最近よく名前を目にする「つみたてNISA」や「iDeCo」。どちらもお得に投資できる制度ということは何となくわかっても、「違いや使い方がイマイチ理解できない。どちらをやるべき?」と疑問を抱いている人は多いと思います。では、20代の若いみなさんは、つみたてNISAとiDeCo、どちらを始めるべきなのでしょうか。

  • つみたてNISAとiDeCoどちらを始めるべき?

    つみたてNISAとiDeCoどちらを始めるべき?

■つみたてNISAとiDeCoの特徴

<つみたてNISAとは>

NISAとは、「少額投資非課税制度」のことで、少額の投資を行う際に利用できる非課税制度です。つみたてNISAは「積立型のNISA」であり、年間最大40万円の非課税投資枠があります。つまり、その範囲内であれば、投資から得た利益が非課税になるということです。

通常、投資で出た利益には、約20%の税金がかかります。たとえば、1万円の利益が出ても、約2,000円は税金で引かれ、受け取れるのは約8,000円です。つみたてNISAでは、この約20%の税金がかからないため、丸々1万円が利益として残るのです。

つみたてNISAは、「長期・積立・分散投資」に適した約200種類の投資信託とETF(上場投資信託)の中から商品を選び、毎月一定額を積み立てていきます。非課税で保有できる期間は投資した年から20年間。1年間の非課税投資枠は40万円とさほど大きな金額ではありませんが、総額では最大800万円もの非課税投資枠が利用できます。

このように、つみたてNISAは、一定の金額内であれば、投資の利益に税金がかからない点がメリットです。利益に税金がかからなければ、その分を再度投資にまわせるため、効率よくお金を増やしていくことができます。長期の分散投資に適した商品だけが厳選されている点も、つみたてNISAの魅力でしょう。

また、つみたてNISAは、非常に少額から積立ができます。金融機関によっては、100円から積立可能なところも。これなら、まださほど所得の多くない20代でも、安心して気軽に始められますね。さらに、つみたてNISAは、お金を積み立てる目的を問われず、いつでも引き出すことができます。つまり、お金を貯める特定の目的がなくても、「とにかく投資を始めてみる」ことが可能なのです。

一方のデメリットは、「長期・積立・分散投資」に適した商品が対象であるとはいっても、元本割れのリスクがないとは言えない点です。そのため、複数の資産(株式、債券、不動産など)に投資している「バランス型ファンド」を選んだり、自分で商品を組み合わせたりしてバランスを取るなどの工夫が必要となります。

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<iDeCoとは>

一方、iDeCo(イデコ)とは、「個人型確定拠出年金」の愛称であり、投資信託や定期預金、保険などの中から自分で商品を選択し運用する私的年金です。iDeCoもつみたてNISAと同じように、毎月一定額を積み立てていきます。iDeCoの一番の特徴は、選択した商品の運用成績次第で、将来受け取れる年金額が変わるという点です。つまり、自分の責任で運用を行い、老後資金を準備する制度なのです。

また、つみたてNISA同様に、投資から得た利益に税金がかからないというメリットがあります。それだけではなく、さらに、掛金の全額が所得控除の対象になります。これにより、税金を計算する時の課税所得が低くなり、結果的に所得税や住民税が安くなる効果があります。そのうえ、積み立てたお金を受け取る時にも、公的年金等控除や退職所得控除などが適用され、税金を抑えることができるのです。このように、iDeCoは節税効果に優れているため、税金を減らしながら、効率よく老後資金を積み立てるのに非常に適しています。

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一方、iDeCoのデメリットは、原則的として、積み立てたお金を60歳まで引き出せないことです。途中で引き出せないからこそ、着実に老後資金を貯められるのですが、運用期間中に万が一お金が必要になったとしても、手元に戻せないという点は注意しておきましょう。また、新規加入時に2,829円(税込)がかかり、運用期間中にも口座管理手数料として、年間2,052円(税込)が必要となります。

さらに、投資信託のようなリスク商品を運用する場合、元本割れする可能性もあります。iDeCoの節税効果を考えれば、手数料や元本割れのリスクがあっても運用する価値があると言えるかもしれませんが、このようなデメリットがあることも知っておきましょう。

なお、iDeCoは最小で月5,000円から積み立てられます(それ以降は、1,000円単位で積立可能)。これなら、「老後は不安だけど、今の生活もあるし、大きな金額は出せない」という20代の人も始めやすいのではないでしょうか。ちなみに、掛金額の上限は、職業によって異なります。たとえば、自営業の人なら月6万8,000円まで積み立てられますが、会社員の場合、勤め先で加入している年金制度により、月1万2,000円~2万3,000円と幅があります。iDeCoを始める前に、自身のケースを確認してみましょう。

■まずはどちらを始めるべき?

つみたてNISAとiDeCoは、いずれも運用益が非課税になり、長期投資に向いているという特徴があります。さらに、iDeCoには、つみたてNISAを上回る大きな節税効果があります。どちらもお得に投資する制度として注目を集めていますが、では、20代のみなさんはまずどちらを始めるべきなのでしょうか。

まず、お金を貯める目的が「老後資金のため」と決まっているなら、iDeCoを優先しましょう。iDeCoは老後資金を準備するための制度であり、節税効果もつみたてNISAと比べて大きいからです。一方で、どのような目的でも使え、いつでも引き出せるなど使い勝手が良いのはつみたてNISAです。それに、iDeCoと比べて非常に少額から積み立てられますし、20代が投資を始めやすい条件が揃っていると言えます。つまり、

・老後に備えるならiDeCo
・近い将来に備え、現金化のしやすさを優先するならつみたてNISA

という具合に考えればいいのです。

もし、「どちらをやるべきかどうしても決められない」という場合は、iDeCoをおすすめします。なぜなら、老後は誰にでもやってくるため、「老後資金のことを考えなくていい」という人はいないからです。一方、iDeCoの「60歳まで引き出し不可」がネックになっていたり、投資に不安を感じたりするのであれば、まずは、いつでも解約可能で少額からできるつみたてNISAを運用してみましょう。

■少額でも早めにコツコツが大事

つみたてNISAとiDeCo、どちらをやるべきかは人にもよりますが、せっかくの非課税制度をめいっぱい活用するなら、併用してどちらも積み立てるのが理想です。「投資はいつかまとまったお金ができたらやろう」と先送りにするのではなく、少額でも20代の今のうちからコツコツ積み立てていきましょう。