowerShellウィンドウをここに開く>を削除できます

他のレジストリキーとどのように連動しているのか確認していませんが、Windows 10 Creators Updateでは、DWORD値「ShowBasedOnVelocityId」および「HideBasedOnVelocityId」による項目の表示・非表示を制御するのかもしれません。なお、本チューニングを破棄するには、cmdキーにDWORD値「HideBasedOnVelocityId」を作成し、データを「639bc8」に変更してください。

2016年の「Windowsスマートチューニング」はこれが最後となります。それでは、また来年お目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)