2018年1月スタートの「つみたてNISA」は、金融庁が新たに設けた少額投資非課税制度です。これまでのNISAと同様に毎年の非課税枠で得た利益や分配金にかかる税金はゼロになりますが、これまでのNISAとは違い、長期の積立投資に特化しており、投資初心者でも始めやすい制度です。
そうはいっても「実際のところNISAと何が違うの?」と疑問に思っている人のために、この特集では「つみたてNISA」について、ひとつずつ解説していきます。
つみたてNISAの商品として選ばれる条件は?
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁の定めた基準をクリアした商品に限定されています。その条件には、公募株式投資信託の場合、販売手数料がゼロであること、信託報酬が一定の基準以下であること、毎月分配型ではないことなどが定められています。
また、つみたてNISAで購入できるのは、公募株式投信とETF(上場投資信託)のみで、公社債投信は対象外となっています。投資初心者でも安心して長期運用ができるよう、政府によって厳しい条件が定められているのです。
そのため、5000本以上ある既存の投資信託のうち、つみたてNISAで購入できる商品は138本のみ。内訳は、インデックス型投信が120本、アクティブ型投信が15本、ETFが3本となっています(2018年1月12日時点)。
投信は3つに分類される
つみたてNISAの対象となる公募株式投資信託は、「インデックス型」「バランス型」「アクティブ型」に分類できます。「インデックス型」は、TOPIXや日経平均株価といった特定の指数に値動きが連動するように運用される投信のことで、低コストな投信が揃うつみたてNISAの中でも、特にコストが抑えられているのが特徴です。連動する指数は国内外の株式指数に限定されています。
インデックス型投信の中でも、複数の指数に連動するものを「バランス型」と呼びます。連動する指標には国内外の株式や債券、不動産のものがありますが、株式指数が必ず含まれていなければなりません。
「アクティブ型」は、指数を上回る成績を目指す投信のことです。アクティブ型投信には、純資産額50億円以上であることや、設定以来2/3以上の期間で資産が増えていることなど、より一層厳しい条件が課されており、つみたてNISAで購入できるのは15本に限定されています。リスクは比較的高めですが、高いリターンを狙う人にはおすすめです。
投信保有中のコスト「信託報酬」に注目
つみたてNISAの対象商品に課されている条件の中でも、注目すべき項目が「信託報酬」です。信託報酬とは、運用や資産の保管にかかる費用をまかなうための手数料のことで、投信の保有中に継続してかかるコストです。いくら成績の良い投信であっても、信託報酬が高ければその分利益は半減してしまいます。保有期間が長いほど信託報酬の負担は大きくなるので、投信を購入する際には必ず確認が必要です。
つみたてNISAの対象商品は、国内インデックス型投信は年0.5%以下、国内アクティブ型投信は年1.0%以下など、信託報酬に上限が定められています。そのため、既存商品の信託報酬引き下げや、信託報酬の低い新商品の設定が相次いで行われました。特に、特定の指標と連動した値動きを目指すインデックス型投信では商品内容で差別化を図りづらいため、信託報酬の引き下げ合戦が繰り広げられました。現在では0.0001%の差を競うほどに価格競争が進んでいます。
このような信託報酬の引き下げは、投資家にとっては好ましい事態だと言えます。先ほどもお伝えした通り、投信の保有中に継続してかかる信託報酬は、資産運用の成果に直結するからです。つみたてNISAでは、どの商品を選んだとしても文句のないくらい低コストの商品が揃っています。
「おトク」なつみたてNISA専用ファンド
通常の証券口座で購入するよりもつみたてNISAで購入した方が信託報酬が安い商品も出てきました。その一例が、SBIアセットマネジメントが運用する「EXE-i つみたて新興国株式ファンド」です。
この商品は、以前より通常の証券口座で販売されていた「EXE-i新興国 株式ファンド」を、つみたてNISA専用に設定し直された投信です。この2つの商品は、信託報酬に大きな差があります。「EXE-i新興国 株式ファンド」では信託報酬を0.3794%程度としていますが、「EXE-i つみたて新興国株式ファンド」では0.1948%と定めています。投資対象や運用方針などはほぼ同じでありながら、信託報酬には倍近くの差があるのです。
このように、つみたてNISAで購入できる商品の中には、つみたてNISA専用に開発されたものも多く、通常よりもコストが抑えられた"お宝投信"が眠っていることがあります。とはいえ、つみたてNISAの基準を満たしている投信はどれも政府がお墨付きを与えた長期投資に向いた商品ばかり。どれを選んだとしても正解だといえます。今まで投資に苦手意識を持っていた人も、ぜひこの機会につみたてNISAに挑戦して、資産形成に役立ててください。
まとめ