こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。今回は「夏の疲れと不眠」時にセルフケアしていただきたいツボをご紹介します。

地域によって差はあるものの、高温多湿が特徴の日本の暑い夏。寝苦しい夜が続いていますね。暑さによる汗や紫外線などは予想以上に身体にダメージを与えます。脳や体は睡眠中にダメージを修復しようとしますが、寝苦しい環境下にあると、なかなか回復が追いつきません。

夏の寝不足が続いてしまった結果、「寝ても疲労感が残る」「眠るまでに時間がかかる」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝早く目覚めてしまう」などの症状が出てしまう方が増えてきます。

もちろん、睡眠時間は人それぞれですし季節や年齢によっても変化していきます。「眠りたいけど眠れない」という状況はどなたでも起こりうることですが、その「眠れない状態」が日常的に続くと不眠症になってしまいます。

不眠症の原因には「痛み、咳などの身体的な要因」「不快な温度、騒音、環境の変化、生活習慣の乱れなど環境・生理的要因」「薬物の副作用」「ストレスなど心理的要因」うつなどの精神障害」「時差」「交代制のシフト勤務による時間生物的要因」「睡眠時無呼吸症候群」などがあり、複数の要因が組み合わさることで不眠症となってしまうケースがほとんどです。

さらに慢性的な睡眠不足から「自律神経失調症」となり、この季節特有の「暑気あたり」「夏バテ」になってしまうことも多くあります。そこで、特に気をつけていただきたいポイントは、「質の良い睡眠」が得られるようにすることです。

日中にダメージを受けた心身を睡眠中に回復できるように体の緊張をとり、自律神経を整え、心身共にリラックスすることで、夏の疲れと不眠が軽減されていきます。その日の疲れはその日のうちにとることで、疲れを蓄積することなく夏を元気にすごせます。

また、ツボのセルフケアに加えて「胃腸を元気にして夏バテ予防」でもご紹介しました「生活習慣の改善」を心がけていただくと、さらに回復力が上がります。入眠時のエアコン使用や快眠グッズなども上手に使って、夏の疲れと不眠を撃退しましょう。

夏の疲れと不眠 セルフケアしたいツボ

ツボの刺激効果を得るポイントは、強く押しすぎないこと。心地よい刺激を感じることで、効果が増幅されます。

百会(ひゃくえ)

精神不安、頭部の諸症状、めまいや頭痛などへの効果が期待できます。

■場所: 頭頂部、鼻筋を頭頂部に上がっていった線と、両耳の一番高いところの延長線上を結んだ線の中点が交わるところ。

百会(ひゃくえ)の場所

神門(しんもん)

不眠、健忘、心身症に悩んでいるときに試してみてください。

■場所: 手首の内側で小指側、手首のしわ上で、小指をまげたときに動く筋(すじ)の内側。

神門(しんもん)の場所

内関(ないかん)

精神不安、不眠、心痛、つわり、嘔吐などに有効とされています。

■場所: 手首の内側、軽くこぶしを握ったときに浮き上がる筋(すじ)上で、手首のしわの中央から指約2本分。

内関(ないかん)の場所

太衝(たいしょう)

精神不安、ストレス、イライラ、月経不調、めまい、頭痛で困っている方は試してみてください。

■場所: 足の甲、親指と人差し指の間を足首に向かって指でなで上げたときに止まるところ。

太衝(たいしょう)の場所



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。