こんにちは、阿久津です。Windows OSを長年使用している方にはお馴染みですが、「パフォーマンスオプション」ダイアログの<視覚効果>タブでは、文字どおり視覚効果の有無を設定し、Windows OSのパフォーマンスを向上させることが可能です。筆者もWindows OSを導入した際は、最初に同ダイアログを起動し、アニメーションやオブジェクトにかかる影などを無効にしていますが、複数のWindows OSを展開する際は煩雑な作業に辟易することも少なくありません(図01~02)。
図01: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「SystemPropertiesPerformance.exe」と入力して<OK>ボタンをクリックします |
図02: これで「パフォーマンスオプション」ダイアログが起動しました。<視覚効果>タブには、パフォーマンスに直結する設定項目が集められています |
そこで思いつくのがレジストリチューニングですが、例えば<Aeroプレビューを有効にする>という項目は、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Microsoft \ Windows \ DWMキーに並ぶDWORD値「EnableAeroPeek」で管理されており、データ値が「1」の場合は有効(チェックオン)、「0」の場合は無効(チェックオフ)となります。
これらを個別に設定していけば、同ダイアログからの操作は不要に見えますが、そううまくは行きません。用意された20項目の大半はレジストリエディターなどから操作する場合、Explorer.exeなど各プロセスの再起動が必要なのです。つまり、同ダイアログから操作した方が素早く設定できるため、前述のような操作は意味をなしません。
そこで思い出すのが、コマンドラインからレジストリを操作するコマンド「reg.exe」。同コマンドを使用し、バッチファイルを作成すれば、Windows 7導入直後に各項目を一括設定することが可能です。そこで今回は、パフォーマンスオプションの視覚効果をレジストリから一括設定するチューニングを紹介しましょう。
1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「notepad」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.メモ帳が起動したらリスト01の内容を入力します。
3.[Ctrl]+[S]キーを押し、保存先をデスクトップに変更してからテキストボックスに「PerformanceSetting.bat」と入力して<保存>ボタンをクリックします。
4.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「cmd」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
5.コマンドプロンプトが起動したら、「Desktop\PerformanceSetting.bat」と入力して[Enter]キーを押します。
6.設定を有効にするため、Windows 7へ再ログオンしてください。
■リスト01
@echo off
setlocal
set Act=reg add
set KEY_DWM="HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\DWM"
set KEY_DESKTOP="HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop"
set KEY_ADV="HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced"
set KEY_THEME="HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ThemeManager"
set KEY_METRICS="HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetrics"
echo <Aeroプレビューを有効にする>を無効にします。
%Act% %KEY_DWM% /v EnableAeroPeek /t REG_DWORD /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <Windows内のアニメーションコントロールと要素>を無効にします。
echo <ウィンドウの下に影を表示する>を無効にします。
echo <コンボボックスをスライドして開く>を無効にします。
echo <ヒントをフェードまたはスライドで表示する>を無効にします。
echo <マウスポインターの下に影を表示する>を無効にします。
echo <メニューをフェードまたはスライドして表示する>を無効にします。
echo <メニュー項目をクリック後にフェードアウトする>を無効にします。
echo <リストボックスを滑らかにスクロールする>を無効にします。
%Act% %KEY_DESKTOP% /v UserPreferencesMask /t REG_BINARY /d 9012018010000000 /f > %TEMP%\NULL
echo <アイコンの代わりに縮小版を表示する>を無効にします。
%Act% %KEY_ADV% /v IconsOnly /t REG_DWORD /d 1 /f > %TEMP%\NULL
echo <ウィンドウとボタンに視覚スタイルを使用する>を無効にします。
%Act% %KEY_THEME% /v ThemeActive /t REG_SZ /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <ウィンドウを最大化や最小化するときにアニメーションで表示する>を無効にします。
%Act% %KEY_METRICS% /v MinAnimate /t REG_SZ /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <スクリーンフォントの縁を滑らかにする>を無効にします。
%Act% %KEY_DESKTOP% /v FontSmoothing /t REG_SZ /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <タスクバーとスタートメニューでアニメーションを表示する>を無効にします。
%Act% %KEY_ADV% /v TaskbarAnimations /t REG_DWORD /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <タスクバーの縮小版のプレビューを保存する>を無効にします。
%Act% %KEY_DWM% /v AlwaysHibernateThumbnails /t REG_DWORD /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <デスクトップコンポジションを有効にする>を無効にします。
%Act% %KEY_DWM% /v CompositionPolicy /t REG_DWORD /d 1 /f > %TEMP%\NULL
echo <デスクトップのアイコン名に影を付ける>を無効にします。
%Act% %KEY_ADV% /v ListviewShadow /t REG_DWORD /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <ドラッグ中にウィンドウの内容を表示する>を無効にします。
%Act% %KEY_DESKTOP% /v DragFullWindows /t REG_SZ /d 0 /f > %TEMP%\NULL
echo <透明感を有効にする>を無効にします。
%Act% %KEY_DWM% /v ColorizationOpaqueBlend /t REG_DWORD /d 1 /f > %TEMP%\NULL
echo <半透明の[選択]ツールを表示する>を無効にします。
%Act% %KEY_ADV% /v ListviewAlphaSelect /t REG_DWORD /d 0 /f > %TEMP%\NULL
:end
del %TEMP%\NULL
echo 設定を有効にするため再ログオンしてください。
endlocal
これでチューニングが終了しました(図03~08)。
図05: [Ctrl]+[S]キーを押してダイアログを起動し、保存先をデスクトップに変更してからテキストボックスに「"PerformanceSetting.bat"」と入力して<保存>ボタンをクリックします |
図07: コマンドプロンプトが起動したら、「Desktop\PerformanceSetting.bat」と入力して[Enter]キーを押してください。これでレジストリエントリの書き換えが行なわれます |
結果を確認するまでもなく、Windows 7に再ログオンしますと、パフォーマンスオプションダイアログの<視覚効果>タブで各項目を無効にした状態となります。SystemPropertiesPerformance.exeを実行して同ダイアログを起動しますと、<カスタム>設定が選択された状態となり、各項目はチェックオフとなります(図09~10)。
図09: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「SystemPropertiesPerformance.exe」と入力して<OK>ボタンをクリックします |
なお、リスト01のバッチファイルはすべての項目を無効(チェックオフ)にしますので、ご自身の使用スタイルに合わせて設定値(オプション「/d」で設定する値)を変更してください。ただし、<Windows内のアニメーションコントロールと要素>などで用いるバイナリ値「UserPreferencesMask」は複数の項目設定をビット単位で管理しているため、直接編集することは好ましくりません。
そこで、パフォーマンスオプションダイアログの<視覚効果>タブで、あらかじめ好みの設定を行なってから、HKEYCURRENTUSER \ Control Panel \ Desktopキーの同値をチェックし、データ値の内容をバッチファイルに組み込んでください。なお、各項目と連動するキーやエントリを図11にまとめました。バッチファイルの調整にお役立てください(図11)。
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)