こんにちは、阿久津です。遂に正式名称が発表されたWindows 8(ちなみにWindows Server "8"は「Windows Server 2012」に決定)ですが、興味深いのはSkyDriveの新展開です。改めて述べるまでもなくSkyDriveは、Microsoftが管理するクラウド上でデータを管理するオンラインストレージサービスの一種。先行している同種サービスのDropboxやSugarSyncに対抗するため、使用可能容量の拡大などサービスの拡充を行ってきましたが、昨日行われた改変では、1ファイルあたりの容量を300Mバイトへ増加(従来は50Mバイト)。

このほかにも、XMLをベースとしたオフィススイート用のファイル形式であるODF(Open Document Format)をサポートし、専用の短縮URL「sdrv.ms」やTwitterによる画像ファイル共有をサポートしています。同時に有償のストレージオプションの提供も開始され、プラス20Gバイトで800円/年。プラス50Gバイトで2,000円/年。プラス100Gバイトで4,000円/年の追加費用が必要となります(図01)。

図01 SkyDriveの容量管理ページ。本情報を知ったときはドル単位でしたが、実際にアクセスしてみると価格は円単位に切り替わっていました

近々開始されるというGoogleのオンラインストレージサービスも気になるところですが、このあたりは来週掲載予定のレポート記事で詳しく述べることにしましょう。SkyDriveに関する最大のポイントは、専用のクライアントソフトを用意した点です。既にWindows PhoneやiPhone/iPad用は存在していましたが、今回新たにWindows版とMac OS X版が用意されました

クライアントソフトをインストールしますと、特定のフォルダー(初期状態では%USERPROFILE%\SkyDrive)が作成され、SkyDrive上のファイルと同期が行われるようになります。各社オンラインストレージサービスを使っている方には目新しいものではありませんが、このクライアントソフトの登場により、ようやく他社と競えるスタートラインに立ったと言えるでしょう。SkyDriveサービスに関する展開情報は、今週後半に開催されるThe Next Web Conferenceで明らかになるようですが、まずは本クライアントソフトをお試しください(図02~03)。

図02 Web上のSkyDrive。このようなフォルダー構成になっています

図03 こちらはクライアント上のSkyDriveフォルダー。Web上のフォルダーと同期されているのが確認できます

さて、これまでのWindows OSでは使用したファイルのリンクファイルを自動生成することで、使用頻度の高いファイルに素早くアクセスする「最近使ったファイル」という仕組みが用意されていました。Windows 7では同機能を改良し、タスクバーにピン留めしたボタンを右クリックした際に現れる"ジャンプリスト"に使用したファイルやURLを記録する機能が備わっています。

この情報は「%AppData%\Microsoft\Windows\Recent」フォルダーに格納され、拡張子「*.automaticDestinations-ms」を持つファイルは「~\Recent\AutomaticDestinations」フォルダーに、拡張子「*.customDestinations-ms」を持つファイルは「~\Recent\CustomDestinations」フォルダーに格納され、ソフトウェアのインストール先パス名によって特定のファイル名が生成される仕組み(図04~05)。

図04 @%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\AutomaticDestinationsフォルダーの内容。主に最近使ったファイルの情報が格納されます

図05 %AppData%\Microsoft\Windows\Recent\CustomDestinationsフォルダーの内容。主によくアクセスするサイトやタスクなどの情報が格納されます

前回紹介した「タスクバーのピン留め情報をバックアップ/復元する」と同じように各フォルダーの内容を保存すれば、バックアップや復元が容易になるのではないでしょうか。そこで今回はバッチファイルを用いて、ジャンプリストの情報をバックアップ/復元するチューニングをお届けします。

1.「notepad」を実行します。
2.メモ帳を起動し、リスト01の内容を入力したら、「JumpList-Backup.bat」として保存します。
3.「notepad」を実行します。
4.メモ帳を起動し、リスト02の内容を入力したら、「JumpList-Restore.bat」として保存します。

