テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第193回は、3日に放送された日本テレビ系バラエティ特番『中居ウエンツとアウトエイジ』(23:00~)をピックアップする。

中居正広とウエンツ瑛士が「年齢という枠にとらわれず、若者文化で活躍するシニアを“アウトエイジ”と名付け、その生き様を紹介する」というコンセプトの特番。親交の深い中居とウエンツがダブルMCを組んだだけあって、「1時間特番なのに3時間も収録した」(中居)というから2人のトークは盛り上がったのだろうか。

「生き生きとしたシニアを見せる」という高齢化社会にフィットした企画であり、今後の可能性を踏まえてピックアップしておきたい。

ウエンツ瑛士

■いきなり中居&ウエンツの任侠コント

「(本人のコメントから)『友達は今のままで十分かな』冒険心を失った男・中居正広、『そうじゃないと急にイギリスとか行かないじゃないですか』新しい世界を求める男・ウエンツ瑛士。事務所設立にイギリス留学。人生の第二章を歩み始めた2人の前に、年齢の枠にとらわれず年を重ねても挑戦し続けるシニア、アウトエイジたちが登場。彼らの生き様を見て中居&ウエンツが己の人生について見つめ直す」。

このオープニングナレーションが、番組の趣旨を物語っていた。この番組はアウトエイジがテーマの番組ではあるが、中居&ウエンツの反応を見せて楽しませる番組なのだろう。

続いて画面左下に「東京都港区 超齢会 事務所」のテロップが表示され、任侠コントがスタート。これは映画『アウトレイジ』に引っかけた演出だったが、スギちゃんのモノマネでふざける中居にウエンツは吹き出しそうになってしまった。

さらに中居が49歳、ウエンツが35歳、進行役の石川みなみアナが25歳と、ほぼひとまわり違いの3世代がそろっていることが明かされる。この年齢構成を見ても、アウトエイジのロケというより、スタジオトークを中心に楽しませる番組であることが伝わってきた。

1人目のアウトエイジは広島県に住む河口知明さん(71歳)で、自称・最高齢コスプレイヤー。Facebookのフォロワーは約25万人で、その95%が外国人という。河口さんは『ドラゴンボール』の亀仙人を筆頭に『呪術廻戦』『進撃の巨人』などのコスプレを披露したが、年齢に合わせてキャラクターを選んでいるだけあってなかなかのクオリティだった。

紹介VTRのあと、スタジオの中居&ウエンツとリモートトーク開始。河口さんは「女の子にモテたいからやっている」「ハグしても全然怒られないし、アフターで『ご飯食べに行きましょう』と誘ってくれる」などのスケベじいさんキャラが亀仙人とリンクして笑いを誘っていた。

さらに、河口さんは「これからはどんどん何でもやってトライしていかなくちゃね。人生100年、110年時代になりますよ。コスプレやり出して11年でしょ。あと30年は続くかもしれないし。どんどん新しいものが出てくるし、どんどんやってみなきゃ」と前のめりにコメント。スタッフから「ますますモテちゃいそうですね」と声をかけられると、「多分ね。それが望みだし。幸せです。本当に最高」と満足げに語った。1人目のインパクトと笑いとしては十分だろう。

■「モテた自慢」で寸劇をはじめる2人

河口さんとのトークを終えた中居&ウエンツは、「異性を意識することが原動力や色気につながる」「“芸能人の人気”と“恋愛でモテる”ことは違う」などの切り口からコメントを交わした。ただ、これで終わらないのがトーク巧者の2人。

“モテた自慢”で張り合ったあと、中居が「誰に口聞いてんだお前。お前の全盛と俺の全盛を比べてるの? シメ倒すぞコラ!」と声を張り上げ、ウエンツも「月・火・水・木・金・土・日、ずっと野球見て酒飲んでるんですから絶対(モテ)ないですよ。最近家に女の子が入ったのいつですか?」と応戦。中居が「今日。今日キスしてきたよ」と返すとウエンツが「これヤバくない? 妄想だよ。夢の話」と突き放して笑わせたところでトークは終了した。

2人目のアウトエイジは、茨城県に住む、たちフラワーさん(64歳)。海外のダンス大会に出場し、若者ばかりの中で世界大会4位も獲得したダンサーという。彼女は「『いくつになっても好奇心を持つ』ということは人生が広がっていくというか、気持ちも広がっていく」「もちろんずっと死ぬまでやりたい」と生き生きとした表情で語った。

40歳からダンスを始めたことを聞いた中居は「40歳から始めたのはいい」「練習するほど課題がクリアできるのがうれしいですよね。大人になると自分に課題を与えないというかズボラになっちゃうし」などとポジティブなコメントを連発。中居は今年3月に『中居正広のダンスな会』(テレビ朝日系)が放送されるなどダンス知識が深いだけに、その眼差しは温かかった。

たちフラワーさんとのリモートトークが終わると、再び総括トークがスタート。ここで、ウエンツは「ミュージカルやりたくて言葉を習った」「ボイトレも(始めてから)6年たちます」「リモートで海外の作品とか受けたりした……ガッツリ落ちましたけど」と自ら打ち明けることで番組を盛り上げ、「自分の発言次第で取り巻く環境は変わる」「結果を想像せず飛び込む好奇心が大切」などの学びにつなげた。