社会人になって数年、忘年会やクリスマスシーズンを迎え、何かと物入りの働き女子たちが、ふとした話から「シストレ」をはじめてみようということになりました。24時間自動で投資してくれるってなんだか夢のような話……! でも、いきなり数万単位の投資を始めるのはなんだか怖い……。そこで、講師を招いてシステムトレードについてイチから教えてもらうことになったのですが―。
※この物語は、会社は違えど様々な理由で出会った働き女子たち数名が、資産運用や自分磨きのために「シストレ」と出会い、様々な講師との出会いから少しずつその魅力に気づいていく様をストーリー仕立てでご紹介するものです。物語には、一部フィクションが含まれています。
数字が苦手でも大丈夫!! システム選びは単純明快
今回のシストレ女子部は、システム選び。数あるシステムの中から「これ!!」と思うシステムを選び出すのは至難の業。そこで、システム選びを野津先生に教わることに。
マキ「良いシステム選ぶのって、彼氏選びみたいな感じでやればいいんじゃない?いや、お金がかかっている分だけ、彼氏選びよりもマジだよね(笑)そのためにはどうすればいいんでしょう?」
先生「まずは、売買システムの成績を表す「基準(パフォーマンスデータ:数値で表示)」を理解しないといけないの。こういった基準は、会社の財務諸表だと考えるとピタッとくるかも」
あやか「わ~数字だ!! 私苦手なの。。女子はみんな苦手だよね?(笑)」
先生「心配しないで。以下のように、わかりやすく説明するから:
- プロフィットファクター(利益の合計が損失の何倍かを表す、期待値の目安)
- 勝率(全トレードにおいて勝ちトレードが占める割合)
- 損益レシオ(トレードにおける平均利益と平均損失の割合)
この3つのデータに重点をおけばヨシ。中でも、最も重要なのは、プロフィットファクター(PF)。総利益 ÷ 総損失で出します。一番最初にPFが1.0あるかどうか見てみて。1.0以下であればもう、他のデータを見なくてもいいくらい」
ゆみ「オオッ、いわゆるオトコ選びの3Kね(笑)単純明快っぽいけど、先生、そんなにズバリ言い切りできちゃうの?」
先生「そうよ。あんまり色々な基準にこだわると収拾つかなくなっちゃうから。総利益が100万円で、総損失も100万円なら、PFは1.0つまりトントンになるの。1.0以上であれば、利益が出ているシステム。1.0以下であれば、負けちゃうシステムだから、これが1.0以上なかったら、お話にならない。
PF、1.0以上を大前提にして、勝率と損益レシオの関係を見るには、大きく分けて以下の、3つのパターンがあります。(A~Cとも、実際のトレンド、レンジ相場に当てはめて、100回トレードした場合のデータ):
A.トレンドフォロー型システム (※ゴールデンクロスを基に売買を行ったデータ)
勝率は20-30%。損益レシオは、それに見合うだけ高い必要がある。⇒勝率は低いが、1回の勝ちでドーンと利益が出る傾向がある。
※ゴールデンクロス=短期の移動平均線が、長期の移動平均線を、下から上に突き抜ける形に交差(クロス)している状態
B.平均システム(CIT社Caesar FX USDJPYを利用したデータ)
勝率は50%超。損益レシオは1.0超。⇒勝ち負けはほぼ1/2。勝ち負けの金額もほぼ同じ。若干のプラスを積み重ねる。
C.レンジ型相場システム(Caesar スキャルピングFXを利用したデータ)
勝率は70-80%程度。損益レシオは1.0を切る。⇒高勝率だが、負けトレードの損失額は比較的大きい
皆さんが目にするシステムは大体このA.~C.のいずれかに当てはまります。方法論としては、勝率を上げにいくのか、損益レシオを上げに行くのかの2択ね。逆に言うと勝率が70%とか高いのであれば、損益レシオが0.6くらいでも利益は出るの。逆に勝率が30%くらいしかなくても、損益レシオが2.5とかだったら勝つのよ」
やよい「え~っと、例えば、10回トレードして、そのうち5回の取引で50万円の利益が出て、残りの5回の取引で25万円の損失が出たとしたら、(50万円÷5回)÷(25万円÷5回)=10万円÷5万円=損益レシオは2.0ってことだよね」
あやか「勝率は、勝ちトレード数÷総トレード数で出るんだよね。全部で100回トレードしてたとして、勝ったのが50回だったら、勝率50%ってことだよね。合ってるかな?」
先生「皆さん、大変理解がよろしい(笑) 良いシステムっていうのは、利益さえ出ていれば良いシステムなんだけど、種類が違うの。例えば、野球とかでも、打率が高い選手とか万能型の選手とか一発で大きくドーンと当てる選手とか色々いるじゃない。同様に、良いシステムでもキャラクターが違うと考えてみて。
それにシストレには、ゆったりめのスイングトレードか、チョコチョコやるスキャルピングか、はたまたデイトレードかなど、投資スタイルは様々だし、投資元本に対して、トレードした損益(1トレードや1日等)がどの程度の範囲になるかを把握しておく必要があるの。1日のトレード損益が、投資元本の3%程度なら安心して自動売買できるので、覚えておいて損はないわ」
マキ「私は、もう放置プレイしておきたいのね。メンドウくさくて彼氏も最近放っておいているくらいだから(笑)自分の性格とかライフスタイルなんかも考慮してシステムを選ぶのがいいんじゃないかな」
先生「毎日トレードするシステムもあれば、週イチしかしないシステムもあるから、毎日頻繁にチェックしたいのか、ほとんど見たくないのか、自分に見合ったシステム選びをするのがおススメよ。基準データの箇所で例に挙げたシステムで説明すると:
A.のように、勝率30%、損益レシオ2.5とすると、10回トレードしたら、3勝にしかならないので、結構負けちゃうの。だから、ずっと見ている人は心理的にプレッシャーがかかりやすいのよ。1勝2敗なので、負けたとき1万円だったら、2敗するので、2万円負けるけど、勝ったときはドーンと2万5,000円勝つ。なので、利益は5,000円が残り、回数を重ねれば重なるほど、5,000円が積み重なっていく。
C.のように、勝率70%、レシオ0.6だとすると、3回トレードすると2勝1敗で、負けるとき1万円負けるけど、勝ったときは6,000円の利益が出て、6,000円が2回だと1万2,000円になるので、2,000円の利益が積み重なっていく。
先生「なるべくたくさん勝った方が安心だという人はC.を使ったらいいし、ホッタラカシて、1回あたりのトレードをドーンと取りたい人はA.でやればいいの。結果的にあがる利益が一緒だったとしても、心理的ストレスが違うから、どちらが自分に合ってるかよね」
まりこ「私的には完全自動売買であれば、完全に任せっぱなしがよいかな。負けているときに見ちゃったら、ハラハラドキドキしてストップさせちゃったりしたら、シストレの意味をなさなくなるもんね」
(次回に続く……)
(撮影:石森 亨)