共有フォルダーやネットワークドライブ接続時には、基本的にユーザー名やパスワードの入力が必要だ。Windowsではこれらを「資格情報」と呼ぶ。資格情報コンテナという特殊なフォルダーに情報を保存し、他のPCやWebサイトなどへログオンする際に用いられる。
Windows資格情報=ユーザー名とパスワード
まずは資格情報について詳しく述べておこう。第123回で共有フォルダーをネットワークドライブ化する際、「資格情報を記録する」という設定項目があった。
この項目をチェックした状態で接続すると、ネットワーク上のコンピューター名やユーザー名、およびパスワードが「Windows資格情報」としてPCに格納される。これらの情報は「資格情報マネージャー」という管理ツールを用いて編集可能だ。
「Win」+「R」キーを押すなどして「ファイル名を指定して実行」を呼び出す。テキストボックスに「control /name Microsoft.CredentialManager」と入力して、「OK」ボタンをクリック/タップする |
上図は第123回で接続したコンピューター名が並んでいないが、「資格情報を記録する」をチェックした状態でウィザードを進めると、下図のようにWindows資格情報が格納される。
資格情報マネージャーを見ると分かるように、ユーザー名などの保存はWindows資格情報に類するが、Webサイトのログイン情報は「Web資格情報」という別カテゴリで管理する。なお、格納する情報を厳密に述べると、ユーザー名およびパスワード以外にも、NTハッシュやLAN Managerハッシュなども含む。
また、上図には「常設」という項目が設けられており、これは"保存の種類"を意味する。Windowsでは3種類の常設があり、「エンタープライズ」は永続的に保持する情報だ。「ローカルコンピューター」も永続的だが、移動ユーザープロフィールの対象外となる。そして「ログオンセッション」は文字どおりサインイン時のみ保持し、サインアウト時は情報を破棄する仕組みだ。
Windows資格情報を作成する
Windows資格情報は共有フォルダーなどへアクセスする時点だけではなく、あらかじめ作成しておくこともできる。基本的にはネットワークドライブ接続時と同じ手順だが、注意点はユーザー名をそのまま入力せず、「ネットワークアドレス\ユーザー名」という形式で入力することだ。ワークグループの場合は、自身のコンピューター名を用いればよい。
資格情報マネージャーの「Windows資格情報の追加」をクリック/タップし、接続先のコンピューター名(もしくはIPアドレス)、ユーザー名およびパスワードを入力して、「OK」ボタンをクリック/タップする |
なお、再サインイン後にWindows資格情報の入力を求められる場合、常設がログオンセッションになっている可能性が高い。資格情報マネージャーの確認や、Windows資格情報の再作成をおすすめする。
資格情報のバックアップと復元
Windows資格情報を含む各資格情報は、ファイルとしてバックアップ可能だ。下記に示す操作で、OneDriveフォルダーなどにバックアップを作成しておくとよい。
バックアップファイルはパスワードによる暗号化が施されているものの、扱いには細心の注意を払うべきだ。復元操作も基本的な手順は同じだが、同じコンピューター名やIPアドレスを持つWindows資格情報は上書きされる。また、別PCへの復元は保証外となるため、おすすめしない。
阿久津良和(Cactus)