本連載の第107回第108回で紹介してきた「高速スタートアップ」だが、その構造から、新たに増設したハードウェアを正しく認識しないケースも少なくない。そこで今回は、高速アップスタート有効時のコールドブート(通常の起動)に関するTipsをお送りする。

完全シャットダウンを実行する

高速スタートアップ有効時に発生するデメリットは第108回で述べたように、電源オフ時に行った更新(ハードウェアの換装や増設など)を正しく認識しないケースである。そのため、複数のOSを起動可能にするマルチブート環境などは完全シャットダウンの実行、そしてコールドブートの実行が求められるのだ。

その方法は多岐にわたるが、もっともスタンダードなのが下記の手順。これでハイバネーションファイルに保存する工程をバイパスし、ハイブリッドシャットダウン(通常のシャットダウン)ではなく完全シャットダウンを実行する仕組みだ。

「Win」+「I」キーを押すなどして設定チャームを呼び出し、「PC設定の変更」をクリック/タップする

「PC設定」の「保守と管理」をクリック/タップする

「回復」の「今すぐ再起動する」をクリック/タップする

「PCの電源を切る」アイコンをクリック/タップすれば、PCの完全シャットダウンが実行できる

ホストドライブがSSDの場合、アクセススピードが速いため、高速スタートアップの恩恵を受けているか否かの判断が難しい。その際は「イベントビューアー」で確認すると確実だ。

「システム」から確認できる「イベント 27, Kernel-Boot」で示される「ブートの種類」は高速スタートアップの有無を意味し、「0x01」ならば高速スタートアップは有効、「0x00」ならば無効となる。

「Win」+「Q」キーを押すなどして検索チャームを呼び出し、テキストボックスに「イベント」と入力。検索結果に並ぶ「イベントログの表示」をクリック/タップする

コンソールツリーから「Windowsログ」→「システム」とクリック/タップして展開し、「Ctrl」+「F」キーを押すなどして検索ダイアログを起動。「ブートの種類」とテキストボックスに入力してからログを検索する。こちらはコールドブートを実行した状態

こちらは通常の操作で高速スタートアップ起動した状態。「ブートの種類」が「0x01」となっている

ちなみに、設定やハードウェア構成が高速スタートアップをサポートしており、コールドブートを実行していない場合、「イベント 18, Kernel-Boot」のメッセージを確認してほしい。「このシステムには0x01ブートオプションがあります」と示された場合、何らかの理由でコールドブートを実行していることを意味する。

例えばディスクの整合性に問題があり、OS起動時にチェックディスクを実行するDirty(ダーティー)ビットフラグが立っている場合、高速スタートアップはキャンセルされる。このような手順で、高速スタートアップの動作を確認することが可能だ。

ディスクの整合性を確認するためのチェックディスク実行が登録されている場合、高速スタートアップをキャンセルする仕組みだ

その他の完全シャットダウン方法

上記の手順以外にも、Windows 8.1は完全シャットダウンを実行する方法を多数用意している。以下にその手順を紹介するので、お好みの方法を使ってみて頂きたい。

「Win」+「I」キーを押すなどして設定チャームを呼び出し、「電源」ボタン→「Shift」キーを押しながら「再起動」をクリック/タップする

(図A)「オプションの選択」で「PCの電源を切る」アイコンをクリック/タップする

サインイン画面の右下にある「電源」ボタンを「Shift」キーを押しながら「再起動」をクリック/タップ。「オプションの選択」画面で先の(図A)と同様の操作を実行する

「Win」+「X」キーを押してクイックアクセスメニューを開き、「シャットダウンまたはサインアウト」→「Shift」キーを押しながら「再起動」をクリック/タップするか、「U」キー→「Shift」+「R」キーと押す。その後の操作は(図A)と同じだ

コマンドプロンプトからは「shutdown /r /o /t 0」と入力して「Enter」キーを押す。その後の「オプションの選択」で(図A)と同様の操作を実行する

次回は、高速スタートアップ関連のまとめとして、ハイバネーションファイルに関するTipsを紹介する予定だ。

阿久津良和(Cactus)