こんにちは、阿久津です。新たにコンピューターを購入しますと、大抵はウイルス対策ソフトがバンドルされており、ユーザーは無意識的に同ソフトを使うことになります。もちろん、既存のウイルス対策ソフトを削除し、個人や非商用使用に限って無料の海外産ウイルス対策ソフトを使っている方もおられるでしょう。

かく言う筆者もあれこれと試し、Avira Free AntivirusとMicrosoft Security Essentialsを併用するカタチで落ち着きました。一本に絞らない理由は、Microsoft Security Essentialsのウイルス検出率が全幅の信頼に達していないためです。海外産や出どころ不明のソフトウェアを試すことが多いため、検知率が比較的高いAvira Free Antivirusのリアルタイム保護機能が欠かせません。もっともヒューリスティックスキャンによる誤認識の多さは玉にきずですが……。

筆者が最初に出くわしたウイルスは、日本に初上陸した「Jerusalem」です。別名「Friday the 13th:13日の金曜日」の方が有名でしょう。当時はPC-9800シリーズ上でMS-DOSを使っていましたが、コンピューターでやっていることは今と変わらず、海外産のオンラインソフトをあれこれと試用する日々。この頃話題になり始めたのが前述のウイルスです。

1980年代後半から注目されるようになったウイルスですが、当時はまだウイルス対策ソフトはあまり知られておらず、自身のMS-DOS環境に導入したのは無償使用可能だったMcAfeeのVirusScan。Windowsベースのウイルス対策ソフトと異なり、自動スキャン機能は備わっていません。オープンソースベースで開発されているClam AntiVirusのように、ファイル単独やディレクトリに対してスキャンを実行するというものでした。

"三つ子の魂百まで"とはよく言ったもので、Windowsアプリケーションとして動作する各種ウイルス対策ソフトが、ファイルをスキャンしている様はいまだにピンと来ません。また、コマンドプロンプト上で作業している際に、任意のファイルをしたくなることもあるでしょう。以前のMicrosoft Security Essentialsはコマンドラインオプションは貧弱でしたが、現行のバージョン2ではコマンドラインからMicrosoft Security Essentialsを操作することが可能になりました(図01~02)。

図01: 「%ProgramFiles% \ Microsoft Security Client \ Antimalware \ MpCmdRun.exe」でコマンドラインからの操作が可能です

図02: 「MpCmdRun.exe -scan -file {対象となるフォルダー}」と実行すれば、コマンドラインからウイルススキャンも実行できます

「MpCmdRun.exe」に用意されている「-Scan」オプションを用いることで、コマンドラインからのウイルスに感染していないかスキャンできるため、環境変数「PATH」を通すことで、気軽にファイルのスキャンができます。唯一のネックはコマンドラインオプションの構成が複雑かつ、日本語化されていない点。簡単な訳文を用意しましたので、コマンドライン派の方はご参照ください(図03)。

図03: 「MpCmdRun.exe」のコマンドラインオプション

さて、コマンドラインからの操作が可能と述べても、大半の方は「簡単・便利」を優先されることでしょう。そこで今回はMicrosoft Security Essentialsのアクションを実行するショートカットファイルを作成するチューニングをお届けします。

1.「%ProgramFiles%\Microsoft Security Client\msseoobe.exe」のショートカットファイルの作成準備を行います。
2.リンク先に「~(半角空き)-QuickScan」を追加します。
3.ショートカットファイルのアイコンを「%ProgramFiles%\Microsoft Security Client\eppmanifest.dll」から参照します。

これでチューニングが終了しました(図04~14)。

図04: デスクトップの何もないところを右クリックし、メニューから<新規作成>→<ショートカット>とクリックします

図05: ダイアログが起動したら<参照>ボタンをクリックします

図06: ツリーを展開し、「%ProgramFiles% \ Microsoft Security Client \ msseoobe.exe」を選択して<OK>ボタンをクリックします

図07: テキストボックスの末尾に「(半角空き)-QuickScan」を追加して<次へ>ボタンをクリックします

図08: テキストボックスに「MSE-QuickScan」などわかりやすい名称を入力して<完了>ボタンをクリックします

図09: ショートカットファイルを右クリックし、メニューから<プロパティ>をクリックします

図10: ダイアログが起動したら<アイコンの変更>ボタンをクリックします

図11: 同名のダイアログにある<参照>ボタンをクリックします

図12: テキストボックスに「%ProgramFiles% \ Microsoft Security Client \ eppmanifest.dll」と入力して<開く>ボタンをクリックします

図13: 図11のダイアログに戻りますが、アイコンが列挙されます。そのまま<OK>ボタンをクリックしてください

図14: これでショートカットファイルの作成が完了しました

早速動作を確認してみましょう。先ほどの手順で作成したショートカットファイルをダブルクリックで実行してください。するとMicrosoft Security Essentialsが起動し、自動的にクイックスキャンが実行されます(図15)。

図15: 先ほどのショートカットファイルをダブルクリックで実行しますと、Microsoft Security Essentialsによるクイックスキャンが実行されます

本チューニングのポイントはステップ02で行った「-QuickScan」。Microsoft Security Essentialsの実行ファイルである「msseoobe.exe」にもコマンドラインオプションが用意されており、定義ファイルのアップデートや、アップデート後にスキャンを実行といった操作も可能です。同ステップで追加するオプションを必要に応じて変更したショートカットファイルを作成してください(図16)。

図16: 「msseoobe.exe」のコマンドラインオプション

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)