従来のWinodwsはローカルデバイス全体を対象にしたフルバックアップが基本だったが、Windows 8以降はシステムファイルを初期状態にする「PCのリフレッシュ」などが加わり、フルバックアップの必要性が低下した。PCを利用する上でバックアップは不可欠だが、その際に役立つのが「ファイル履歴」だ。今回で一区切り、最後にバックアップデータの保持期間と削除方法について紹介しよう。
「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。
バックアップの保持期間はどれが適切か?
ファイル履歴のバックアップデータ保持期間は、「無期限」を既定値としている。誤って破損や削除したファイルを、時をさかのぼって復元するというコンセプトを踏まえれば、間違いではない。だが、バックアップ先となるストレージの容量は有限だ。
バックアップ元(ドキュメントフォルダーやデスクトップなど)によって必要な容量は異なるものの、筆者が普段から使っているPCのバックアップデータは、283GB、約17万ファイルと約5千のフォルダーが含まれている。バックアップデータの保存期間を1カ月に制限しても、だ。
バックアップデータの保存期間は「詳細設定」の「保存されたバージョンを保持する期間」で設定する。最短1カ月から無期限、もしくは「保存容量が足りなくなるまで」、保存期間を選択できる。
気になるのは、どれが適切な設定値なのかという点だろう。こちらも使用スタイルで異なり、他のバックアップツールを併用している場合は1カ月でも構わない。バックアップは「ファイル履歴」機能だけで済ませるという場合は、ファイル履歴専用のストレージを用意し、「無期限」や「領域が足りなくなるまで」を選択すると安全性が増すだろう。
古いバックアップデータをクリアする
バックアップデータの保存容量が大きくなりすぎた場合、一時的に削除する機能も用意されている。こちらを使えば、1/3/6/9/12/24カ月以前、もしくは最新以外の全バックアップデータを削除することも可能だ。
当初はバックアップ保持期間を「無期限」にし、バックアップ専用ストレージの空き容量を見据えながら、空き容量が足りなくなったらクリーンアップ機能でバックアップデータを削除する……。この方法を使うことで、使用中のストレージ容量に対して適切なバックアップデータの保持期間を見いだせるはずだ。
オフラインキャッシュとは
「詳細設定」の画面をながめていると、もう1つ気になる項目が存在する。それが「オフラインキャッシュのサイズ」だ。バックアップデータの保存先として、ネットワーク上の共有フォルダーや取り外し可能な外付けドライブを選択している際に利用する、キャッシュファイルのサイズである。
例えば、外付けドライブを接続していなかったり、ネットワークがオフラインだったりした場合、1度ホストドライブ(通常はCドライブ)にキャッシュファイルを作成する。バックアップデータの保存先ストレージが認識されると、キャッシュファイルをコピーしたのち、キャッシュファイルを削除する仕組みだ。
仮にホストドライブ(に作成するキャッシュファイル用)の空き容量が足りないと、一部のファイルがバックアップできない問題が発生してしまう。場合にもよるが、128GBや256GBくらいのSSDを使っているなら、注意すべきポイントだ。
キャッシュ容量の既定値はディスク容量の5%だが、環境に合わせて10%や20%を選択することをおすすめしたい。逆に、常に接続しているローカルドライブをバックアップ保存先にしている場合、オフラインキャッシュファイルは基本的に使用しないため、2%を選択しておくとよいだろう。
阿久津良和(Cactus)