新年度のスタートを飾る春の改編。筆者は以前このコラムで、春の改編は秋のそれよりも大規模でお金もかけたものになると書いた。出揃った改編情報を並べるとその言葉通りになっているが、中でも注目したいのはTBSだ。テレビ業界に身を置く人間として、"攻め"の姿勢が如実に表れているとの印象を抱いたからだ。

『噂の!東京マガジン』のBS-TBSへの移行を発表したTBS

かねてより番組終了が噂されていた『噂の!東京マガジン』。1989年放送開始の長寿番組だが、番組内容も出演者もマンネリ化。コロナ禍の緊急事態宣言中においては、過去の映像を編集した特別編で凌いでいるという状況だった。3月で最後を迎えるものと誰しもが思っていたが、何とBS-TBSにお引越し。一転、存続となったのだ。

この存続決定のニュースについて、そもそも観てないから何とも思わないという方もいらっしゃるかもしれないが、これは"三方よし"の決定と言えよう。地上波のTBSテレビとしては若年層の視聴者が見込めない番組を綺麗な形で打ち切ることができたし、BS放送のBS-TBSとしてはおなじみの長寿番組を編成することで、BS-TBSというチャンネル自体を知ってもらうきっかけになる。しかも、放送時間は現在の地上波と同じ日曜日の午後1時。TBSテレビが後番組にどんな番組を調整中か筆者は知らないが、視聴者層がかぶる恐れのない内容となるだろう。すみわけができるのである。そして、何と言っても出演者や番組スタッフは仕事が続くことに安堵しただろう(笑)。まさに"三方よし"だ。

TBSテレビとBS-TBSの間でどんなやりとりがあったかは分からないが、これはそう簡単にできることではない。BS放送も開局20年を超え、プロパーの社員が中枢を担うようになってきている。そういった中で垣根なく、グループとして、総合的に編成を考えたということだろう。

明石家さんま&浜田雅功が登場

浜田雅功

地上波に話を戻そう。これまた筆者が以前このコラムで触れた金曜19時台。『金スマ』と『ぴったんこカン★カン』のスペシャルがほぼ交互に編成され、最後に放送されたのがいつか思い出せないくらいになっている『爆報!THEフライデー』は同枠での放送を終了することになった。代わりにダウンタウン浜田雅功がMCを務める『オオカミ少年』がスタート。かつて深夜に放送されていたので、復活&ゴールデン進出という表現が正しいかかもしれない。同じくゴールデン帯では火曜19時で、西川貴教と霜降り明星がMCの『オトラクション』が始まる。アミューズメントパーク風の番組は、古くは『風雲!たけし城』、そして今も特番で続く『関口宏の東京フレンドパーク』でTBSのお家芸ともいえるタイプ。TBSが重点を置いているファミリーコア層(40~49歳)が十二分に楽しめそうだ。

制作コスト削減に向けた動きも見逃せない。大みそかの特番を担うまでに成長した『バナナマンのせっかくグルメ!!』が、日曜の朝6時にも進出。『バナナマンの早起きせっかくグルメ!!』というタイトルで、おそらくG帯で放送したものをリユースするのだろう。しずる感漂うグルメ映像は何度見たって良い。

新バラエティ『週刊さんまとマツコ』に出演する明石家さんま

そしてそして、筆者がどこのどんな番組よりも注目しているのは『週刊さんまとマツコ』である。多分この上なく自由奔放に2人が展開する番組だと思うが、日曜18時半からの30分番組でもあるし、忙しい2人なのだから、私なら一挙4本録りしても良いのではないかと考える。型に収まらない番組作りを目指すのであればそれくらいしたっていい。系列を越えてローカルの放送局に絡んだっていいではないか。2人はテレビ(業界)の最後の希望であるし、面白くならないわけがない。期待しかない。

と、ここまで書いて、筆者があえてTBSの目玉番組に触れていないことに皆さんはお気づきだろうか。麒麟・川島明と田村真子アナがMCを務める朝番組だが、これについてはまた別の機会に書きたい。スタートしてからの実際の内容、フジテレビの同じ時間の新番組との比較など、ツッコミどころが満載になると思うからだ。とにもかくにも今年の春改編はTBS。ドラマだけではないところを見せつけてほしい。YES,TBS.と言えることを願って。