「旨くて、安いラーメンが食べたい」。1杯1,000円を超える高級ラーメンも多いが、手軽で・旨くて・さらに安くラーメンが食べられるのなら最高だ。全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター・井手隊長が、旨くて安いアンダー700円のラーメンを紹介する。
2回目は、大阪・梅田に店を構える高井田ラーメンの人気店「麺屋7.5Hz+」を紹介する。
高井田ラーメン。
大阪市東部(東成区周辺)と東大阪市西部(高井田地区周辺)中心に広がる戦後から続く大阪のプチご当地的なラーメンだ。
醤油の濃い真っ黒なスープにうどんのような極太のストレート麺を合わせたラーメンで、近鉄布施駅から商店街を抜けたところにある老舗「中華そば 住吉」「中華そば 光洋軒」が有名である。この2店舗が産業道路沿いの大阪市営バスの停留所「高井田」のすぐ前にあったことから「高井田ラーメン」と呼ばれるようになったそうだ(諸説あり)。
このエリアには昔から町工場が多く、工場の労働者の塩分補給のために濃いめの醤油スープをベースに、極太で食べごたえのある麺を合わせたと言われている。早朝からやっているお店が多く、「おはようラーメン」とも言われているそう。店に入り、スープを一口、そして極太の麺を啜るだけでその土地柄が見える一杯で、筆者も大好きなラーメンである。
「高井田ラーメン」はいわゆるその街の文化から生まれた地ラーメンで、他のご当地ラーメンのように町興し的な動きがないので全国的な広がりはない。そしてこのエリア自体は大阪の中心街から離れており、観光エリアでもないので、ラーメンフリークでなければ旅行で訪れるにはなかなかハードルが高い。
しかし、諦めるなかれ。 人気店「麺屋7.5Hz」の支店「麺屋7.5Hz+」が大阪駅前第二ビル内にあるのをご存じだろうか。 「麺屋7.5Hz」は2000年にオープンした高井田ラーメンの人気店で、大阪に5店舗を展開している。かつては東京・新橋にも支店があったが、閉店している。
大阪駅前第二ビルは梅田駅、大阪駅直結とアクセス抜群で、B1F、B2Fは食堂街になっていて、飲食店が軒を連ねる。「麺屋7.5Hz+」はそのB2Fにある。
赤いノスタルジック感漂うのれんには「大阪高井田式」の文字が。中華そばは小盛、中盛が630円とリーズナブル。
こちらが「中華そば 小盛」。具はチャーシュー、ネギとシンプル。雷紋模様のどんぶりが郷愁を誘う。
赤いレンゲでスープを一口飲むと、濃いめの醤油の旨味が口いっぱいに広がる。そして、じわじわと動物系のダシ感が追いかけてくる。これぞ大阪のラーメンだ。
そして極太麺。モチモチとした食感で、スープの濃さに負けていない。大きめに切った青ネギがシャキシャキとアクセントになり、シンプルながら飽きの来ない一杯だ。
もう少し食べたいという人には「ヘタ丼」がオススメ。豚肉のぶつ切りをライスにゴロゴロと乗せた丼で、梅田店限定のメニューだ。豚とライスを豪快に口に含み、ラーメンのスープを一口。至福のひとときだ。
食べながら大阪の歴史が感じられる一杯。ぜひご堪能あれ。
筆者プロフィール: 井手隊長(いでたいちょう)
全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.などでの連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。 自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。
ブログ:「隊長日誌(ラーメンミュージシャン井手隊長の日記)」
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