「Windows 10ミニTips」は各回の作成時点で最新のWindows 10環境を使用しています。

Windows 10は新たに「設定」を加えて、Windows 3.x時代から続いたコントロールパネルからの移行を進めている。だが、整合性に欠ける部分が見受けられるのが現状だ。その1つがWindows Vistaから加わった「場所」と、Windows 10の「場所の保存」である。

「場所の保存」は既定の保存先を変更する機能

前回に引き続いて「場所の保存」について解説しよう。設定方法は下図に示したとおりだが、最新のWindows 10 Insider Preview ビルド10532に動作を確認したところ、設定内容を反映するための「Apply」ボタンが現れるようになった。今後の公式アップデートでも追加されるだろう。

「Win」+「I」キーを押すなどして「設定」を起動し、「システム\ストレージ」をクリック/タップで開く。続いて「場所の保存」に並ぶドロップダウンリストから別ボリュームを選択する。これで設定完了だ

Windows 10 Insider Preview ビルド10532の「設定」。ドロップダウンリストから異なるストレージを選択すると、設定を有効にするための「Apply」ボタンが現れる

だが、「場所」のように、既存フォルダーを別ストレージへ移動するか否かといったメッセージは現れない。既存のドキュメントフォルダーなどの格納ファイルもそのままだ。では「場所の保存」とはどのような機能なのだろうか。

設定後のユーザーフォルダー(%USERPROFILE%)。ご覧の様にフォルダーが移動した気配はない

ただし、選択したボリュームを開くと「{ユーザー名}{移動したフォルダー名}」が新たに作成されたことが確認できる

この疑問に対する回答は、「アプリケーションのコモンダイアログが参照する保存先を変更する機能」と述べるのが正しいようだ。

もっとも、各アプリケーションにはコモンダイアログに対するパスを記憶する機能が備わっているため、必ずしもすべてのアプリケーションが一斉に切り替わる訳ではない。

例えば、設定を変更する前に任意のアプリケーション(ここではメモ帳)でドキュメントフォルダーを使用した際、その情報はレジストリに保存される。よって「場所の保存」を変更しても変化は生じない。他方で、設定後に起動したアプリケーション(ここではワードパッド)のコモンダイアログ参照先は「場所の保存」で移動したフォルダーが既定となる。

設定後に起動したアプリケーションのコモンダイアログ参照先は別ボリュームが自動的に選択されることを確認できた

「場所」「場所の保存」両者を上手に活用する

つまり、「場所」はレジストリエントリーでフォルダーをリダイレクトし、「場所の保存」は既定の参照・保存先を変更する仕組みだ。Windows 10無償アップグレード前のWindows 10 Insider Previewでは変更可能だった「新しいアプリの保存先」はグレーアウトしているため、具体的な動作を解説できないものの、察するに「%ProgramFiles%」および「%ProgramFiles(x86)%」フォルダーの既定値を変更するのではないだろうか。

以上から、一見すると競合機能に見える「場所」と「場所の保存」は、似て非なる存在であることがわかる。この先、「場所」で行ってきた機能は「場所の保存」に統合されることだろう。少なくとも現時点でストレージを効率良く管理するのは、両機能を上手に活用するのが得策だ。

Windows 10 ビルド10240で「設定」の動作を確認した状態。レジストリとファイルに対するアクセスを検証したが、目につくような動作は見当たらなかった

Windows 10 Insider Preview ビルド10532でも同じ検証を行ったところ、Shell Foldersキーを参照する動作を確認できた。今後ロジックが変化する可能性が高い

阿久津良和(Cactus)