Windows 8から加わった「高速スタートアップ」。ハイブリッドブートやハイブリッドシャットダウンとも呼ばれ、OS起動時に行う初期化などのプロセスを簡略化することで、起動時間を短縮する機能だ。最近はホストドライブにSSDを用いることが多いため、その恩恵や機能自体に意識が向かないことがありかもしれない。そこで今回は改めて、高速スタートアップの概要や機能の有無について紹介する。
「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。
高速スタートアップとは
昔話から始めると、Windows 9xの時代はPCの「電源」ボタンを押してから、インスタントコーヒーを用意して口に含んでもOSの起動が終わらない環境は珍しくなかった。これには、PC全体としての性能、ストレージ性能、ユーザープロフィールの肥大化など多様な原因が考えられる。それだけに格好のチューニング材料として、デフラグやレジストリダイエット、起動サービスの取捨選択など多彩な方法が用いられてきたものだ。
バージョンを重ねたWindows 7は、デバイスドライバー初期化の並行処理やサービスを一定条件下で開始するトリガー開始サービスなどの改善を加え、OSの起動時間は大幅に短くなった。それでもまだ、ユーザーニーズを完全に満たしてはいない。Windows 8では、起動プロセスの一部を休止状態に用いるハイバネーションファイルから読み取ることで、起動時間をさらに短縮している。これが「高速スタートアップ」機能だ。
上図はMicrosoftの公式ブログから抜粋したものである。これをご覧頂ければ、通常の起動(コールドブート)と高速起動の違いは一目瞭然だろう。
高速スタートアップ有効時は、ユーザーセッション終了後に簡易的な休止状態へと移行し、セッション0(システムセッション)の内容をファイルへ待避。次回起動時は、同ファイルを読み込むことで、起動に必要な必要最小限のドライバー読み込みやレジストリ情報の展開といった一部の処理をバイパスしている。
高速スタートアップが使えるのに無効?
このような仕組みでWindows 8以降は高速スタートアップを実装しているが、同機能が使えるPCにもかかわらず、「電源ボタンの動作の変更」から高速スタートアップの有無を選択できない場合がある。
お使いのPCで高速スタートアップ機能が使えるか否かは、コマンドプロンプト上で「powercfg /a」を実行すれば分かる。「以下のスリープ状態がこのシステムで利用可能です」というメッセージとともに、「高速スタートアップ」が並ぶはずだ。古いPCをお使いの場合、「休止状態は使用できません」と示される。
休止状態を有効にする
高速スタートアップ機能は、休止状態で用いるハイバネーションファイル(hiberfil.sys)を使用する。つまり、「使えるのに無効?」という状態は、休止状態を無効にしている可能性が高いのだ。
休止状態を有効にするには管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「powercfg /h on」と実行すればよい。
すると「powercfg /a」と実行したときの結果が変化するはずだ。ただし、この状態ではまだ「電源オプション」から操作できない。一度、OSがハイバネーションファイルの存在を認識しなければならないからだ。
単純にPCを再起動してもよいが、コマンドプロンプトを起動した状態であれば、「shutdown /r /t 0」と実行して再起動すると簡単である。
PC再起動後に「電源ボタンの動作の変更」に「高速スタートアップを有効にする」が加わり、自動的に有効になるはずだ。
今回いくつかのPCで検証したところ、本操作で有効にならないケースも散見するが、お使いのPCも同様の結果が出た場合は、休止状態に対応しているか(ACPI S4をサポートしているか)確認してほしい。
阿久津良和(Cactus)