リスト01 JumpList-Backup.bat

 @echo off
 :: JumpList-Backup.bat
 :: Yoshikazu Akutsu
 :: http://news.mynavi.jp/column/windows/index.html
 ::
 setlocal
 set BackUpFolder1=%USERPROFILE%\JumpList-Backup\AD
 set BackUpFolder2=%USERPROFILE%\JumpList-Backup\CD
 set TargetFolder1=%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\AutomaticDestinations
 set TargetFolder2=%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\CustomDestinations

 if not exist "%BackUpFolder1%" mkdir "%BackUpFolder1%"
 copy /y "%TargetFolder1%" "%BackUpFolder1%"
 if not exist "%BackUpFolder2%" mkdir "%BackUpFolder2%"
 copy /y "%TargetFolder2%" "%BackUpFolder2%"

 endlocal

リスト02 JumpList-Restore.bat

 @echo off
 :: JumpList-Restore.bat
 :: Yoshikazu Akutsu
 :: http://news.mynavi.jp/column/windows/index.html
 ::
 setlocal
 set BackUpFolder1=%USERPROFILE%\JumpList-Backup\AD
 set BackUpFolder2=%USERPROFILE%\JumpList-Backup\CD
 set TargetFolder1=%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\AutomaticDestinations
 set TargetFolder2=%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\CustomDestinations

 del /F /S /Q /A "%TargetFolder1%"
 copy /y "%BackUpFolder1%" "%TargetFolder1%"
 del /F /S /Q /A "%TargetFolder2%"
 copy /y "%BackUpFolder2%" "%TargetFolder2%"

 taskkill /f /im explorer.exe
 start explorer.exe

 endlocal
※「::」はコメント部分なので入力しなくても結構です。入力が面倒な場合はこちら(sample.lzh)からダウンロードしてください。

これで準備が終了しました(図06~13)。

図06 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「notepad」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図07 リスト01の内容を入力し、<×>ボタンをクリックします

図08 保存をうながすメッセージが現れたら、<保存する>ボタンをクリックします

図09 ファイル名を「"JumpList-Backup.bat"」に変更して、<保存>ボタンをクリックします

図10 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「notepad」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図11 リスト02の内容を入力し、<×>ボタンをクリックします

図12 保存をうながすメッセージが現れたら、<保存する>ボタンをクリックします

図13 ファイル名を「"JumpList-Restore.bat"」に変更して、<保存>ボタンをクリックします

早速動作を確認してみましょう。普段お使いのコンピューターで実行する場合はそのまま「JumpList-Backup.bat」を実行してください。もし、実験環境で試す場合はInternet Explorerで複数のWebサイトにアクセスしてジャンプリストの履歴を作成しましょう。バックアップ操作を終えたら、ジャンプリストからすべての履歴を削除してください。この状態で「JumpList-Restore.bat」を実行すれば、ジャンプリストの内容が復元されます(図14~19)。

図14 まずはジャンプリストの状態を確認してください。画面はInternet Explorer 9のジャンプリストですが、四つのサイトが「よくアクセスするサイト」に記録されています

図15 「JumpList-Backup.bat」をダブルクリックして実行します

図16 ジャンプリストを開き、「よくアクセスするサイト」の項目を右クリックすると現れるメニューから<この一覧から削除>を選択します

図17 図16の操作を繰り返し、すべての項目を削除してください

図18 「JumpList-Restore.bat」をダブルクリックして実行します

図19 すると各ファイルの復元が行われてからエクスプローラーが再起動し、ジャンプリストの項目が復元します

バッチファイルの内容は単純で、「%AppData%\Microsoft\Windows\Recent\AutomaticDestinations」フォルダーの内容を環境変数「BackUpFolder1」で定義したフォルダーにバックアップ。「~\Recent\CustomDestinations」フォルダーの内容を環境変数「BackUpFolder2」で定義したフォルダーにバックアップしています。

復元時は逆の操作を行い、「taskkill」コマンドでエクスプローラーの実体である「explorer.exe」を終了させ、同プログラムを実行しました。そのため、稼働中のアプリケーションによっては通知領域のアイコンが消えてしまうなどの不具合が発生する可能性があります。その際はWindows 7に再ログオンしてください。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus