朝、鏡を見て「あれ、なんか薄くなってる……?」と、薄毛が心配になった経験はないだろうか? 一度気になってしまうと、頻繁に鏡で確認してしまったり、抜け毛の本数を数えてしまったり、はたまた職場の同僚たちの目線が気になってしまったり……メンタル的によろしくない。
この連載では、「薄毛の正しい知識を身につける」をテーマに、働く男性の悩み解決に役立つ情報をお届けしていきたい。4回目は、意外と知らない薄毛のメカニズムについて、アデランスの研究者に解説してもらった。
ヘアサイクルの乱れが薄毛を引き起こす
人間の毛髪は、「成長期(2~5年)」「退行期(2~3週間)」「休止期(2~3カ月)」というヘアサイクルを繰り返しながら、2~6年の月日をかけて生え替わっていくもの。しかし、通常2~5年の「成長期」が、わずか数カ月~1年に短縮されて「退行期」に移り変わってしまうのが、男性型あるいは女性型と呼ばれる脱毛のメカニズムなのだ。
お風呂で髪を洗ったあと、床に落ちている髪の毛を見て、「こんなに髪が抜けてる! ヤバいかも!?」と思ったことがある人もいるかもしれない。しかし、1日に抜ける髪の本数は80~100本。多い! と感じるが、これが普通。薄毛の人は短かったり細かったり、「成長初期」の髪が多く抜け落ちているのが特徴だという。
薄毛の原因は、男性ホルモンの変化
では、なぜヘアサイクルが乱れてしまうのか。その原因は、男性ホルモンの変化。男性ホルモンの代表的なものとして「テストステロン」という物質があるのだが、これが細胞内で「5αリダクターゼ」という酵素と結びつくことで、「ジヒドロテストステロン(DHT)」へ変化する。このDHTは、元のテストステロンよりも強力な影響を与える物質であり、脱毛を引き起こしてしまうのだ。
しかし、すべてのテストステロンがDHTに変化するわけではない。薄毛になる人は、DHTに変化しやすく、かつDHTの作用による影響を受けやすい人とのことだった。
薄毛を招くのは『不摂生』?
と、少し難しい話になってしまったが、日常生活の中では『どのようなことがきっかけで薄毛になるのか?』も解説したい。これについては、世界中で長年にわたって研究が続けられているものの、今なお不明な部分もあるのだという。そんな中、現時点で有力な原因として考えられているのが、以下の3つ。
・生活サイクル
生活サイクルの乱れは、薄毛の原因にもつながると考えられている。一番は「睡眠」。『肌のゴールデンタイム』は聞いたことがあると思うが、実は髪にもゴールデンタイムがあるそう。それが、22~翌2時。この時間帯に睡眠をとることが髪の成長に良いのだという。この時間には寝ることができなくても、睡眠不足は避けるほうが賢明だ。
・食生活
ミネラルやアミノ酸など、髪の成長に必要な栄養分を摂取することは大切だが、それを意識しすぎるよりも、しっかりとバランスの良い食事を心がけることが重要とのことだった。偏った食事を続けることで栄養が不足してしまうと、身体と同様に頭皮や髪も多大な悪影響を受けてしまうので気をつけたい。
・ストレス
現代社会では、ことあるごとに「ストレス」の悪影響が取りざたされるが、髪も例外ではない。慢性的なストレスを感じることによって、機能に対する悪影響を受け、それが髪の成長の妨げにもなってしまうのだという。
この3つは、いずれもバランスが崩れてしまうと、薄毛だけでなく、さまざまな生活習慣病なども引き起こしてしまう。薄毛対策としてだけでなく、身体を気遣うためにも不摂生を正し、健康的な生活習慣を心がけるようにしたい。次回は「薄毛の対策」をテーマに記事をお届けしたい。